Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

今迄で一番のベスト

レーニングや研修・勉強会で、具体的にイメージし、
自分の中に落とし込んでいく為に、もしくは、
相手の中に落とし込んでいかせる為に、
様々なキーワードが使われる。例えば今日のキーワードの一つ、
「今迄で一番のベストを尽くす」という言葉もそう。
ただ「ベストを尽くす」という言葉と、どう違うのか。


ベストを尽くすという言葉はよく聞くし、誰もが知っている。
毎日ベストを尽くさなければならないと肝に銘じていても、
それはなかなか難しい。人間サボりたいし、ダレる。
手抜きもする。ベストを尽くさなければと思いつつ、
マンネリ化した流れ作業で毎日を過ごしてしまう。
諦め、どうにかなるさと投げやりなことをしてしまう。
何とかしたいと思いながらも、問題を先送り、
その場しのぎで誤魔化してしまったりする。


プロは、ただベストを尽くしているのでは駄目だ。
今迄で一番のベストを尽くす姿勢で物事に当たらないと。
今日は何度もこの言葉を聞かされた。実に耳が痛い。
耳が痛いキーワードは、自分が出来ていないことを意識させる。
自分の後ろめたさを突ついてくる。
自分の気後れを引きずり出す。
溜息を付いている暇など許さないと迫ってくる。


したいことをするのはアマチュア
しなければならないことをするのがプロ。
机上でインプットばかりしているのはアマチュア
アウトプットしているのがプロ、
できることしかしないのはアマチュア
相手のニーズに常に応えられるようにするのがプロ。
色々言われるわけですが・・・。

コーチング・バイブル―人がよりよく生きるための新しいコミュニケーション手法 (Best solution)

コーチング・バイブル―人がよりよく生きるための新しいコミュニケーション手法 (Best solution)

吉田秋生the best selection (フラワーコミックス)

吉田秋生the best selection (フラワーコミックス)


確かに今迄で一番のベストを尽くす気迫・気力が無ければ、
物事には対応できないというのは、仕事でなくても、
毎日の生活そのものの基本かもしれません。
より良いものを求める、クオリティを、QOLを高める。
そういう状態に自分を持っていく事ができなければ、
相手を導くことなどできない。具体的に、物事を解決し、
共に考え、振り返り、今すぐにでも実践しようという気持ち、
自分はやればできるのだという自信を持たせることなど難しい。


時と場合によれば、などと悠長に構えていることは許されず、
それこそ救急の現場のように臨機応変に事態に即応する為に、
常に様々なシミュレーションを立てて臨戦態勢でいる為に、
「現場」のニーズに応えられるためには、
昨日と同じことをしているだけでは駄目で、
「今までで一番のベスト」を目指して行動あるのみ・・・。


そういう話を聞きながら、ちらりと頭を掠めたのは今日の映画。
ああ、何故感情移入できなかったか面白くなかったか。
単に現実離れしているのではなくて、登場人物たちは、
ベストを尽くそうと、頑張ったり悩んだりしていなかった。
少なくともその気持ち・姿勢は、私には伝わってこなかった。
解決できなくても前進・改善を目指そうとしたのではなく、
「可能性を信じればできるという幻想」を魔法で例えた。
そこに付いて行けなかったのだと。


ちりとてちん』に感情移入してしまうのは、
落語の世界のようにみんなが無茶苦茶でも、できなくても、
自分の中のベストを尽くそうと、少なくとも、
昨日よりも一歩進んだ自分であろうとあくせくし、
「今迄で一番のベスト」を目指そうとしているから。
一気に物事、解決などしやしない。


弟子に伝えたいこと、心残りは山ほどある。
若狭との二人会もすることは叶わなかった。
草若師匠の余名幾ばくもない日々の悶々、
話芸を伝え切れずには、死んでも死に切れない思い。
4人の弟子に分けて託された「地獄八景」と創作落語
弟子の個性に合わせた指導、遺言・遺産ともなるべき
芸の心、徒然亭の落語の真髄を魔法や幻想に頼らず、
伝えよう、伝えたい、受け継ごう、受け継ぎたいという
関係性を見せてくれているからこそ、
目が離せないのだなあと、今更ながらに納得。


黄泉路を下る前に霊魂となってお猪口を傾け、
別れを告げるシーンはNHKお得意の手法だが、
お迎えにおじいちゃんまで出してくるとは・・・。
地獄の寄席が延々と髑髏提灯を飾っているのには驚いた。
夜の茶事のように足元を照らす小さな明かりもほのかに、
亡き妻の仏壇に供えていたのと同じ蒲公英を折り取り、
口に咥えて木戸をくぐる、あらめでたの地獄入り。
見事な心憎い演出。


天国と地獄が行き来自由というのも笑えるが、
現場での毎日は「行き来自由な場の仕切り」を、
自分の力で全うしなければならない。
行き来自由にできるかどうかを左右できずに、
行き当たりばったりでうまく行けば天国、
失敗すれば地獄では何にもならない。


毎日が土壇場で追いこまれている、とは思わない。
ただ、自分以外のこと、様々な渦に巻き込まれてしまい、
身動きするのもの難儀だと思わざるを得ないことも多い。
そんな日々、昨日よりも、今までの中でも
一番のベストを尽くしてやるのだ! という気力体力を
如何に維持していくか、モラル以前に実力以前に、
基本的な所で引っ掛かっている自分に忸怩とする。
だがそれは言い訳だから、今日も明日も毎日現場と言い聞かせ、
事に当たらなければならない。


心の中に師匠を持つのは難しい。
現実に持つことも難しい。
一人一人の頭を撫ぜ、声を掛け、謝意を表し、
そんな草若師匠の師弟との場面を思うにつけ、
自分もそうして貰ったのだと思おうとしている
自分に少し涙して、改めて物語から元気を貰う。
拙いながらも、これが今日の私のベスト。

夢をかなえる人の手帳術 最新版

夢をかなえる人の手帳術 最新版