あんぐり ぽっかり

職場では後ろから背中を刺されたか？　と思うほどのショック。
実はそういう出来事があったので、現実逃避。
娘と漫画に耽ったりしたのでした。
今の心境･･･。「私は貝になりたい」というところでしょうか。
かなり年配の方なら、わかる有名なフレーズ。

実際の職場は現在修羅場で、殺伐極まりない。
苦渋の決断。微妙な判断。見捨てたのか。諦めたのか。
足元を掬われる。申し開き？　工作？　テクニック？
適当？　丸投げ？　形だけの会議？　保身？　
ふたを開けたら思いもよらない結果？
お口あんぐり、心にぽっかり大きな穴。

とにかくこの時期、悪魔の３月とでも言いたい盛り沢山。
あ、悪夢の３月。胃は痛く、顔はむくみ、
上を向かずにうつ伏せになって寝てしまうため、
血行障害なのかどこか圧迫したのか、毎朝体が痺れている。
右手が浮腫んでいる。違和感のあるまま朝はキーボードに向かう。
肩も背中もパンパン。でも、ほぐしに行く時間も無い。

私は貝になりたい―あるBC級戦犯の叫び

デザートは死―尾崎秀実の菜譜 (中公文庫)

午前中雑務をこなして、午後会議に臨む。
同じ部署の主任から、予めの打ち合わせや事前準備、
予備会議で何も無かったことを、いきなり振られる。
というよりも、この結果でいいのかと責められた感じ。
間違いは無いのか責任を取れるのかと。
その責任者は、一体誰？　今までの指示内容は何？
その後、面と向かってではなく電話で色々言われ・・・。
余りの物の言いように、怒りを通り越して情けない。
共に仕事をしてきて、一気に信頼関係を崩す出来事に唖然。
お口あんぐり、心にぽっかり大きな穴。

ここに来て４年。本当に難しい職場だと思う。
本当にいい加減な職場だと思う。
辛ければ辛いほど、適当に流してやり過ごす人の多い職場。
しかし、人が入れ替わり確実に変化。
されど持ちこたえられず、壊れていく人。
事故や病気、諍い、疑心暗鬼が絶えず渦巻く。
そして人事異動の滲み出し。余りに余りな時期。
荒んだ関係が思い知らされる現場でもある。

ナマモノの感情労働の現場。
脆い網の目を支えあって、繕いあって仕事をしている。
なのに部署の長や主担から、周囲の足元を固めるより先に、
丸投げ・適当・辻褄合わせで保身にキュウキュウ。
話し合いも、会議も、段取りも、積み上げて来たものは何？
１年間、何だったのかわからない。
トカゲの尻尾切りに回されるだけなのか、私たち。
そんな思いに打ちひしがれる、今日の会議。

哀しみと憤りと虚しさと情けなさ。疲労だけが積み重なる。
しかし日常生活は待ってはくれないので、娘のお迎えに。
音楽教室、進級テストの申し込み、費用払い込み、
予約していた掛かり付けの歯医者。定期メンテナンス。
いつもの歯科衛生士さん。大学病院のほうはどう？　と
話をしながら、お手入れの時間。

痛かったら左手をあげて下さいと、いつも言われる。
でも、ちくりとする事はあってもズキズキすることは無い。
子供の頃矯正したものの、歯並びは今ひとつの私。
綺麗な歯どころか、磨いても磨いても上手く行かない。
上手に磨けていないんだろうなあ・・・。
ポケットの奥、歯周病菌よさらば、歯の隙間がすっきり。
歯茎のマッサージはスーッとミント味。
口の中が爽やかになっていくと同時に、疲れもほぐれる感じ。

こんな奥歯の方まできっちり仮歯が入っていて、
上手な先生ですね。少々力入れて磨いても大丈夫。
しっかりブラシ当てて下さいね。
少し悪い血たまっていたみたいですね。
歯石の方は取っていますから、少し出血してますけれど、
歯茎はしっかりしているから大丈夫です。
歯間ブラシが入りにくくなっている所、
今日からまたちゃんと入れてお手入れしてください。

病院の方は遠いので、もし仮歯が外れるような事があっても、
こちらでも付けられますから、来て下さいね。
仮歯はプラスチックなのでどうしても汚れが付き易いから、
今日茶渋を落として、他の歯と同じように掃除しておきます。
年に３回ぐらいのお手入れはこれまで通り来て下さいね。
・・・お手入れが下手だなんて決して言わない。
患者の自己管理と通院のモチベーションを落とさないよう、
しっかりフォローのプロ精神が頼もしい。

いつもの先生に仕上げチェックしてもらう。
大学病院にいた頃の思い出話も、ほんの少し。
女の先生が多い時代になったということも。
まあ、午前中に二人って感じでのんびり診療できるので、
あんなことしてみよう、こんなこと試そうと思いながら、
僕も色々やってみましたけれどね。
フィードバックも受けられるしねえ。
先生は呟く。

いいなあ、同じ仕事の人を認めて、仕事の出来具合を認めて
悪口も言わずに、お互い同じ仕事に打ち込んでいる、
病院の先生、掛かり付けの先生、歯科衛生士さん。
紹介状を書いてくれた先生も、病院の先生も。
私は運が良かったんだなあ・・・。

この所の職場の凄まじさにがっくり着ている私。
歯のメンテナンスで。少し癒されました。
心の疲労は、ピカピカの歯で、美味しいものでも食べて、
栄養取って、再び戦場に出向かなくては、ね。
待合室で待ちくたびれた娘と買い物、外食して帰宅。
これぐらいの贅沢、いいよね。

音楽教室の帰り、歯医者、買い物、外ご飯。
市川昆監督追悼映画、BS、『犬神家の人々』
おどろおどろした世界と、若々しい石坂浩二を堪能。
こんな血で血を洗う骨肉の争いに比べたら、ましか？　
職場の仕事？　諍い行き違い、いやいや、感情労働、
誤解、逆撫でされる虚しさ。いろんな事があった１日。

疲労拾う私、心の中をどうやって掃除して捨てる。
疲労を捨てる。悔しさや哀しさを捨てる。
おまじないおまじない。歯のお掃除のおまじない。
今日貰ったプラスのストロークを思い出して、
歯磨きと一緒に流してしまおう。
苦い思いを唾棄しよう。さっぱり、捨ててしまいたい。

今日われ生きてあり (新潮文庫)

子どもが変わりだす言葉がけルール―励ますことば・傷つけることば

喜ばれる―自分も周りも共に幸せ