Festina Lente2

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組織―巡り巡るご縁

ぴっかぴっかの一年生♪ いや、違った。
ぴっかぴっかの新年度。異動、転勤、新しい顔ぶれ。
新しい上司、新しいチーム、新しいローテーション、
目白押しの会議。一つ終われば別の招集が掛かる。
なんと気ぜわしいことよ。本会議の前のプレ会議。
さて、どんなふうに新人さん、新顔さんを迎え入れるか。


あっという間に空気の色が変わっていく。
そう、昨日までいた人はもういない。
別世界の別天地で、今までとは別の顔で仕事をしているはず。
たった一日でも、Out of sight, Out of Mind.
悲しいけれどそれが現実。わびしいけれど、それが仕事。
気持ちを切り替えて、新しい波に乗る。新しい波を作る。


退職者、転勤者、再就職者、短期雇用者、若い人、年配の人。
あれれれ、なんと奇遇なって、そういう歳になったのね、私も。
顔を見れば見知った人が5人を越える。この業界も長くなると、
どこかで知り合っていたり、以前の、その前の職場で同じだったりと、
ご縁がある事が珍しくなくなってきた。
キャリアとは、いつの間にか巡り巡るご縁で
お互いに仕事し合う仲になることなのね。


もっとも、腐れ縁だったり、犬猿の仲だったりすると困る。
誰かの知り合いで「宜しくと言付かってきました」と
挨拶されたりすると、普段からのお付き合いも無く、
何年もお会いしていないのにと、恐縮至極、ありがたい。

働く理由 99の名言に学ぶシゴト論。

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なぜ、働くのか―生死を見据えた『仕事の思想』 (PHP文庫)

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気くばりのツボ (Sanctuary books)

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いつまでも若いつもりでいても、あちこち故障が増え、
噛めない物、噛み切れない物が気になり出し、
子どもの事ばかりか、親のことも自分のことも気になる年齢。
ランチに行けば同僚と介護付き老人ホームの話や、
アルツハイマーの症状、服薬の話になったりする。
仕事の合間を縫って、通院・介護を続けるのは当たり前。


どこかの誰かのようにお手伝いを雇って、親戚縁者も含めて
子育ての補助をする人間がいて、7人もの子供を養える身分じゃない。
誰もが老いていく、好きで怪我したり病気になるわけではないのに、
福利厚生から切り捨て、自分の未熟な若さを決断力や行動力と
勘違いをしているにわか政治家と同じ暮らしはできない。


社会的に、経済的に、能力的に、精神的に、身体的に、
あらゆる意味で虐げられ傷つけられる。
彼の発言、ニュースを聞くたび、そんな気がする。
言いたい放題思い付きのように動き、確たる政策も持たず、
会議の討論そのものを開示することもできない。
場が場なら、アカハラ・セクハラと訴えられてもおかしくないことを
平気でいう都知事を師と仰いで、仕事をするような人間。
ご丁寧にメディアが流す情報に尾ひれが付き、うんざり。


彼のお陰で新年度つまづいている職場も多い。
その余波としてありがたかったことは、ただ一つ。
喫煙場所が公共の場から減ったこと。
「禁煙!」が当たり前になったこと。これだけがめでたい。
暗いニュースが続いて、切り捨てられた部分の影響を受け、
アップアップしている感が強い、新年度の職場。


久しぶりに巡り会った人は、信念を貫いて干されていたり、
お役御免で放り出されたり、所払いを受けている人も多い。
所詮、すまじきものは宮仕え。機能不全組織。亜流社会。
そんな中に、かつて共に仕事をしたという同僚意識、
間接的な先輩・後輩意識が思いがけないネットワーク力となり、
年度末・年度始めに引き裂かれた人間関係を、修復して掛かる。


噂話、近況報告、慇懃無礼な挨拶、ちょっとした目配せ、
苛立ちを隠した笑顔、不安と戸惑いの受け答え、
知らないわからない、又はその振りをしながら相手の様子を伺い、
自分の置かれた環境を観察する時間を稼ぎ、
信じられないあり得ない「ここ」での現状を垣間見、
ともすれば眩暈がしそうな環境の激変に耐える。


恒例の挨拶の後に続く様々なオリエンテーション
渡されるデスク、初めての建物の中で迷子になりそう。
足元が揺れるような疲労感を感じながら、
見知った顔に安心したり、うんざりしたり。
時に警告灯が回るような胸騒ぎを感じたりしながら、
あっという間に時間が過ぎていく。
もしくは、1日が嫌になるほど長く感じられ・・・。


勿論こんなふうに感じない人もいるだろう。
新しい別天地、今からが自分の本領を発揮できる所。
培ってきた実力を、伏せてきた本当の姿を、
キャリアアップする為には一旦泥炭にまみれようとも、
経歴には必要なこと、やり遂げてみせると、
野心の礎に仕事のモチベーションを持つ者も。


また、何も知らぬ新人としては抗うこともできない任地。
ひたすら訊き、尋ね、覚え、試し、試み、工夫し、試行錯誤。
新しい経験から自分のこれからの仕事内容を構築再構築、
まずは慣れるまで人の顔を覚え、集団の中での立ち位置を、
「右を見て左を見て、また右を見て渡りましょう」交通安全。
勝手に飛び出して渡ってはならない、横並びの日本の美徳、
「出る釘は打たれる」を念頭において、自分の個性を隠す。
機に敏、目上に礼、苦言に忍、笑顔を忘れず、フットワーク軽く。


転勤を繰り返せば否が応でも見聞きする出来事。
個人的な情報から組織の内部まで。
いい所悪い所、往々にしてスキャンダルは瞬時に、
もしくは秘密裏に情報交換されているもの。
何も知らなければ心穏やかに過ごせたであろう数日間が、
針の莚になったり泥の小船になったり、
ありもしない疑心暗鬼に導かれて胃に穴が開くような、
無言の突き刺さるような視線に晒され、
或いは密やかなささやきや笑い声に怯え、
孤独感を深め、苦悩する。
そんなふうに追い込まれて行く事も珍しくはない。


組織、人が密集し、行き交い、協力し合いながら反目。
総論賛成各論反対。各論賛成総論賛成。何がどうなんだか。
屋台骨や土台を支える実質は、質実剛健とは言えない。
ごく一部の誠意や犠牲でまかなわれているような脆さ。
これが組織の実際だなんて知らない方が良かったと思いながら、
年齢が綻びを繕う技を覚えている場合もあれば、
年齢に関係なく、綻びしか作れない者も存在する。
組織。社会の縮図。


小さな業界、それでいて大きな業界。同業者、同僚、組織。
巡り巡るご縁の中で、せめてお互いが心安らかに、
今の不安を少しでも軽く、これからの負担を幾らかでも軽く、
お互いがお互いのための戦力として、協力者として、
狎れ合いではなく、融通の利く関係性を持ち、
同じ方向を見て仕事をしていく事ができるのならば、
明るい日差し、春の風を感じる事ができる新年度。


嘘ではなく新年度が始まり、人の思いは交錯する。
エイプリルフールではない、現実の、どう転んでも現実の、
白昼夢で支えてはならない現実の始まり。
どれだけコミットできるか、コミットメントできるか、
試される日々の始まり。
それは新しく来た人も、受け入れる側も試される日々の始まり。

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