Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

再生への夢?

気が付かないうちに、アクセス数が6万を越えている。
ユニークアクセス数だと46000を越えていた。
8月で丸2年になるけれど、マイナーな日記にはありがたいアクセス数。
で、ちょっと調べてみた。5月もっともアクセスされた語句は・・・
何と注腸検査。私の憩室炎・腹膜炎の入院日記だったのに、
「注腸検査」のアクセス数の多い事。びっくり。


そして、井上ひさしの小説について言及したせいか、
井上ひさし 握手」が同じくらい多い。
もっともこれも、死期を悟った恩師との別れに際して、
主人公が握手に抱いた感慨を連ねた話なので、
私は好きだけれど現実はマイナーな話かと思っていたのだが、
どうやら、世間では違ったのかな。


医療関連というほどの記事はなくて、自分自身の入院体験が
5月の半分以上を占めたせいか、アクセス数は普段の1.5倍。
みんな訪問してから、「何だ、これ?」とびっくりしたかも。
でも、書いている自分にとっては書かないと忘れてしまうし、
入院中と退院直後、職場復帰後は刻々と気分も体調も変化するので、
自分でも後から読み返して、「こんな事思っていたんだ」と
びっくりする事もあるし、しみじみしてしまうことも。


医療関連のニュースでいえば、一昨日のテレビ番組、
近未来×予測テレビ「ジキル&ハイド」で見たニュースが面白かった。
何と言っても、生きた細胞を含んだインキで血管を3D印刷。
将来的には心臓も印刷して臓器コピーを目指すという話だったから。
20年後、体を悪くしても自分の細胞を使ったコピー技術で、
心臓を初めその他の臓器、骨さえも手軽にコピーできるとしたら・・・。
私や家人の悩みの種も、お手軽コピーで再生できるのならば・・・。

キーワードで理解する発生・再生イラストマップ

キーワードで理解する発生・再生イラストマップ


今日の「クローズアップ現代
話題は、“自分の細胞”で病気を治せ〜再生医療最前線〜
とても興味深く、面白かった。
自分の細胞が、自分の体の内部を治療していく。
骨髄からの幹細胞が、新しい血管を、角膜を、臓器を再生させ、
修復していく。万能細胞の応用も含め、どんどん広がる医療の世界。


昔、あれは何の講義だったか。心理学か、民俗学か、何だったろう。
自分の欲しい所、直したい所の部位を食べれば病気が治る、
より強くなるというある種の信仰、信念で食が司られたという話。
ある動物の部位を飾りにして身に付けるのも同様と聞いたような。
肉食獣の牙を、敵の勇者を屠り貪る食人の行為も、
ひとえに自分自身をより良くするための行為から発すると。


自社に祭られた「びんづるさん」の頭を撫ぜては、祈り、
手を撫ぜては祈り、肩を撫ぜては祈り、とにかく、
「病気平癒」「良くなりますように」
線香の煙を浴びて、無病息災を祈る。
人形(ひとがた)を作っては、自分の厄災を背負ってもらう。
そして、より良い自分の生、在り方、再生、新生を願う。


自分の細胞で自分の不良箇所、患部を再生維持できるのならば、
拒否反応や免疫抑制剤の副作用に怯える事も無い。
自分の中の目に見えない自分自身が、自分を修復・再生させる。
そのイメージに思わずうっとりしてしまう。
(内因・外因を問わず、自分自身を傷つけているのは、
 ほかならぬ自分だという事を棚に上げてしまって・・・だが)


傷つき癒されるまでの道のりは、医学であれば目に見えやすい、
誰の目にも歴然とした事実として残るのに、
心理的な傷も病状も、客観的事実として認められる以前に
隠蔽され、葬り去られ、無意識に押し込められ、
沈殿し、抑圧され、主観として陽の目を見る事も無い場合も。


そうやって傷ついた心の中を、心に小さな細胞があるならば、
絶えず血流のような流れに乗って、心の隅々にまで運ばれ、
心の修復作業を行っているという事が、あるのだろうか?
私は夢想する。
傷つき目に見えない血を流し続けている事を、
目を逸らして、見たくないものを意識から消して生きている、
流されているその合間にも、再生への道を、
癒しへの道を歩んでいる細胞が、心の隙間を漂っているのだろうか。


そうあって欲しいものだと夢想する。
意識して傷を癒そうとすればするほど、
その傷の深さに足を取られ、ぬかるみでもがく羽目になる、
未熟な精神回路を持て余してしまうから。

人間できていないや・・・と自己嫌悪に陥って、
いつまでの同じ失敗をしているんじゃないかと疑い出し、
堂々巡りを始めてしまう事になるから。


その無限ループから少しずつ逸れて、
地道に地道に心の修復を続け、繕い、補強する逞しさを、
自分自身の心の細胞が持っていて、心身の隅々まで運ばれていく
すがすがしい清流のような流れを、思わず夢想してしまう。
そんな雨上がりの夜。

iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?

iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるか?