Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

体感温度

雪国への出張から帰ってきてから、やたら厚着になってしまった。
とにかく雪だろうが何だろうが、外に出ないといけない時もあれば、
見回りも必要だったので、それなりの防寒対策はしていた。
大阪では着ないような厚手の下着。おばちゃん下着より更に厚手?
スキーの時に履くような厚手のタイツ。スキー靴下。
むろん雪の上を走り回るから、スノトレを履いて出かけた。
インナーには、これまたスキー用のハイネック。
病院に行く時、病人に付き添いながら自分が転んで怪我したり、
自分が風邪引いて熱を出すようじゃ話にならない。


ホームドクターに頂いた抗生物質のお世話にもならず、
仕事の緊張感のせいか、すこぶるハイに過ごしたものの、
「着込む」という習慣に慣れてしまった肌は、
今まで平気だった寒さにも反応し易くなった気がする。
肌着、薄手のシャツ、セーター程度で十分だったのに、
コートも着ずに厚手の上着だけでしのいでいたのに、
帰阪してからそれができない。やたら寒くて仕方が無い。

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一度甘やかした体は、厚着に慣れ切ってしまっている。
本当ならば暑くてたまらない、駅・構内・飛行場・機内・
バス、守られた空間の温度が当たり前となり、
北風小僧の寒太郎には滅法弱くなった。
寒気団が来ているというが、雪国では零下でもこんなものか、
意外と寒くないものだななんて思って過ごしていたのに、
大阪では5度だ3度だ寒波だと大騒ぎする。


生温さに慣れてしまうと、暖かさに甘えてしまうと、
寒さに平気だった頃になかなか戻れない。
意識して薄着を心がけてきたのに。
アンゴラ肌着や、高デニールのタイツ、ふかふかのブーツ、
そういうものに頼り切ってしまっている。


母はフリースという素材がいまだに理解できないまま、
会う度にどうして毛糸を着ていないの?と不思議な顔をする。
いくら軽くて暖かい洋服をプレゼントしても、仕舞ってしまい、
忘れてしまう。布団だってそう。
暖かい敷き毛布を使わず、薄い電気毛布。
軽くて暖かい羽根布団より、重くて分厚い綿布団。
肩掛けだって何だってプレゼントして持っているはずなのに、
ここ数年のものはみな忘れてしまっているので、
昔の防寒対策が全て。ホッカイロは貼りたがる。
暖房器具も石油ストーブ以外、使おうとしない。
他の安全な暖房器具があるというのに。


娘は毛糸の服よりも断然軽くて動きやすいフリース派だ。
綺麗な編みこみ模様のセーターやカーディガンはよそ行き。
普段用にはもったいない時代。スパッツにスカート、
寒いときはズボンを重ねて履き、防寒。
スキーキャンプ以来、スキー用のタイツと靴下の暖かさに目覚め、
ちょっと着込みすぎでは?と思うことが増えた。
かーちゃんと同じ反応。
やれやれ、親子って似るのね。


人間関係も、公私共々付かず離れずとはいえ、
利害関係や役割で「はい、それまでよ」となり易い。
ただでさえ希薄になって来ている上下関係、師弟関係。
距離を置いていても人のやっかみや妬み嫉みが寒風となり、
ただでさえ人事異動の滲み出しでギクシャクしがちなこの時期、
気まずい雰囲気の温床になりかねない日々。


おんぶに抱っこではないけれど、ほんの一時期の関係が、
必要以上に期待したり期待されたりで、お互いを拘束。
程よい距離、程よい温度で付き合うのが難しくなって来ている。
そんなことを実感するこの2月3月。
源泉掛け流しの温泉と違って、追い炊きできない風呂から、
なかなか上がることができないまま、かえって風邪を引くように、
仕事も人間関係も、同じ温度で暖を取り合う仲ではないことを、
改めて突きつけられる年度末が近づいてくる。


今までと同じ、今まで以上、それとも以下?
これから先、これまで以上にしていければいいのだけれど、
自分のセンサーは常に一定? やや過敏? それとも鈍感?
着込んでしまった防寒着は、これから降る雨あられをしのぐため?
薄着になれてしまいたいのは、薄情けにもめげないため?
乾布摩擦でもするように、心を鍛えておかないと
ちょっと辛いことが多すぎるような季節が進もうとしている。


感じる温度、自分次第。調節が難しい。

やさしい花びら/暖かい場所

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nukumori

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