Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

雑談を通して

本日小耳に挟んだ職場の雑談。
何でもお客さんに振った話題で「多胎妊娠」の話が出たそう。
この頃、双子や三つ子が増えていますねと。
少子化の問題や、不妊治療の話などに持って行きたかったのか。
その場の状況はわからないのが。


最近はいい薬が沢山できたから、飲んだら双子が生まれるんだよね
と言われて、目が点になったとか。
笑えるけれどちょっと怖い、そのレベル。
将来お母さんになるかもしれない女性の発言とは思えない。
お手軽に薬を飲んだら双子ができると思っている人がいることが。
避妊のピルか何かと間違えて覚えた知識なのか・・・。


かつて娘の保育園の同級生。卒園式は圧巻。
一クラス32人。双子が二組、三つ子が一組。
めでたく子供を授かったものの、育児はさぞかし・・・と
親御さんのご苦労を思うと同時に、不妊治療のことが頭を掠める。
先日も結婚のメリット・デメリットが話題になっていたが、
何事につけてもハードルは数限りなくあって、無くならない。
人間の欲望にも似て、一つクリアすると次。


よくもまあ、世間様は鋳型に嵌め込むように「基準」や「当たり前」を
持ち出してくるもんだと、うんざりした若い頃。
結婚、出産、子育て、子供は二人以上、住み替え、
できれば一戸建ての家を取得、習い事、進学、受験戦争、
当然職場内での地位の向上、出世・転勤・単身赴任、
何かと家族を巻き込んでハードル競争の日常。
隣の芝生は青く見えるものなのに、あくせくしてしまう日常。
そういうものに巻き込まれたくないと思いながらも、
呑み込まれてしまう日常。

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さて、その後出産にまつわる話題になり、言いだしっぺの彼曰く、
奥さんが切迫流産になって寝たきりの期間、あれこれ家事を仕込まれた。
その時から、朝食を作るのが僕の役目になって今に至ると言う。
「その時から僕がずっと朝食を作ることになってしまった・・・」
なるほど、本当は作りたくないんだなぁ。
世間では、朝食は「奥様」が作るもの?
一応男女平等の職場ですが、一旦家庭に戻ると誰が何をするかの
役割分担で一悶着あるのかもしれません。
雑談ができる男性の同僚の、ちょっとした話。面白い。


昼休み。お客さんとの心理戦の話になった。
その場に飛び込んで話をするか、向こうからやって来るかの違い。
場の力関係で、お互い様子を探りながら関わり合う時の水面下。
にこやかに笑っているのか、作り笑いなのか、文句を言うのか、
とにかく相手の反応を見るための、それぞれのストロークの出方、出し方。
マイナスのストロークでさえも欲しくて、あれこれと要求して行動を起こす者。
幸い、そんなねじれた交流をしないで済む者、
実際現場には色んなタイプがいるので、水面下を伺いながら、
その雑多な思いと動きが行き交う中で仕事をしないといけない。


1対1になることもあれば、多数を一度に相手する場合もある我々。
何かと立場だけの力関係で終わらないものがある。
何しろ相手はナマモノだし、自分自身もナマモノ、
事が事だと、引きずる時は引きずりますからね。
如何に抑制を掛けられるか、タイミングを見計る事ができるか、
経験と勘に裏打ちされた作業ではある。

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夕方の雑談。室長が、「三丁目の夕日」は観に行きたくないという。
連載当初から愛読書だったので、自分のイメージが壊されるのは嫌だとの事。
齢(よわい)半世紀を越えられた世代、作者よりも若いけれど、昭和人間。
自分なりのこだわりと愛着を持ち続けた世界を、
違うイメージで画像の中に置き換えられるのは、耐え難い事なのだろう。
シリーズの薀蓄を熱く語りながら、何故かサイコロキャラメルをくれる室長。
どうしたんですか、いったい今日は?


全員が部屋に集まるのは週に1度。話す人間は限られている。
もっとも、大部屋があるにはあるのだが、単なる作業場であって、
そうそうみんなと親しく話をするわけではない。
忙しいと雑談どころではないし、殺気立っているし、
暇な時はだれだれでも珍しくはない。
雑談ができる人、日というのは実は珍しい。
そうそう仕事の合間に雑談ができるわけではない。
              

たとえば、雑談ができない人もいる。
彼は、暇だからといって最低限の仕事しかせず、
休憩場所のソファの机に平気で足を上げる。・・・嫌いだ。
実は、仕事はできる。人より時間は余る、余計なことは一切しない。
徹底して「引いて仕事をする」タイプの男性が、部署の仕切り役とは。


彼と同期の室長は、この立場に4年ということもあって、
鍛えられて、フットワークが軽くなってきた。
最初はどうなることかと思っていたけれど、仕事は人を変える。
否が応でも一緒に仕事していて、件(くだん)の彼が、
立ち去り型人間にどんどん変化していく過程がわかるだけに、
対照的な二人を見ていると、複雑な心境。
能力が仕事内容と比例していない好例、というべきなのだろうか。
仕事で職域が広がるとは限らないというべきなのだろうか。


人は仕事を通じて良くも悪くも変わる。
周囲に恵まれている(様に見える)のに、自分から退却路線の彼。
人目を気にするも何も、仕事に対する矜持もあったもんじゃない。
でも、それはかつての同僚が使い回しをされて、倒れて再起不能
転勤後、彼自身も血を吐いて療養の過去があるから。
そういうことは、みんな知っているんだけれども・・・。

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本当にこの職場は故障者が多い。病休も。そして中途退職も。
そんな環境の中で仕事を続けていくと、こんなふうに枯れて、
無能力者の擬態を取るようになってしまうのだろうか。
そして、自分は決してそうではないと言い切れるのか、
何だか自信が無くなってくる。


自分はどうなのだろう? 
雑談しながら、小春日和の外に目をやり、ふと思う。
自分はどうなのだろうと。

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