Festina Lente2

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音楽教室と矯正歯科

「憂鬱」という言葉を覚えたのは、『あしながおじさん』の冒頭だ。
確か、章題の中に使われていたのではなかったか。
孤児である主人公、ジェルーシャ・アボット評議員達が集まる日、
様々なお手伝いに駆り出される「憂鬱な日」のことを作文に書いた。
周囲から顰蹙を買うはずの文章が、文才を認められて後援者が現れ、
大学進学の夢が叶うのだから、価値の逆転、運命の不思議さ、
物語の冒頭の展開としては申し分ない始まり方。


孤児院を出てどうするべきか、将来の身の振り方を
考えあぐねている少女のくさくさした気分、落ち込み、不安、苛立ち、
それらをひっくるめた「憂鬱」という言葉の響きを
正確に感じ取るには、小学生の私はまだ幼すぎたのだが、
この時覚えた言葉、熟語としてのインパクトの大きさは、
今だに続いている。そんな気がする。

                

そう、「憂鬱な日」が曜日とリンク・連動している感覚。
本日、憂鬱な水曜日。そのイメージが必要以上に膨れ上がり、
どうしようもないやるせない感覚が影を落とす日。
今、私と娘にとっては今日こそが、憂鬱な水曜日。ピアノのある日。
おまけに今日は娘の矯正歯科の日。(これはどうってことないけれど)
親の私がこんな風に感じているのが、娘に影響しないはずも無く、
お互い相互作用でそうなっている部分もあるのだが、
上手に盛り上げきれない、この水曜日。


仕事を休んで音楽教室に付き合うわけにはいかないので、
せめてお迎えだけでもと、仕事を切り上げ出向く。
・・・私自身は幼稚園時代までしか経験のない、親の付き添い。
後は知り合いの元での個人レッスンの記憶のみ。
全国展開の音楽教室に小学生で通い、グループレッスンというものを、
娘共々初めて体験・・・先生が替わって付いて行けない、現在。


今日も今日とて、娘だけが受付で待っていてくれていると思いきや、
皆さん勢揃い。「あの、今月末の発表会の時のお洋服なんだけれど・・・」
済みません、打ち合わせの為に待っていて下さったのですね。
申し訳ありません。
結局、去年のものを使い回し+Tシャツを揃えるということで、
昨年度まで同じレッスンだった人、にわざわざ連絡を付けて、
貸して貰えるように頼んでくれるととのこと。ありがたいことです。
でも、ありがたいと同時に肩身が狭い。


グループレッスンだから、途中で教室を変わってきた娘も私も、
なかなか付いていけないことが多い。娘も大好きだった先生が産休で
来られなくなってから、かなりやる気を失くしてしまって、
私のフォローも今一つで、反省する事ばかり。
幼少時の子供の、先生との相性と学習意欲の相関の大きさに、
ほとほと手を焼いている情けない状態。


娘は「できた、大丈夫」というが、どう見てもいい加減な出来。
プリントを無くす、メモを取らない。きちんと連絡できない。
まだ2年生では無理な部分はあるとはいえ、
毎日の練習はさぼりがち、やる気の無さに拍車がかかり、
他の子との差に劣等感はいや増し、なかなか自分らしさを出せないまま半年。
保育園の時と違って、保護者間でもけっこう連絡は取りにくい。
電話でメールをやりとりするというのも、ちょっと。
今のお母さん方は当たり前なのかしら。
親の世代的な差もあるし、残り3人はフルタイムの勤務ではないし。
微妙な環境の差が壁になっている部分も。


習い事や勉強や宿題の点検でも、フルタイムで働いている分、
手抜きになる所も致し方ない、というのは言い訳であって、
本来きちんと出来ていないと駄目なのは、わかっている。
しかし、19時過ぎに帰宅して食事して宿題を見る頃には21時前。
入浴して寝かしつければ22時半前後。
とても21時前後に就寝とは行かない。
担任の先生に「クラスで一番欠伸の多い子」と1学期から言われ。
                      
               

厳しいレッスンで落ち込みがちな娘と自分を甘やかして、
水曜日、外食して帰宅などもよくある私たち親子。
憂鬱な水曜日、買い物して好物を買って帰宅、
ためしてガッテン」を見ながらご飯を食べる、それが定番。
幸い、矯正歯科の先生は優しい。
スキーキャンプ中を合わせて、この1ヶ月で3本も歯が抜けた娘、
型を取り直して新しい器具を作ることに。


型どりも上手にベロ出しをして、歯科衛生士のお姉さんに褒められ
嬉しそう。音楽教室での凹みを歯医者で補って貰っている。
器具をしまうケースも新調して貰えるので、ますます嬉しい。
(今のケースは落として割ってしまって、テープを貼って使っている)
何だか後1ヶ月で半年使ってきた初代の器具と
お別れするかと思うと、嬉しいような寂しいような、変な気持ち。


本来なら歯医者が嫌で憂鬱、
音楽教室が楽しくてハイになるイメージなのに、
うちは逆なんだよねえと思いながら、買い物する19時過ぎ。
普段は食べないレトルトのカレーをねだる娘に、
まあ今日ぐらい良いかと思ってしまう、私。
せめてスープとおひたしを付けよう。リンゴも剥こう。
憂鬱な水曜日が楽しい夕食になるように。

あしながおじさん (岩波少年文庫)

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