Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

見間違い・苦笑い

ゆらゆらと揺れているのは、自分の中の何?
木の枝が風にそよぐように、心地の良い揺れ方?
アスファルトの道路の陽炎のように、もやもやとした感覚。
ボーっとした頭、歩いているのは昨日、今日、今、どこを?

あ、誰かまたポップコーンこぼしている、道路の上。
白い、白いかさかさしたものは、・・・花びら。
百日紅の白い花びらが、風に舞って、熱い道路の上を
見知らぬ家の庭先から突き出た、枝が、
渡し損ねた「夏の思い出」を吹きこぼして。


どこかで見た景色、わからない。思い出せない。
フラフラと、くらくらと、暑さのせいで、それとも元々?
ゆらゆらと体が揺れるような、ふわふわと浮くような、
頼りない歩き方をしている、私?


蝉の声、まだツクツクボウシじゃないから夏は終わらないはず。
ここは新しくなった歯医者さん、いつもの道端。
野葡萄が名字だったっけ。変わった名前のはいしゃさん。
・・・のぶとうしかいいん。のぶ、とう、しか、いいん。
のぶどう、うし、しか、いいん、いや、そんな筈は。


それが見間違いだったことに気付くまで、とても時間が掛かる。
ポップコーンが、白い花びら、百日紅の名残だと気付くまでに。
頭の中に色んな森のイメージが飛び交ったかと思っていたら、
名字の読み間違え、それでも白昼夢が広がる。
心の中で、ちょっと苦笑い。


8月は残り10日。頭の中はいつまで夏?
朝夕の風邪は涼しくなってきた?
このぼんやりした頭を少しや冷やしてくれそう?
自分事のような、他人事のようなふわふわした気持ちで、
買い物袋をぶら下げて、歩いている、私。

酔郷譚

酔郷譚

よもつひらさか往還 (講談社文庫)

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