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オリンピック塞翁が馬

夕べと朝のオリンピックニュースで、1番感情移入したのは
クレー射撃の中山選手。どうしてもお母さん選手には肩入れしてしまう。
惜しくもメダルは逃したものの、日本の女子クレーでは過去最高の成績。
女手一つで子育てしながら、競技の腕を磨き、
キャリアを積むのは並大抵ではない。
家事と仕事を両立させるのは、至難の業だから。


仕事や試合・競技に打ち込める男性の多くは、
家事を分担したり、育児を引き受けたりはしない。
手伝っているといってもごみ捨てが関の山だ。
家事育児に費やす時間・労働配分、圧倒的に女性に皺寄せ。
何か一つに集中するために、それこそ「銃後を守る」存在が、
女性には無いのが実情。


娘に頑張っている母の姿を見せたい、記憶に残したい。
その思いをストレートに語り、「これ以上頑張れないと思うほど、
頑張った」と語る中山選手の言葉に、感動。
そして、深く反省。私はそれほど頑張れてはいないから。
仕事も家事も、手抜きのオンパレード。
でも、「子どもがいるから頑張れる」という、
母としての気持ちは痛いほどよくわかる。


中山選手は29歳。その頃の私はまだ独身、極楽トンボだった。
6歳の娘を育て競技に打ち込めるのは、若さだ。
若さの持てる強さ、勢い、情熱。
高齢出産を言い訳にしてはいけないけれど、
老老介護が現実になる自分としては、若いうちの子育ては羨ましい。
生活の基本、少々無理が利く体力は生き抜く「武器」、
若さは、美しさだけが武器なのではない。


娘さんの芽生ちゃんはは「ロンドンが終わったらやめてー」と
泣いていたけれど、クレーは経験が物をいう競技。
4年後でも33歳。まだまだお母さんは若いよ。
いっぱい応援してあげてね、芽生ちゃん。

中高生のお母さんを応援する にじ色式 部活レシピ

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女性の仕事環境とキャリア形成

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キャリア・ダイナミクス―キャリアとは、生涯を通しての人間の生き方・表現である。

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勝負の世界に明暗は付き物。勝ち負けが全てと言ったら、
身も蓋も無いけれど、結果をどういう形で出すか。
世界新で優勝」と自らに言い聞かせて、
見事平泳ぎ100m金メダルを勝ち取った、北島選手。
ふてぶてしいまでの度胸と勝負強さ、勝利への執念。
凡人が持てない強運と努力の賜物に、感嘆。


やわらちゃんの陰に隠れていたけれど、見事2連覇、金メダル。
柔道63キロ級、谷本選手。他の選手が怪我や故障に泣く中、
マスコミが「負の連鎖」なんて書き立てる中、
一本勝ちで勝ち抜いてきた技術・精神力には頭が下がる。
そして、なでしこジャパンの活躍も嬉しい。
ファンやマスコミに必要以上に騒がれた挙句、
実力を出せないまま終わった男子サッカー、
バドミントンのオグシオ野口みずき欠場。
それぞれの夏をどう噛み締めているのか。


もっとも、勝負は時の運。地の利もある。
「大国」「中華思想」の意地もあれば、歴史の爪痕もある。
日本に勝ちたいという執念や、観衆の応援(罵倒)の物凄さに関しては、
専門家が述べている。「友好第一、試合第二」はあり得ないと。
過ぎたる応援・熱意が、相手への脅威や威嚇以外の何物でもないと、
意識せずに行動する庶民が一般的なのだ。 
凶器と化す暴徒となるも、愛国心溢れる無知な国民となるも、紙一重
かつての日本だってそういう歴史の中で、人々は生きてきた。
それがリアルタイムで映し出され、白日の下に晒されるオリンピック。


平和の祭典の陰で、圧政に苦しみ嘆く人々はメディア上黙殺され、
合併再吸収以外ありえないという停戦拒否の侵略があっても、
何の抑止力を持たないオリンピック。
史上最多の国と地域から集まった人々は、理想の前に集うが、
それは現実から逃避して一瞬でも夢を見たい世界中の願望が、
歪んだ形で現れているに過ぎないかのようだ。


CM料、放映権、スポンサー、様々な思惑が絡んだ商業ベースの
平和の祭典は、個人の力量を競い合うのではなくて、
国力を見せつけ合う場になってしまうのが現状。
そういう中で、人生万事塞翁が馬と淡々と試合に望み、
実力を発揮し、又は次回に備え、後進の為に経験を積み、
いったん失ったかと思えるものを自らの糧とする。


期待とその結果は必ずしも比例しない。予想外の展開、結末。
だからこそ、面白く切なくわくわくもがっかりもする。
何が起こるのかわからない、予定・期待・望み通りはあり得ない。
マスコミが結果を報道するたびに、
その事実をどのように受け止めればいいのか。
直接スポーツに参加する自分は、ふと考え込む。


夕刊に「体操男子銀」の文字が躍る。立派ではないか。
トップをひた走る、全員中国雑技団? 少林寺? 太極拳
そんなエリート体操王国中国と戦って、2位。
何の文句があろう。直前までの調整、競技種目の入れ替え、
そんなハプニングにもめげず、試合を戦い抜いた。
連覇の夢にこだわり過ぎるよりも、
ここ北京でこれだけの結果をしっかり残せた事が大事。


4年に1度の祭典。それは、次に何を伝えられるか、
何を残せるか、過去にこだわり続けるよりも、
未来を見据えた人育て、組織育成に繋がっていく。
ママが選手であることが、独身で活躍することが、
男だから、女だから、だから?
そして、次に何を伝え残していくのか。
選り抜き生え抜きの人たちが果たすべき責任は、
試合の場だけでは終わらない所にある。


毎日の生活は連綿と続いているので、節目としての日を設定しにくい。
(だから季節の年中行事や、卒入学の式典が大切なのだけれど)
人生万事塞翁が馬。そういう私は何を残せるだろう。
オリンピックではない、自分だけと向き合う毎日。
家族と過ごす毎日。仕事を続けてきた毎日。
何と競い、比べ、戦い続けなければならないのだろう。
ふと、振り返る。オリンピックと雲泥の差はあれど。
ゴールや金メダルとは無縁の毎日の中で。
競技人生ではないけれど、
残すべき伝えるべきものがあるはずだから。


残したい伝えたいものがあるはずだから。

思いが人生をつくる (「セレンディップハート・セレクション」シリーズ)

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