Festina Lente2

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持ち寄りパーティ

実はいつもの研修・勉強会仲間の集まり、ではある。
されど、持ち寄りパーティなるものは初めてだ。
額を寄せ合って、ケースカンファをするのも大切だが、
美味しいものを食べて寛ぐ時間も必要。といっても
白熱すると、話はすぐに専門用語が入って来るのだが。


メールで参加を申し込んだ後、娘は体調を崩した。
親に付き合わせた夜更かしから来る疲労か、
ノロウィルスか、大事を取って家人宅近くの医院へ。
取り合えず、連休中の小児科も教えてもらう。
おじいちゃん先生の処方は、
ナウゼリンドライシロップ1%、アタラックスPシロップ0.5%
クラリスドライシロップ小児用100?。3日分。


これで一安心。心置きなく買物に出かけ、料理。
風邪の娘の為に、ミネストローネの中に大根を摩り下ろす。
急いでおつまみを。慌ててオリーブをのっけるのを忘れた。
ロースとビーフとアーモンドチーズ、赤いパプリカ、
柚子胡椒わさびとマヨネーズ、クラッカーに盛り付ける。
青森産サンふじの薄切りにバターを塗り、
シナモンシュガーをふりかけ、冷凍パイシートで包む。
魚焼きグリルをオーブン代わりに、15分で完成。
一口大即席アップルパイ。これで、パーティへ。

 


黒光りのする大理石の入り口が、実は苦手なのだが、
パーティの会場は見知った顔、初めての顔取り取りあれど、
穏やかな笑顔が溢れている。
しかし、みんなは知っている。その笑顔に至るまで、
一人一人がどんな思いを抱えているか。


困難や故障を抱えながら、ホノルルマラソンを完走した人、
サポーターとして応援した人、見守った人。
距離を置いた人。現場に出ている人。これから学ぼうとする人。
一歩前を行く人、様々な立場の人が、学ぶ場に集まる。
そして、この1年を振り返り、これからの1年を語る。
未来を夢見るために、いや、作るために。


心が揺らぎ、きしむ様々な背景を、過程を、苦痛を、
話せないことを、話せることを、話したくないことを、
そして話したいこと、話せるようになったことを、
語り合い、伝えたい、そして今一歩を踏み出し、
更に一歩を踏み出すために、私達は集う。


美味しいケーキ、クッキー、ホワイトカレーシチュー、
仲間がいる手応え、学ぶことの先にあるもの。
実践に至る手がかり。歓談の中に、ちりちりする思い。
熱い涙を流せる人を羨ましく思う。
醒めた気持ち。けれど、私はこの場に居ることを選ぶ。


心を、体を動かすことは容易ではない。
人を動かす訳ではない。システムからのアプローチ。
「何か別のもの」を感じる今日この頃。
爆風で吹き飛ばされそうな、ブラックホールのような、
とてつもない塊を封じ込めている、毎日。
時間が経って、タイムカプセルの中。
冷凍窒素で焼かれたような痛み。
こそげ落とされた、見えない傷跡。


ふと我に返ると、別れの時間。
短い宴の後、再び雨の中、家族の元へ私は帰る。
仲間がいることに感謝しつつ。

声が生まれる―聞く力・話す力 (中公新書)

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ケアの本質―生きることの意味

ケアの本質―生きることの意味

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『坂元唯史遺稿集 ファントムペイン 命輝く限り』より

病気をして良かったと思うことがある
病気をしてなかったら会えなかった人がいる
病気をしてなかったら考えられないような考えがある
病気をしてなかったら生きてることの素晴らしさが分からなかった
病気をしてなかったら家族の大切さが分からなかったと思う
病気をしてなかったら命より大切なことに気づけなかったと思う
病気をしてなかったら今の自分はなかったと思う
病気をして良かったと思う

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癌だけではなく、あらゆることに通じる私の原点。
家族の、生き方の、生活の、仕事の原点。
再び思い出す。醒めた記憶の中から蘇る。
思い、思い、思い、尽きせぬ思い。

ファントムペイン―命輝く限り

ファントムペイン―命輝く限り

命の軌跡―堀文子画文集

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