Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

『ミラクル7号』前後

土曜の朝の贅沢、朝寝坊。しかし蒸し暑さで寝ていられない。
朝食の準備の合間、焼きたてのバゲットにバター。
オリーブ・ピメントを薄切りをのっけて、かぶり付く。
作りたてのジャガイモとトマトのスープに粉チーズ。
冷たいきゅうりと玉葱のサラダ。
一服した後に、デザートは頂き物の堂島ロール
贅沢な土曜日の始まり。


洗濯物を干し、ほんの少し仕事をし、七夕飾りを作る。
じいじから貰って運んできた小さな笹に、
色紙や古いカレンダーで作る、お飾りの数々。
一夜飾りは縁起が悪いから、今日のうちに飾ってしまわないと。
家人宅で作るのは初めてなので、彼の戸惑うこと戸惑うこと。
実際に子どもがいる生活というもの、
生活の一部はこういう手間暇だということを知らなさ過ぎる。


すったもんだした挙句に、何とか完成。ベランダに飾る。
ナスの味噌汁、いぶりがっこイカと舞茸の炒め物。
よく冷えたきゅうりとオニオンスライスのツナサラダ、心太。
早めの夕食、散歩。家人のリクエストで市内へ。
ミラクル7号』を家族全員で見たいというので、
連日映画館という運びに。
1度見たけれど、ぜひ家族で見なければならないと力説する家人。

【正規品】 ミラクル7号 ナナちゃん 等身大ぬいぐるみ

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「モナリザ」の食卓 おいしいスープとサラダがあれば

「モナリザ」の食卓 おいしいスープとサラダがあれば


昨日の『奇跡のシンフォニー』と同様子役対決でもある。
夏休み前後は家族連れを狙って娯楽映画・アニメ、SF、
子どもが主役の映画が増えるが、これもその一環と見る予定はなかった。
家人は自分と同い年の監督、チャウ・シンチーがお気に入り。
そして、今回男の子の役を健気に演じた女の子、シュー・チャオ。
監督はこの子に惚れ込み養子縁組までしたという。


さて、映画は如何に? 
一口で言うならば、SFタッチ3丁目の夕日学園版って感じか?
とにかく貧しい雰囲気が懐かしく感じる世代の人間は、
新手の『おしん』、香港版『E・T』、『親子鷹』いやいや。
とにかくアジアのツボというか、喜怒哀楽のツボを心得た映画。


奇跡のシンフォニー』からそぎ落とされた、生活感。
ファンタジーをファンタジーたらしめている清澄感。
画面の背景に流れる音楽が全てを帳消しにして、
正統派の感動を、笑いではなく涙でつたえよう。
神のみ恵に近い奇跡を信じよう的な発想からは程遠い、
SF娯楽映画『ミラクル7号』。でも、泣ける。
テーマは家族愛。


貧しくてもウソはつかず、ケンカもせず、
一生懸命に勉強すれば尊敬される。
世の中の役に立つ人間になれ。
子どもをいい学校に行かせる為、昼夜分かたず働き詰めの無学な父親。
扇風機もない暑い小さな部屋で、肩寄せ合って眠る姿。
懐かしい風景。親としては胸の痛む風景。


肉体労働の場、おかずのない弁当を食べるシーン。
学校のテスト、露骨ないじめ、貧しい生活。
しかし、陰惨にならないようにちゃんと笑いを取っているのだが、
やはり、ほろりとさせられるシーンが多い。
笑いのツボはサービス精神にのっとって挿入されているが、
本音の部分はやはり切ないやるせない部分が多い。


一人っ子を育てる片親、子どもにかける期待、生活苦、
そういうものにほんの少し、自分達の日常生活を重ね合わせて、
恵まれた自分達の生活を振り返って、
ラストシーンの「奇跡」に胸を撫で下ろす。
家人は父親として普段言えない言葉を、映画を通じて、
伝えたかったのかもしれないが・・・。


え? ミラクル7号が何物でどんな働きをするか?
それは見てのお楽しみ。子供連れ家族で見るならば、
奇跡のシンフォニー』よりも『ミラクル7号』の方がお勧め。
何となく、「アジアの血」が騒ぎますって。
何か、自分に近いものを感じますって。


ちなみに香港映画だけれど、今の中国を憂える要素も幾つか。
笑いの中にも、笑えない貧富の差、ありありと。
現実はこんなものではない、という気がする。
北京語ではない映画にほっとしている自分に気づく。
厳重な警備の街中を、のんびり夜の帰宅。


贅沢な土曜の夜。昔の蜜柑の冷凍を思い出させる蜜柑アイス。
ビール片手にウィンブルドンを見てお仕舞い。
凄い、5度目のウィンブルドン制覇。ヴィーナス姉妹は凄い。
ねーちゃん、強いなあ。親はどちらに応援して良いものやら。
ボーっとテレビを見て過ごす土曜日なんて、久しぶり。
夜が更ける。仕事はお預け。今日はぐうたら過ごしたい。