Festina Lente2

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翼の王国

飛行機に乗るときの楽しみというものは人それぞれだろうが、
いつも楽しみにしているのは、「お自由にお持ち帰りください」の雑誌。
フリーペーパーとはいえ侮れない。まあ、通販雑誌はさておいて、
ここは今回久方ぶりに自分でゲットした『翼の王国』行き1月号帰り2月号。
(まあ、どうしても欲しければ購読できるのだけれど)

今回特に私が心引かれたのは、もちろん2月号『翼の王国
だって、表に特集は「イタリア/四国」と書いてあるんだもの。
私にとっては家族のルーツ、第2の青春の地、
第2の故郷とでも言うべき徳島のニュースが!
過去4回訪れたイタリアの話題が! そう思うとね。
おまけにこの絵はどこかで見た感じ、えーとえーと、思い出せない。
あ、やっぱり。当たり。表紙の絵はスペイン在住の画家、堀越千秋の絵。
この人はエッセイもうまいんだよ。読売新聞でずっと書いていたからね。


ということで、今回私が興味津々で読んだもののご紹介。
特集を除いて、気に入ったもの。
東京新風景・私の一枚・盆栽考・西班牙夜話・日本の名画を旅する。
シリーズ「二度目の」は、偶然読んでいるブログとクロスオーバー。
特集で目を引いたのが、四国百年御菓子行脚。
またこの手の話題かと思ったのは、 日本酔夢行。

スペイン七千夜一夜 (集英社文庫)

スペイン七千夜一夜 (集英社文庫)

スペインうやむや日記 (集英社文庫)

スペインうやむや日記 (集英社文庫)


翼の王国』には長文は乗っていない。堅苦しい話も少ない。
何しろくつろいで乗る飛行機の中で手に取る雑誌、
ちょっとした話題・薀蓄・雑学の宝庫なのにフリーペーパー。
これが凄い所。だって、やはりそれなりに手ごたえの有る紙面。
豪華なつくり。もっとも宣伝も多すぎるくらい多いけれど、
それ位でないと採算が取れないんだろうから、仕方がないか。


とっておきの一枚の写真、話題を展開する趣向。
さらりと読める話題の中に、個人の記憶や思い出と重なる部分を触発する、
旅心をさらに深める、そんな仕掛けが忍ばせてある1冊。
機上の人の懐の紐を緩めさせるような品々、次の目的地、憧れの地。
とにもかくにも楽しめる1冊、ではある。


東京新風景・・・今回は葛西臨海公園。家族旅行の思い出の地だ。
関東に引っ越して初めて娘を連れて行った水族館がある。
黒マグロの回流が見られる、西の海遊館とタメを張る水族館。
本城直季の写真と文が気に入ったわけではない。
この思い出が染み付いているからこそ、目に留まったページ。

small planet―本城直季写真集

small planet―本城直季写真集

ブッダをめぐる人びと

ブッダをめぐる人びと


私の一枚・・・最近は闘病生活や評論家としてもちょくちょく表舞台に。
美人漫画家、里中満智子の子供時代の一枚。
私にとっては目頭が熱くなるような写真だ。
子供としての自分、母としての自分、両方に感情移入。
親の愛、自分のルーツをこういう形で語れる人が羨ましい一枚。


盆栽考・・・別に私が盆栽に凝っている訳でも何でもない。
副題が「植木の里、駒込巣鴨・染井」と出ていたからだ。
心理学をかじる人間は箱庭療法の薀蓄を学ぶ折に、
日本の盆栽の伝統云々という下りが頭に入っているので、
盆栽はむげにはできない小世界ではある。それは、さておき。


江戸随一の植木屋が関東大震災や戦災の影響で、現在、
埼玉県川口市安行(あんぎょう)の地に落ち着いているという下り。
ここがネック。草加にいた頃、道の駅を求めてドライブする時、
一番近かったのが安行。確かに植木(屋さん)がいっぱい。
グリーンセンターでよく遊んだなあと、しみじみ。

ふしぎ盆栽ホンノンボ

ふしぎ盆栽ホンノンボ

NHK 美の壺 盆栽 (NHK美の壺)

NHK 美の壺 盆栽 (NHK美の壺)


西班牙夜話・・・いわずと知れた表紙画の堀越千秋の絵と文。
再び読売新聞連載時の感慨が戻ってくる。
いつものおじいちゃんのあの話ね、という雰囲気で読んでしまう。


日本の名画を旅する・・・副題は「カリエールを旅する」
私はウジェーヌ・カリエールのファンだ。あのぼんやりした抽象的な佇まい。
白か黒かを迫らない茫洋とした雰囲気。見る者の気持ちを投影する画風。
思春期から憧れてきて今に至るので、思わず見入ってしまう。
ちなみに日本にあるカリエールの絵を置く3つの美術館、
新潟市美術館・静岡の池田20世紀美術館・岡山の大原美術館
さりげなく宣伝する形になる。うまいね、菊池理(おさむ)。


シリーズ「二度目の」は、憧れの由布院ですよ。
まだ一度も行ったことは無いから、尚更憧れている。
別府止まりで、それ以上先には行った事がない。
娘の大好きだった「風のハルカ
ここへ行こうねと言ったら、喜ぶだろうなあなんて一人で想像。


そして本命。四国百年御菓子行脚。徳島の銘菓は何と言っても、
眉山のふもとの「滝の焼き餅」は家人の好物。
そぞろ歩いた徳島の町、眉山の麓の湧水である錦竜水(きんりょうすい)
わざわざ飲みに行きました。思い返すと地味なデートだったね。(笑)
菊の型押しの小さな焼き餅は、阿波番茶と一緒にどうぞ。
道の駅で買ってきた阿波番茶、いまだに大事に飲んでいる。
そう、徳島は海のもの山のもの川のものにも恵まれている。
自給自足のできる県。美味しい物に恵まれた県です。

四国の温泉パラダイス

四国の温泉パラダイス

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生


最後に、日本酔夢行がイマイチだった理由。たまたま今回の話題が、
「流氷の氷」がテーマだったため。ほら、お酒の好きな人には落ちというか、
話が見えてくるでしょう? あの、氷の中の空気の音を楽しみつつ飲む。
これって「○○の氷」と共に、あまりにも使い古された話題。


こんな風に思い出に浸りながら、突っ込みながら、趣味に走った読書、
久しぶりの『翼の王国』との時間は過ぎていくのです。

芥川也寸志forever

芥川也寸志forever

悠久の翼

悠久の翼