Festina Lente2

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何のサインを?

今日は何の日? と娘が尋ねる。
いつもなら午後から出張だよとか、研修・お勉強会だよと
気軽に答えて「行って来ます」をしたりするのだが。
今日は何も言わず、いつものように出かけていく。
図書館に返す本を詰めて、いつものように。
少し遅くなるからねとだけ言って。


上司もどうしてこんな日に? と訝っているが、
お上の研修は危機管理や危機意識よりも、
上からの通達に従って、上意下達の実績を作りたいだけ。
そうとしか思えない様な気がする。
誰を招き、何の説明を行ったか。
その記録を取りたいだけではないか、とさえ思える。
そう感じてしまうくらい徒労感を感じる。


挨拶の内容も、協力体制を強調するより、
仕事場を確保させて頂いて御礼という形。
現場では「現場に必要な言葉」で語らなければ、
伝わらないものがある。形式よりも何よりも。
非常事態で招集、特別に研修を行うならば、
そんな挨拶よりも、押さえておくべき事が
話さねばならない事が沢山あるはず。
共通認識、最低限必要な意識や知識の確認。


番役に立ちそうな、聞きたい話は後回し。
どちらかと言うと、グループでの話し合いをきっかけに
交流を深める、顔見知りを作ることを主眼としているみたい。
残念ながら勤務場所が異なれば、状況はかなりの差。
だから今回は工夫してグループ別にしたのか。
この手の研修は余り好みではないが、
役割、役職上、お呼びが掛かれば出かけていくしかない。
出かける時、霰が降っていた。真昼だというのに、
にわか雨ならぬにわか霰。
しかし、こういう研修が必要な人間は、決して出て行かない。
ほんの少しでもいいから聞いて欲しい人間は。

家族・支援者のための うつ・自殺予防マニュアル

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人はどうして死にたがるのか 「自殺したい」が「生きよう」に変わる瞬間

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毎年約3万人、そのうちの数%が未成年者。
働いている中高年だけが追い詰められている訳でもなく、
一部の職業だけでもなく、未成年だって追い詰められている。
一人一人が個々の理由で、深みを覗き、足を滑らせ、落ちる。
やむなくそのようになっていく場合も、そうではない場合も。
一概には、言えない。


職場では、あっさりと言い切る人間もいて、対処に苦しむ。
「3ヶ月薬を飲めば治る病気、治らないのは本人のせい」
どうしてそんなひどい言い方ができるのか、不思議なくらい。
専門家でもないのに断言できるのが、不思議なくらい。
本当に苦しんでいる人を見た事が無いのかと思うくらい。
だから、短期間で問題解決のできない人間は
みんな弱い人間にされてしまう。


毎年約3万人、自らこの世に別れを告げる人がいる。
意図的に、衝動的に、やむにやまれず、どうしようもなく、
追い詰められて、心を病んで、自分を消し去る以外の生き方を
選べなくなってしまうほどの人が。
職場でも、例外ではない。
なのに、病に掛からぬ人が病に掛かる人を蔑視するかのように、
その痛みを受け止める場は少ない。


自殺のサインを見逃すな、感情の動きを見逃すなという。
だが、その前にスケープゴートになっていたり、
突然の災害や事故・病気で本人や家族が抑うつ状態だったり、
個々の状況を理解する以前に、受け皿になるべき組織に、
どうしようもない硬い棘が刺さっていて、動かない。


何故? 当事者も家族も、青年だろうが未成年だろうが、
性別に関わらず、心を開く事ができなくなる。
果てしなく落ち込み、何もできなくなる。
したくなくなる。自分自身が大嫌いになる。
でも、自分の本当の感情は見えてこない。
死んでしまいたいが生きたい、
本当は認められたい、聞いてほしい、知ってほしい、
自分自身のことを。


自分の感情を自分で受け止めるのは、辛いことだ。
いつも楽しく愉快で矛盾も感じず、悩まずに済むことなど、
ありはしない。だから、疲れ、落ち込み、苛立ち、
立ち止まり、閉じこもり、燃料切れの機械の様に
停まってしまう。
心も、体も。


で、どうしたらいいか。一般化せずに受け止め、
傾聴し、感情を取り戻し、受け止めるためには。
そんな研修の、さわりをほんの少しだけでも、
聴いて欲しい人がいるのに、絶対に聞こうとはしない。
そして、傷ついた人を相手にはしない。
そういう人も同僚で、病んでいく人も同僚で。

今日は何の日? 帰宅すると娘が尋ねる。
何? と問い返すと「給食の日だよ」
日本で一番最初に給食が始まったのはどこでしょうか。
答えられなかったので、正解を教えてもらった。
山形県忠愛小学校で始まったのが日本で最初です。
そう。でも、疲れていてそれ以上会話ができなかった。
ごめん。かーちゃんから話が弾ませる事ができず。


ああ、きっと職場も、そこから出向く現場も、
こんなふうになってはいけないのだなと、ぼんやり考える。
感情を取り戻して。今聴いて、今話して、今笑って、
ここにいる事が楽しいと実感できる時間を。
一人でいてもダイジョウブな時間を。
そんなことをぼんやり考えながら、夜になる。
朝になる。誰のための何のための
サインを見逃さないで過ごすか。

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