Festina Lente2

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奇跡のシンフォニー

何といいますか、子ども向きなのか大人向きなのか。
去年の音楽アニメ『ピアノの森』のアメリカ版?
割と安直な感じがしないでもない、ありえない話、
現代ファンタジーにすがすがしさを与えているのは、
ひとえに主人公役のフレディ・ハイモア
こういう目力というか、ウルウルした瞳に抗うのは難しい。


映画好きの両親のお陰で、贅沢な環境にある娘。
一丁前に子役で好きなのはフレディ・ハイモア
大人はハリソン・フォードニコラス・ケイジだとほざく。
フレディ・ハイモアはジョニー・ディップがいい味を出していた
ネバーランド』で注目された。(娘はこれだけ見ていない)、
チャーリーとチョコレート工場』でも共演。
その後、『アーサーとミニモイの不思議な国』(家人と娘のみ見た)
スパイダーウィックの謎』と出演。
今回の映画は原題が“August Rush”これじゃ売れないと、
邦題が『奇跡のシンフォニー


何が奇跡ってある意味、フレディが出ていると固定客が付く点?
娘のような「彼が出ているんなら見てもいいよ」というファンが、
日本には大勢いるに違いない。特定の子役に執着?
というよりも、「子どもと動物には勝てない」映画の世界だし。
子役には子役の華があるから、今が旬だといえる彼のための、
「いいとこ撮り」映画という感がしないでもない、この作品。

KLANG DES HERZENS

KLANG DES HERZENS


実は最初は見る予定はなかった。
家人宅へ向かう途中、出張帰りに娘としないで待ち合わせ、
簡単な夕食(屋台のケバブ)を持ち込み、観たのだ。
特に映画についての前もっての知識があったわけではない。
邦題に「奇跡」なんて言葉の付く映画に余りろくなもんは無いし。


音楽版『オリバー・ツイスト』のような雰囲気あり、
ハーレクインス浪漫タッチの恋愛あり、
『母(両親)を尋ねて三千里』の背景は透けて見え、
こんな演奏・作曲、ありえんだろうのオンパレードで、
神童演出もここまで来ると「クサイ」演出なのだが、
まあ、子どもが主役のファンタジーを思えばいいさという感じ。


ロックファンとクラシックファンを双方満足させたかったのか、
コンサート風景やゴスペル、ジュリアード音楽院等、
ストリートミュージシャンと絡ませて映し出す。
音楽が重要な背景というよりも、様々なものに音楽を感じるという
そのこと自体に重きを置いていたのだろうけれど、
結局は平凡な善意の積み重なるストーリー。
生活感の希薄な映像から感動が伝わってこない。


音楽は単なる「父母恋し、子ども恋し」の土台なのか、
その辺があいまいだったし、ラストの指揮も今一つ。
(ギターを叩いている時の表情の方が良かった)
まあ、こんなもんかなあと思いながら観ていたのだが、
けなげに字幕で観ている娘にとって、
この単純なストーリーはわかりやすくて、楽しかったよう。


私にとって意外な出演者は、それこそ久しぶりに見た
ロビン・ウィリアムズ。老けたなあというか、何というか。
彼の40代、立て続けに色んな作品に出演。
家人と見に行った映画作品の数も多い。
『パッチ・アダムス』はビデオでも持っている。
しかし、アル中その他しばらく続いたごたごたで、
スクリーンからご無沙汰だった彼の今回の役。


その音楽を愛する人間としての側面は、以前の彼のイメージ。
しかし、兼ねに固執し主人公を金づるとして働かせよう、
音楽を食い物にしようとしている哀れなプロモーター役。
停滞気味だったロビン・ウィリアムズの姿と重なり、
何だか胸が一杯になってしまった。
渋くてもっといい役が出来るはずの数年を、棒に振った彼。


反対になかなか映画の間、思い出せなかった顔。
主人公を母親の間と引き裂いた祖父役、ウィリアム・サドラー
ずいぶん老け顔・ちょい役で出ていたので、気づかなかった。
彼はNHKでもブレイクしていた『ロズウェル−星の恋人達』の
保安官役で出ていたのだった。
娘が小さい頃、このロズウェルシリーズは私のお気に入りだった。
昔の『少年ドラマシリーズ』の一連のSF作品を髣髴とさせるので。


まあ、長く映画を観ていると主役以外の脇役に
あれこれと思いを馳せてしまう。
これが歳を取ったっていう証拠なんだろうね。
そういえば一世を風靡した子役、フレディ・ハイモア
少しばかり雰囲気が重なるハーレイ・ジョエル・オスメントは、
「ハタチ過ぎればただの人」になっているし。
ジョディ・フォスターのように子役からスタートして、
第一線で頑張り続けるのは至難の業。


花伝書』じゃないけれど、その時々の華を追うのは難しい。
若い時なんてあっという間だったなあというのは、
年老いてから感じるものだしね。
単に映画を観ているだけでも、映画の見方感じ方も変わってきた。
それにしても、8歳の娘とこうやって映画を見るようになったわけだ。
字幕でOKで。時間が経つのは早いなあ・・・。


それにしても、原題、“August Rush”のままだったら、
日本人には何のことか、わからないものね。
主人公の芸名だって言ってしまえば身も蓋もない。
ロビン・ウィリアムズが映画の中で、「人はwishを持っている」
云々のくだり、どうしてこの芸名が映画の題名になったのか、
この薀蓄を誰かに教えてもらいたい。
たまたま、本日はアメリカ独立記念日
(本当は、パリ条約の日(実際の独立日)1783年の9月3日とのこと


私のイメージでは8月、夏に何かがどっと押し寄せてきて、
その奔流の中で何かが変化する、そういう感じ?
8月で始まる映画といえば、『8月の鯨』、もう一度観たいなあ。
映画はいい、一瞬の現実逃避だけれど。
さて、仕事、仕事に戻るか・・・。

ロズウェル・星の恋人たち ― オリジナル・サウンドトラック

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ライフ・フォー・レント

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