見間違い・苦笑い
ゆらゆらと揺れているのは、自分の中の何?
木の枝が風にそよぐように、心地の良い揺れ方?
アスファルトの道路の陽炎のように、もやもやとした感覚。
ボーっとした頭、歩いているのは昨日、今日、今、どこを?
あ、誰かまたポップコーンこぼしている、道路の上。
白い、白いかさかさしたものは、・・・花びら。
百日紅の白い花びらが、風に舞って、熱い道路の上を
見知らぬ家の庭先から突き出た、枝が、
渡し損ねた「夏の思い出」を吹きこぼして。
どこかで見た景色、わからない。思い出せない。
フラフラと、くらくらと、暑さのせいで、それとも元々?
ゆらゆらと体が揺れるような、ふわふわと浮くような、
頼りない歩き方をしている、私?
蝉の声、まだツクツクボウシじゃないから夏は終わらないはず。
ここは新しくなった歯医者さん、いつもの道端。
野葡萄が名字だったっけ。変わった名前のはいしゃさん。
・・・のぶとうしかいいん。のぶ、とう、しか、いいん。
のぶどう、うし、しか、いいん、いや、そんな筈は。
それが見間違いだったことに気付くまで、とても時間が掛かる。
ポップコーンが、白い花びら、百日紅の名残だと気付くまでに。
頭の中に色んな森のイメージが飛び交ったかと思っていたら、
名字の読み間違え、それでも白昼夢が広がる。
心の中で、ちょっと苦笑い。
8月は残り10日。頭の中はいつまで夏?
朝夕の風邪は涼しくなってきた?
このぼんやりした頭を少しや冷やしてくれそう?
自分事のような、他人事のようなふわふわした気持ちで、
買い物袋をぶら下げて、歩いている、私。
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