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日本は33位

日本の大学進学率は世界の中で33位らしい。クイズで知った。
日本は教育国だと思われていたのは遥か昔。
礼儀正しい国民だと思われていたのも、遥か遥か昔。
勤勉という言葉そのものを聴かなくなって久しい。
大学が最高学府だなどという言葉も、もはやそぐわない。
駅弁大学どころか、淘汰されていく運命にある大学・短大も多い。


何しろ雨後の竹の子レベルの学部学科の創設で、
少子化時代の子供を取り合うため、一人頭100万円は
大学生にふさわしい学力なんて無くても、大歓迎される。
収入源、学費納入の札束として、大歓迎される。
社会に出る際、履歴書に1行書き加えるための進学?
そう思わなければならないほど、何も出来ない。


ごくごく普通の高校生が、読めない・書けない・理解できない。
何の診断が付いているわけでもなく、ごくごく普通。
お上が要求する基準に達しない児童生徒なんぞ
五万といるから、進学先も仕方が無いと諦めて受け入れて、
どんどん「学府の幼稚化」が加速される。
ちなみに大学・短大へ約54%進学するというけれど、
どれだけきちんと学んで卒業しているんだろう。


毎日のお笑いクイズ番組では、非国民か? と言いたくなる位、
読み書きそろばん、書き取りや計算の出来ないタレントが
画面をにぎわせている。小中学生までも、勉強しなくても
お金が稼げるなら、ああいうタレントが楽でいいと言うそうだ。
嘘や冗談であって欲しいが、楽して生きたいという本音なのだろう。
恐ろしいことだ。
ワープロ文字変換ミスなんてもんじゃない。
KYとは空気が読めないの略語だというが、実際は字が読めていない。

ライティング・ワークショップ―「書く」ことが好きになる教え方・学び方 (シリーズ・ワークショップで学ぶ)

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声の文化と文字の文化

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文字は語る―デザインの前に耳を傾けるべきこと (DTPWORLD ARCHIVES)

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昔、識字学級というものがあったという。
学校教育が受けられず、読み書きが不得手な人に字を教えるもの。
当然の権利として、学ぶことが出来なかった人々の学力保障を行う。
そういう視点があるならば、学力的な低下はへ得ただろに
今、普通に義務教育を受けていて、読み書きが出来ない。
それは、能力的なものなのか、病的なものなのか。
単なる怠け学、退学傾向の著しいものなのか。


教育の現場ではLD、ADHD、ADD、PDDという横文字が行き交っている。
学習障害注意欠陥多動性障害、注意欠陥障害、広汎性発達障害
学習困難なのは、知識や技能の習得を妨げているのは、
個人の責任を超えた所にある障害であって、病であり、
個別に対応するしか道は無いというものだ。
個別指導、つまり、個別の学習プログラムを必要とする。
支援教育の一環として捉える視点から、支えなければならない。


教育者、教える専門家と世間では思うかもしれないが、
クラス経営を始めとして、様々な校務分掌、クラブ活動指導、
家庭訪問、PTA活動、地域交流、研修会、などなど・・・。
教科指導の準備はいつするのだろうと思うくらい、多忙。
それに加え、精神科医ではないものの、
最近はカウンセリング的な指導、発達障害を考慮した指導。
何と大変なのだろうと溜息。


どれもこれも大切なのはわかる。しかし、体は一つだ。
時間は限られている。やらなければならないことが多すぎる。
熟練や経験を積むという言葉そのものは美しいが、
現実的な対応が出来るかどうかは、かなり困難が多い。
なのに、財政的に30人学級は無理だ。
少人数制の指導や、実験の多い理科の授業は困る。
教材は私費から捻出、滅私奉公が当たり前。
公務員だからと言われる。
(義務教育においては圧倒的に教員は公務員)


支援学校との交流でノウハウを学びながら、
教育の質を向上させ、学力の保証、生活指導を、
心の教育をと要求ばかりがエスカレートする。
だが、教員の数を増やして負担を少なくしようとは誰も思わない。
金を掛けずに教育の現場が自助努力で「経営」出来ればいいと、
無駄な出費を抑えたいと、お上ははばからずに言う。


個々の児童・生徒に対応できるように備えろというが、
オールマイティのジョーカーは存在しない。
学校の中に様々な児童・生徒がいるように、
教員にも様々な個性があってこそ、学校という組織は機能する。
大阪のように心理職・ハートケアサポーター・
スーパーバイザーの人数、関わる時間を減らして、
増える問題に対処できる教員を育成と言われても、
数人でする仕事を1人でしろと言うようなもの。


経済優先のアウトソーシングを推し進めよう、
専門性を高めて質の良いものを(安価に)求めよう、
世間は簡単にそう言うけれど・・・。
不況だから予算は無い、お金は出せない。
何事もボランティアで賄えないかと言う。
教育は理想を追い求めるものだから、
公僕はその率先たれと要求する。


世間でいう所のサービス残業の嵐、
体を壊すまで働いて当たり前のよう。
そして、真面目で誠実な人から壊れていく。
その人々に向かって自己管理が出来ていない、
メンタルタフネスに欠けている、
人を指導する立場にありながら脆弱だと非難する。


1日付き添ってもコンビニ店員の時間給程度の手当て。
自分の家庭を犠牲にして成り立つ休日出勤。
代休を取るように言われても、平日のいつ取得可能?
セブンツーセブンは当たり前、セブンツーテンの勤務時間。
誠実にこなして、更に専門性を高めて、
何にでも対処できるようにと要求。


進学率が33位なのではなくて、進学を支える教育への理解が低い、
教育への現場への理解度が世界の中で33位なのだろう。
何もかも、家庭教育力・地域教育力、教育行政力の低下も含めて、
世界の中で学力・進学率の低下を招いているということ。
試験をしないで一芸やAO入試を強調し学生を確保する大学、
ゆとり教育とほざき、割合計算も出来ない高校生。
義務教育だから何をしても教師は手を出せないだろうと、
殴りかかってくる中学生。モンスターペアレント

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昨年、小学校2年生の娘の懇談に行けば、
塾に通うのは3年生からでいいですね。
学校の授業だけでは学力保障が出来ない旨を言われ、
3年生の懇談では、できない子中心に授業をするので、
お子さんが退屈して何もせず遊んでいるので
問題集でも何でも好きなものを買い与えて、
暇な時間を埋めるようにしてくださいと言われ、
教育ママの友人たちからは、私が非難される。
どうして公立の小学校になんか入れたのと。


日本は33位。親も、教育現場も、子供たちの状態も。
誰もどこにも期待していない、期待できない状態で。
仮に進学しても学びたいものが無い(見つけようとしない)ので
中退率が増えていくのも当たり前。
小学校4年程度の学力の大学生がわんさといる。
レポートも書けず、委託論文で卒業していく、
情報社会・ユビキタスの弊害の落とし子が量産されて。
日本は33位。実質的にはもっと無茶苦茶なのかも。


心を病んだ友人は言う。
今まで性善説を信じて仕事をしてきたけれど、
世の中には確かに悪人もいると実感できてきた。
・・・ああ、今頃になってそんなことを?
この年まで働いていて休まざるを得なくなってから、
やっとそういうことを口に出来るようになった?
研修や勉強会で元気を貰うこともあるけれど、
現実は厳しい。ひずみの中に落ち込んでいる人を、
沢山見ているだけに。

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