Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

ため息ばかり

本日はため息の多い日だった。
一つ目は朝。クリスマスの朝だというのに、お寝坊の娘が起きて来ない。
普通子供はわくわくで朝起きてくるものじゃないの?
プレゼント気にならないの?
そして起こした後の娘の反応と来たら。


二つ目は大阪市立東洋陶磁美術館にて
企画展「酒器に酔う―東アジアの酒文化」を観に行った時のこと。
出張がてら、明日までの企画だからと焦って出かけた。
期待に違わず、展示内容そのものは素晴らしかったのだけれど、
館内で色々御話を伺えば、がっくりくることが多々。


三つ目は本日メインの出張内容。実り多い? まあ、こんなものか、
研鑽と情報収集を兼ねて、と思いきや、お知らせがありますとの言葉。
室長からびっくり仰天の発言。ますます私達の仕事は死に体となった。
やれることは知れている。バックアップしますと言っても先立つものがない。
この先、どうなるのだろう。新年に向けて元気付けられるよりも、
痛み分けならぬ、この顛末。


という訳で、クリスマスに家族の時間も持てぬまま仕事に出れば、
ため息から始まってため息で終わる一日となった。


よかった事?
さあ、なんだろう。いつもにもまして物言わぬ美術品は、
心の安らぎだけれど、人の世に戻れば憂き世。
昼間から飲んで憂さ晴らしもできない。
本日はクリスマス。でもかーちゃんの心は「愛と赦し」からは、程遠い。
罪無き者は石を投げよ。投げられない自分のくせになあ。

美の猟犬―安宅コレクション余聞

美の猟犬―安宅コレクション余聞

器つれづれ

器つれづれ



ストレス解消のため、パンチングボールが欲しかったとごねる娘。
やれやれ、発散させたいものが一杯あるんだ・・・。
去年のサンタは5つぐらいプレゼントがあって、開けるのに30分ぐらいかかったのにと、
ぶつぶつ文句を言いながら、プレゼントの袋を手にする。
「あ、洋服だ。このまま置いておこう」中身を確かめもしない贅沢さ。
本もカルタもアクセサリーも、何も気を引くものがなかったと見える。
確かに、去年よりは予算少な目。
大体、9月のお誕生日の時に与え過ぎなんだよね・・・。


「どーせ、今年はサンタさんが来ないって言ってたし」
ああ、娘と喧嘩した時、私がそう口走った事を覚えていたわけだ。
いい子にしないと、サンタさんは来ないんだからって。
悪い子の自覚があるのか? 気にはしていたのね。
そうそう、かわいげがなくちゃ、その気にさせなくちゃねー。
誰かに何かをプレゼントしようという気持ちが無いくせに、
ただ「貰いたがる娘」に育ててしまった。親としては情けない。
去年と包みの数を比較して、ぶつぶつ言うのなんか、
ハリポタの鬱陶しい「いとこ」と同レベルじゃない。あーあ。
枕元のプレゼントに感謝の気持ちのない娘。
サンタも張り合いがないだろうな。ため息。


午前中半休を取って、わざわざ市内の中央までやってきたら小雨。
「酒は天の美禄」と讃(たた)えられたが、今日は見るだけ。
飲めずとも眼前に置かれた酒器に酒が並々と湛えられた風情を思い浮かべ、
館内を巡り歩くのは何ともいえぬ思い。
残念ながら日本酒は冷やで、熱燗はあまり好みではないが。
焼酎でもマッコリでもワインでも何でもいいが、
それほど飲めなくても、のんびりくつろいで過ごすひと時を象徴するのが、
私にとっての「酒」。美しい器があればなおのこと嬉しい。


企画展ゆえそれほど点数は多くないが、漢詩や和歌を散りばめて
解説文や図を展示するあたり、学芸員の心意気が見える。
しかしながら、ビジネス街にありながら利用客を見込めない開館時間の短さ、
動線を全く無視した館内構造、誘導のまずさ。
このご時勢で、館内売店の充実を図らない営業のまずさ。
せっかくの安宅コレクションが泣くよ。
散逸しないように集めて美術館を作った意味がない。
どうやら御役人は、文化財を生かすことに関心が無いらしいと見た。


沖正一郎コレクション鼻煙壺(新設専用展示室)等は、ずっと見ていたい。
一つ一つが海外旅行の思い出を呼び覚まし、ロマンチックな気持ちを掻き立てる。
タバコは嫌いだが、嗅ぎタバコの文化の中で生まれた美術品をけなす気はない。
でも、本当に人出が少ない。お天気のせいか、普段もこうなのか。
内部で改革しようにも、上まで意見が通らないのが見て取れる。ため息。


隣の中之島公会堂中之島倶楽部のランチなんかそれほど美味しくなくても、
みんな大正ロマンに引き摺られて食べに来るものね。
だだっ広いホールで食べるので、外観の美しさに比べて雰囲気は、
デパートの大衆食堂の雰囲気と変わらないのに。
高い天井。テーブルに椅子。決まりきったメニュー。


出張先に出向けば、わざわざ人を集めておいてこの内容か・・・。
眠気を誘う情けなさ。質疑応答も交えないパワーポイントの内容を読んで
解説するだけなら、添付資料を後でお読みくださいで結構。
それよりもプラスαを聞きたいのに、それは無いだろうと思う。
あのまま美術館にずっといたかった。
ふっくらとした女性の陶傭、故川端康成が所蔵していたという土偶の面、
青磁白磁に清楚な絵付け、陶枕や水滴、花器や壺。
冷たくしっとりとした風情が蘇る。


最後に予算が無いので〜ができない、〜が不可能。〜は打ち切り。
〜は中途で。〜は配れない、印刷できない、渡せない、受け入れ拒否。
じゃあ、今まで私達のやって来たことは、そして現場へ戻り、
これからできることは何? 要は、悩み苦しみどうしていいかわからない者に、
援助をする余裕が無いから、でも公にはいえないからごめんね。
そのために集められただけ? そんな感慨を抱いて家路へ。ため息。


昔懐かしい友人からクリスマスカード。嬉しい反面、
かかれているニュースは悲惨で、どうしようもない。
財政難はいずこも同じだが、生老病死にまつわる突然の出来事には、
もう受け身で対処するしかないのだ。未病だの予防医学だの言われても、
突然起こった疾病に対して、素人は何の方策も持たない。
4たび、ため息。


クリスマスが家族で祝えないのは哀しい。
ばらばらに暮らすことも何よりも、今日がクリスマスだと
わからない人と共に暮らす、祝おう、何か特別な思い出を作ろうという、
気力の無い家族と共に、フォローだけに回るのに疲れる。
お膳立てや計画を、情報何だかんだを集めてきて、
動くことに。


対家族に対する鬱と不信と疲れは根強い。
肉親や相方、娘であれば尚更。
「今までと同じ対応」では無理になってきた・・・という
子育ての基本が、成長を基点においているのならよし。
そうでない場合、退化や退行を見据えてなのが疲れる。
子育てにはまだ未来がある。その逆は厳しい。
何か行事や節目の時には、それが一気に噴出するような気がして、
ため息。


いみじくも、「試されている」のだと思う。
これから先、何かを続けていくためには、試されているのだと思う。
今日、美術館で見た漢詩が思い出される。

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對酒當歌  酒に對して當(まさ)に歌ふべし 
人生幾何  人生 幾何(いくばく)ぞ 
譬如朝露  譬(たと)へば朝露の如く 
去日苦多  去る日は苦(はなはだ)だ多し 
慨當以慷  慨して當に以つて慷(こう)すべし 
幽思難忘  幽思(ゆうし) 忘れ難し 
何以解憂  何を以つて憂いを解かむ 
惟有杜康  惟(た)だ杜康(とこう)有るのみ  

壷中天酔歩―中国の飲酒詩を読む

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今日、仕事でため息をついたあなたへ…

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