有閑倶楽部

疲れて帰宅途中、セイユーに寄っただよ。
見切り品値下げ品を買うために。
でもって、何気なく側にあった雑誌をぱらぱらめくった。
目じりに山のような皺を蓄えた、一条ゆかりのどアップ。
驚いた。ちょっとショックを受けた。
おまけに、「有閑倶楽部」実写版が今夜からってか？
確かに新聞にもデカデカと。

疲れて帰宅すれば、残り15分。ドラマ、実写版「有閑倶楽部」、
見ただよ。思いっきり疲れたよ。脱力、いや、ホントにもう、
これが「有閑倶楽部」ってかあ？
リアルタイムで連載を読んできて、コミックス全巻持っている
年季の入った読者としては、複雑な心境。
何てったって、リボンで一条ゆかりが（弓月光も）
デビューした時から知っているんだ。

ああ、作者はマンガ界の第一線で還暦前、
私も年を取ろうもんだ。だけど、この作品、
実写にはして欲しくなかった。どうせするなら、
せめて、アニメでやって欲しかった。
年増も若手もひっくるめて視聴率取ろうという、
魂胆見え見えの、イケメン大根役者を使ったドラマ、
原作とのギャップがひどくて、がっくりしちゃう。

PERFECT GUIDEBOOK 有閑倶楽部虎の巻 (りぼんマスコットコミックス)

有閑倶楽部 1 (りぼんマスコットコミックス)

映画、サウスバウンド。立読みしたら原作の方が断然いい。
実写が動きに乏しい張り付いたような視線を演出しているのに対し、
文章は細かく小回りされたような印象を与える、
けっこう躍動感のあるものだった。

クローズドノート。おそらく、原作の方がより切なく美しい。
主人公役の大根は、大人気ない挨拶をして監督に、
「映画かかわいそう」と言われたという事だから、
「お仕事」もまともにできないなら、しばらく干せばいいのに。

それはさておき、アクションあり、涙と感動のロマンあり、
世界を股に駆けた冒険活劇、時には怪談、ミステリー、
究極は笑いと友情で締めくくる、酒の精、いやいや。
セレブなんて言葉が無い時代の、セレブなお嬢とボン。
永遠のスーパー高校生・学園ドラマ、「有閑倶楽部」
長命な連載なのは嬉しかったけれど、こんな形で
お目見えするとは･･･。ファンとしては複雑な心境。

一条ゆかりといえば、りぼん時代からストーリーテラー。
「デザイナー」「砂の城」のシリアスから、
おそらくは、前身作「こいきな奴ら」の流れを汲む
この「有閑倶楽部」に代表されるような、コメディもお手の物。
結婚・離婚、料理は一流、設計もして家も建てる。
海外旅行でリッチに過ごせば、せこく通販生活もする。
スキーにニューヨークマンションライフ、グルメ、
私生活もネタにして、描きまくってきた漫画家人生。
女性としても仕事人としても、けっこう憧れてきた。

イラスト集さえ持っているファンは、有閑倶楽部は
一服の清涼剤。デッサンが正確、こだわりのディティール、
いつ読んでも面白いなあと思ってきていたのに。
こういう演出でドラマになるとはね。
複雑な心境です。どう見ても、あのドラマ、
原作を読んでいないとストーリー展開と、
キャラの立った、脇役達でさえも濃いキャラの
面白さが絶対わからないと思う。

ああ、こんなトシになって、やきもきするとは。
原作とかけ離れても仕方がないとわかっていても、
苛々するとは。夜の夜中に。

有閑倶楽部 あらかると (愛蔵版コミックス)

恋のめまい愛の傷 (集英社文庫―コミック版)