Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

退院に向けて11日目

(この項 5/12UP)

久しぶりに肌寒い。外は雨。今日はトレーナーが必要。
もっとも病院の中は暖かい。パジャマの上にベストを羽織り、
朝晩の抗生剤の点滴を受ける。ヘパロックから解放された腕が
毎回チクリと刺されるのはちょっと嬉しくないけれど、
何もくっついていない、自由な体は気持ちがいい。


それにしてもナースに「1週間も同じ抗生剤で大丈夫?」と
2回質問したら、ピレタゾールからパンスポリンに変わるとは。
おまけにナースは「抗生剤はもう終わりです」と言ったので、
1日で新しい抗生剤が終わるわけなかろうと思っていたら、
案の定、続いている。やれやれ。


それでも今日は嬉しい事があった。
一つは、雨の中上司がお見舞いに来てくれたこと。
これが1年半前とは異なる状況なのだ。
人事異動の賜物で、トップは元同僚、本日2番手は温厚なる紳士、
彼も憩室持ちで、他人事では無いのだそうだ。


この4月から上にはやや恵まれたものの、却ってそれが災いし、
あることないこと吹聴し、悉く異を唱えては爆発している、
そんな輩に手を焼いて、尋常ならざる苦労をしたのを、
彼が重々わかってくれているのが、せめてもの幸いなのだ。
一昨年までの職場ならば、上司が部下の所に足を運ぶなどありえない。
見舞いなど考えられない職場だったから。

ヒトづくりのおもみ

ヒトづくりのおもみ

「困った人たち」とのつきあい方 (河出文庫)

「困った人たち」とのつきあい方 (河出文庫)


土曜日の午後なのに院長回診。このまめさに関しては頭が下がる。
さすが主治医兼経営者。大名行列さえなければ、素直に偉いと思う。
何しろ週の内4日は午前診療に入り、この水目金土毎日午後回診。
11の科を束ねる個人医院の病院長としては、頑張っていると思う。


相変わらずナースはピリピリ、お腹を出しておけとうるさい。
パソコン台を押しながら来るので、慌てなくても大丈夫、
パジャマからお腹を出すのは1秒も掛からないのに。
今日の院長はパソコンをしばし眺めて思案顔、おもむろにのたもうた。
「よし、月曜日にもう1度血液検査とレントゲン。
 状態が良ければ水曜日退院としよう」待ってました、その言葉。


初めて見通しのあるお言葉を頂いた。それも前向き確定的発言。
むろんすぐに職場復帰は出来ないので、自宅療養期間を追加で頂く。
日常生活に体が緩やかに慣れれば、痛みはすぐにぶり返したりはしない。
殆ど歩かず、パソコンに向かう時だけ体を起こし、大人しく安静。
シャワーのお許しは出なかったけれど、今日から心が少し軽い。


本日は家人の通院日。娘の学童のお迎えも兼ねて来てくれた。
食べられるようになったよと言ったら、「プッチンプリン」のお土産。
嬉しくないこともないが、自分の食べたいものを買ってくるのはどうかと。
そして、娘と共に夕飯は外で食べると、わざわざ遠いスガキヤへ。
おかしな食のこだわり、愛知県人の家人。
昼ならともかく、余り晩御飯には連れて行って欲しくない場所なのだが。


退院の見通しを伝えても、月曜の検査結果次第なので、
2人ともそれほど喜ぶ様子も見せない。案外冷静な父と娘。
それよりも、ノートPCでスパイダーソリティアをしたがる娘。
やれやれ、かーちゃんにお話しすることは無いのか?


とーちゃん曰く、今日は17時から「ちりとてちん」の特集とな?
新聞を覗くと、どうやら再放送。全員見ていないので、
病院のベッドで3人で25分間、ワッハ上方からの特集を見る。
家人は落語好き。私の退院後、家族で繁盛亭へ行きたいらしい。


ちりとてちん」はストーリーも良かったが、
昨今のお江戸ブームを背景に、昔の庶民の知恵や笑い、
上方落語の世界と重ね合わせた演出として、
「落語」そのものの魅力を全国的に伝えたと思う。
NHKの「にほんごであそぼ」と同様、ほんの少しずつでも
自国の文化、守り伝えてきた古典の面白さ楽しさを
色んな形で学ぶ事が出来るというのは、大切至極。


されど、大阪は分か果つる地。
儲けに繋がらない、直結しないものを長い目で見て行こうとはしない。
このままでいけば、長屋王邸をデパートの地下にしてしまった奈良の二の舞。
弥生博物館もその発掘の地から切り離されて、
ワッハ上方もどこぞへ移転と予算採算、破産と算盤を弾かれ、
その場に在ることの意味を無視して、いい加減に統合されてしまう。
存在意義のない無用の長物として。


訳のわからないイルミネーションに20億円も使うと言う知事。
神戸ルミナリエの真似をしたいのか?
御堂筋パレードに代わる目玉を打ち上げたいのか?
それこそ無駄遣い。君の給料を半額返上した位で
恩着せがましく立ち上げる計画ではない。
大阪の財政はかーちゃんの憩室炎どころではないようだ。


世界一受けたい授業」では体の歪みをチェックし、
チーム・バチスタの栄光』で同じみの海堂尊の講義を聴く。
この所、あちこちで話題になっている「死因不明社会日本」講座。
この先生のお陰で、AIは随分メジャーな概念になってきた?
何しろ日本は世界の50%以上のCT保有国。
CTどころかMRIだって沢山ある。
ショッピングセンターの2階にある小さなクリニックにさえも、
MRIがドンと鎮座ましましているくらいなのだ。
(人口の多い大阪に住んでいるせいもあるが)


MRIはガンガンうるさいけれど、慣れてしまえば中で寝てしまう。
じっと動かないで検査が出来るし、痛く無いからCTもMRIも平気。
閉所恐怖症でなければ、怖くない検査。
担当者が直接教示ならばそう問題は無いのだが、
コンピューター教示のCTは結構お馬鹿なので、不評だ。
「息を吸って吐いてとめて」のタイミングが早過ぎて、物凄く苦しい。
人間はその台詞通りに呼吸は出来ない。
せめて、呼吸の間を確保できるようセッティングして欲しい。


そうこうしているうちに就寝時間。消燈。
ひっそり私はパソコンに向かう。小窓を明けに。
自分だけの電脳玉手箱旅行に出かける。

ダウランド:リュート集

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魂の窓

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