Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

再び抜歯

歯科大で過ごす一日。ちょっと色々あったけれど、
結局、インプラント科の先生は、丁寧な説明の中にも、
色んな不愉快な可能性の方を慎重に混ぜて話す。
「期待に添えない」「審美的に要求水準を満たさない」
「ベストの提案ができない」「どれが一番いいか、一長一短」
提供される情報では満足できないだろうから、
選択する責任は患者の自己責任で負ってもらわないと、
リスクを押し付けられては叶わないという姿勢が、
薄日のように差しているインフォームド・コンセント
お金が絡むだけに「深謀遠慮」の解説が必要なのかもしれないけれど、
何だかなあ・・・。


前回は土台の骨がどの程度残っているかに力点を置いていたのに、
今回は土台に関しては骨は移植できるけれど、
審美的な面と、メンテナンスの煩わしさで、
インプラントは最適の選択になりうるかどうか、
懸念を中心に説明された。
前回は骨移植に関しては何も述べず、去年は反対したのにね。
お勧めしたくない路線で話しているのはありあり。
にもかかわらず、「患者様の強いご要望」の結果、
でないと踏み切らないわけね、インプラント治療。


いずれにせよ、前回のように近所の馴染みの歯科で抜きたくないと
ごねたばかりに、化膿して歯槽骨を失う憂き目には会いたくない。
インプラント科の先生だけが使う用語だが、「感染」「感染」と
言われたら早急に抜かなければ、顎が溶けるような錯覚がする。
抜歯後はいずれにせよ、1本入れ歯かブリッジ仕様の仮歯が必要。
今すぐ削り倒すのが嫌なので、とりあえず1本入れ歯も経験してみよう。
そんな気持ちになった。


インプラント科の先生の発言で「なるほど」と思えたのは、
固定されたら掃除が行き届かない。物をどけることができれば、
掃除も行き届くので、必ずしも入れ歯が不都合とは限らない。
まあ、そういう発想もあるわな。
補綴科の先生から口腔外科に予約が入っていたので、
水色のカルテ袋持参で向かう。
(途中、トイレで開けて読んでしまうんだけれどね)


インプラント科予約10時、診察10:10、終了10:35、
説明はあれど口の中を覗くことは無い。
補綴科へ向かう、10:45。口腔外科へ向かう。11:00。
この時点で口腔外科のフロアは40人強が待っている。
先生方の苦労が偲ばれる待合風景。
11:30 口腔外科で学生のインテーク。去年の学生さんより消極的。


11:50 先生がやってくる。簡単な説明後、
あわや次回抜歯予定に回されるかと思いきや、
恐ろしい記憶力。去年の今頃一度だけしか会ったことの無い
患者の私の職業に気づき、配慮の上、本日中に抜歯ということに。
そう、今日丸一日休みを取って来ているしね。
この時点で12:35。一旦受診カードを受け取り昼食へ。
13時前。15時再予約、抜歯予定となった。

美歯道―Dr.さとこの美人養成

美歯道―Dr.さとこの美人養成


左下前歯、いくら割れていようと自前の歯で食べる最後の食事。
君とはもうすぐお別れなんだ。
駅前まで戻り、歯科大に来るたびに食事を取るイタリア料理店で、
ゆっくり昼食をとった。柔らかく煮込まれた豚肉と野菜。
サラダ、フランスパン、ホットコーヒー。
どれもこれも、痛みを感じずに自分の歯で食べられるから美味しい。
1時間半後、どうなることやら・・・。


その間に、軽めの読書。『ジーン・ワルツ』の再読斜め読み。
真昼の月海街diary2』『女王の花』を読む。
強さ、優しさ、ひたむきさ、幾つになっても一人で待つ時間、
こういう物語を読んで時間を過ごすのが好きだ。
幾つになっても歯医者は嫌いだ。治療のためとはいえ。
特に抜歯前は、小さな子供の精神状態に戻ってしまうくらい嫌だ。


学生実習インテークでこの1年間の体調について訊かれ、
「憩室炎の再発」と答えたら、字がわからずに困っていたみたい。
そうでしょうとも。私だって胃潰瘍や癌は知っていても、
憩室炎は知りませんでしたから。
麻酔薬の関係もあって、恐る恐る身長・体重を尋ねてくる。
アレルギーで注意するべき薬。現在の血圧、脈拍。
やっぱりいつもより高い。やれやれ。


麻酔の注射は昔より痛くは無いものの、前回より痛みを感じる。
おまけに抜く時、顎が潰れるかと思うくらい力が加えられて、
体が椅子に沈み込むように感じられた。
口の中が捻られているように思えるが、幸い麻酔が効いて痛みは無い。
圧迫感だけがのしかかってくる。
「滅菌」と「消毒」の違いを象徴するライトの取っ手の包帯を、
薄ぼんやりと眺めながら、しびれた口腔内を舌で探索。


痛み止めはロキソニン、可能止めはクラリシッド3日分。
何と今回は前回と異なり、黒い溶けない糸で抜歯跡を縫われた。
記憶が確かなら、3回結んでいたから、3針分?
ということで、来週抜歯に来なければならない。
また、仕事の調整をせねば・・・。
綿ではなくガーゼを噛み締め、止血中は待機。
なぜか先生は「どうやって時間を潰しました?」と尋ねる。


その後、補綴科に戻って予約取り直し。
この時点で、16時を回っている。
会計を済ませ、病院を出ると16時半。長い一日。
はっきり言って、疲れて歩きたくない。
しばらくじっとしていたい。
というか、痛みと口の中の違和感とで、即帰宅がしんどい。
娘に電話を入れる。
「かーちゃん、映画館に座って休憩、寄り道して帰る」
「そーしなさい、そーしなさい」
というわけで、唇寒いまま街中へ出向く。

ねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書

ねころんで読めるCDCガイドライン―やさしい感染対策入門書

消毒・滅菌・感染防止のQ&A―ここが知りたい!

消毒・滅菌・感染防止のQ&A―ここが知りたい!

女王の花 1 (フラワーコミックス)

女王の花 1 (フラワーコミックス)