Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

再び歯科大病院にて

予約診察です。
思いのほか朝の地下鉄、手間取って、情けなくも4分遅刻。
9:30が9:35からのインプラント科。
先生の懸念どおり、かかりつけ医が見せてくれた治療開始時よりも、
予想以上に歯槽骨消えていた。
骨移植は絶対必要、CTを取ってみないとわからないけれど、
思っていたよりも骨を沢山移植しないとと言われて、
最新のレントゲン写真を見ると、本当、自分でもびっくりする。
上顎の厚みはあっても、その歯の根元部分だけ暗い影。
この数ミリの空洞が、綺麗な歯茎を作るには命取り。


決断をせかされなかったことに、胡坐をかいていた自分も悪い。
どう治療をしてもらうか、選ぶのは自己責任。
インプラント、不可能ではなくても、広範囲の骨移植。
感染の危険を冒さない方がいいと、自分でもはっきり思った。
アレルギー、副鼻腔炎もある。服薬は色々引っ掛かる。
抗生物質は、今一つ効きが悪い。痛み止めも。
今の状態で、手術は感染症は避けられないと説明されちゃ、
ブリッジなんだろうなあ。嫌でも・・・。


・・・がっくり落ち込みというか、ある程度覚悟はしていた。
その後、別の科を行ったり来たりしているうちに、
その都度その都度、丁寧な応対と説明で、やや気分は持ち直した。
10:00 補綴咬合治療科へ。普通に人が沢山いた。
11:30 口腔外科へ。学生インテイク後、陰陽師のような先生来る。
12:30 会計、お薬を貰って12:45 職場へ引き返す。
予定オーバーだったので駅からタクシー。

不老は口から (知恵の森文庫)

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わざわざ相談に来たけれど、結局、待合で落ち込み中、
インプラント科の女医さんは、かかりつけ医紹介状のお返事を書いていた。
先生は、紹介状貰って、決心してここに来て、
改めて検査をして正解だったと言ってくれたけれど、
決心を定めるまでのケアと言うか、リスク説明が無かったこと。
これに関しては、かかりつけ医に不満は残った。


もう少し、勉強しておかなければ。
痛くないのは、現状維持のままで大丈夫ではないことを。
なので、前医でブリッジは技術面以上に、心理的に抵抗。
おまけに、一昨日の診察帰宅後、奥歯は欠ける有様。
悪いことは重なる。踏んだり蹴ったり。


それにしても、説明の丁寧さは、比較にならない。
何よりも、女医さんの口や歯への触れ方は、明らかに違っていた。
これは、生理的なものなのか何なのか、上手く説明は付かない。
普段見て貰っている先生と違うのだとしか、言いようがない。
普段の先生も優しいのは優しいんだけれど・・・。


補綴咬合治療科の先生も、申し送りでもあったのか、
単なる偶然だったのか、女医さんだった。
歯科大学病院って女性の先生多いんだ。これはとても新鮮。
決して女性の少ない職場に居るわけではないけれど、
今の部屋だって常駐している女性は私だけ。
診療科のプレートには女性の名前が結構ある。うーん、やっぱり新鮮。


インプラント科の先生は小柄でキュートな先生、
補綴科の先生は、楚々とした日本美人だった。
張り詰めていた緊張感が、何故か一気にウルウル状態に。
自分の歯を削って失くすのが辛くて、子供みたいに涙が出た。
頭でわかっていることでもからだが受け付けないことは、
この歳でもこんなに大きいんだと、改めて思い知らされる。


先生曰く、強度面では確かに問題はあるが、何なら
裏だけ削って金属で補強し、表は残す方法も無いではない。
とりあえずそれでブリッジを試してみようかと、模型で説明してくれた。
外れやすいリスクはあるが、余分に歯を削るのを避ける方向。
殆ど削って当たり前のブリッジにする方法は、最終形。
何れにせよ、前歯なので噛み合せは慎重に。


生まれて初めて口の写真を撮られた。何枚も。
おそらく噛み合わせを見る為だろうけれど、
5,6枚以上は撮ったから、それもびっくり。
おまけに、普段いつも診て貰う歯科と違って、
何故か歯科衛生士が殆ど居ない。というか、普通はもっとべったり居る。
家人の入院時、大学病院での看護師さんは民間病院の看護師さんより、
往来が少なかったことを連想した。


何れにせよ歯は抜かないといけないので、口腔外科へ。
この時点で11時半。口腔外科インテイク、マッチョな学生のにーちゃん。
名古屋名物の金のしゃちほこと向かい合わせに
スパイダーマンがしゃちほこポーズのボールペンをさしているのが笑える。
ウルウルした気分が、少し復活した。


にーちゃんが訊く。「どんなふうに治療して欲しいですか?」
抜歯予定の為の口腔外科受診なんだよ。そんな要望、決まっている。
「なるべく痛くなく、怖くないようにです」
笑われてしまった。だって、本音だもん。大人になっても、
子供時代、抜歯時に味わった恐怖は、消えていないもん。


実習ノートとカルテ、双方に書き込むので、にーちゃん忙しそう。
覗き込んでいると、教育実習生を担当しているような気分になる。
口腔外科に行って一番に驚いたのは、診察前に体温と血圧を測られたこと。
もちろん脈拍も測って、身長・体重も尋ねられた。
143/108 あー、いかに緊張しているかわかる最低血圧。100超えるとは。
口腔外科は麻酔を扱う関係でバイタル取るのか?


既往と、今までアレルギーのあった薬については念入りに訊かれた。
当然か。去年の憩室炎入院時のマキシピームとセファメジンの薬疹が蘇る。
点滴して10分するかしないかで発疹、痒み。
呼吸困難が出たかどうかも尋ねられたが、それは無かった・・・はず。
薬疹出ずに、そのまま持続点滴していたのなら、
いきなりドンと来たのだろうか? ・・・それも怖いな。


「上の先生を呼んできます」指導医の先生が来るまで10分弱。
やがて現れたのは、「陰陽師」に出てくるような
クールな平安貴族風の落ち着いた先生。マッチョな学生さんとは好対照。
てきぱき、再度、既往とアレルギーについて詳細に確認。
補綴科との打ち合わせで、抜歯と仮差し歯は3週間後に。
抜歯1日前から予防の化膿止めを飲むようにとのこと。
むろん、もし痛くなるようであれば使うようにと。
処方はクラリシッド。なるほど、ね。


先生が席を離れている時、こそっとに訊いてみた。
「上の先生はどんな先生?」
「クールに見えて怖そうだけれど、優しくていい先生ですよ。」
と、マッチョにーちゃん。ふーむ、そうなんだ。
「僕らは、本当に良く勉強させてもらっています。」ほー。なるほど。
ま、ここは教育機関だから、先生は医療技術指導者としての側面も必要。


3人の先生に丁寧に診て頂いて、今までの歯科人生に無かったくらい、
沢山の説明を聞いて、会計へ。今日は、一体どれくらい掛かるんだろうと、
なかばドキドキしながら行くと、840円。嘘でしょ?
投薬込みだよ。診察、ムンテラ、部分レントゲン、型取り、それも込みだよ。
信じられない、どういう計算なんだろう。


巷の歯医者はどういう計算しているんだろう。
普段掛かっている内科や整形外科のあの高さは何だろう?
投薬は外部薬局で別に取られるのに・・・。
歯周病予防で歯のお掃除は4000円ぐらい取られる。
私は、大学病院の先生に申し訳ない気分になった。
話を聞いてもらい、説明を受けて、それだけで5000円分位に感じたし、
3つも科を回ったのに・・・。先生3人(厳密に言うと4人か)


もちろん治療上の必要で、病院内の専門科を
行ったり来たりしながら受診するシステムだから、そうなるんだろうけれど。
普通の歯医者なら、3つとも全部一人で見るのが当然なんだけれど、さ。
普通の先生、こんなに丁寧に説明してくれる先生に当たったこと、無かったのか。
ここが特別丁寧な場所なのか、混乱した、私は、正直。


会計を済ませ、薬を貰い、大急ぎで職場に戻る。
今日の担当については、思いのほか早く片付いてラッキー。
そう、私は「ついている」のだと思おう。
診てくれた先生は、どの先生も優しかった。
怖くは無かったはずなのだから。

歯はいのち!―気持ちよく噛めて身体が楽になる整体入門

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