Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

亀岡 城下町巡りから湯の花温泉へ

写真をアップしました!(12/31)

JR駅から亀岡の亀山城へ。
昔は亀山の地名が伊勢亀山と混同しないよう、
亀岡に地名が変わったものの、お城は依然として亀山城
明智光秀が築城し、藤堂高虎によって天守閣が完成したという名城も、
篤姫』の明治維新ではないけれど、明治政府によって解体、
荒廃の憂き目を見ていたのを、宗教法人大本の亀岡本部として、
かつての城址が整備され残っているのみ。歴史の流れを感じさせる。

士族の活動拠点になるのを恐れ、新政府が取り潰した城の石垣は
鉄道敷設に使われたりして、見る影も無く惨憺たる有様だったとか。
大正時代、大本教の教祖が郷土の誇りの荒廃見るに忍びず、整備し、
紆余曲折を経たものの、現在の状態に至っている。
せっかく来たのでお払いを受け、城址内部の散策可能地域を見学。
大木が生い茂り見事な景観。自然保存の一役を担っている。
新年の準備が進む中、歴史的遺産は人気も無く静か。

国家神道と民衆宗教 (歴史文化セレクション)

国家神道と民衆宗教 (歴史文化セレクション)

けっこう広い庭園を歩いて、森林浴気分。
さて、そこから足を伸ばして丹山酒造
酒蔵見学の気持ちを抑えて、商品を眺め、これから先歩くことを思って、
買物を控えた。ある意味、華やかな商品のラインアップ。
写真はカードリーダーの調子がよくなってから。
絞りたての酒粕だけ買って、ぶらぶら。


車が突っ込んで来ようが無い、狭い路地としか思えない昔の町並み。
昔のお城下の味わいが残る路地。旅籠町・呉服町・京町・矢田町・
塩屋町柳町・紺屋町、風情のある街をそぞろ歩いて、
京格子、虫籠(むしこ)窓の商家や町家を眺めて
和菓子屋で甘いもの、ちょっと一服。
無人の野菜売り場で頭芋と紫大根を。
これで、お雑煮と上品で色鮮やかな酢の物の準備OK。

  
 

散策のモデルコース、「亀山五ヶ寺と城下町巡り」には載っていない寺院がわんさか。
さすが歴史がある町だけに、辻々、角々に○○天満宮、○○寺と
庭が美しいところ、新年の準備に余念の無い所、
檀家があるのか無いのか、うら寂しい所、
門が閉じられ関係者お断りの風情。
聖隣寺、宝堅寺、専念寺、寿仙院とその他あれこれ、
様々な寺社を巡り歩いて、最後の場所が再び造り酒屋。

   

夕闇迫る頃に訪れた関酒造。と言うか、店の暖簾に関の文字は無い。
店内はどこに酒を売っているのか? 真っ暗。さては年末、
もう店じまいかと思いきや、男性が2人やって来た。
色々お話を伺うと、ご主人と奥様、弟さん、息子さんだけで手作り。
家族だけで細々と造り酒屋を営んでいるのだとか。
店じまい時に訪れた私達に蔵の中を案内して下さり、
米を蒸すための炉、レンガ造りの煙突の1番下、
水神・竜神を祭った井戸端、その他の器具を説明して下さった。
米と塩を備えた所、豊葦原の瑞穂の国の水神様のシンボルマーク、
三ッ鱗紋がくっきりと見える。

 
 

少ない人手で掛けられるだけの手間を、吟醸ではなく普通のお酒に掛けて
販売しているのだそうだ。その名も「この花桜」記念に1本。
亀山城址に咲く桜「このはな桜」の名を、大本教の教主に授かったのだとか。
「古春」の銘柄よりも、最近は「このはな桜」が売れ筋だとか。
そして、祇園祭りの頃に是非お越しをと。
歴史ある町の人は、郷土に愛着と誇りを持っているなあ。
あちらこちらに山鉾を収める蔵が何気なく見える。

   

京都の町の大通りとは異なり、屋根屋根の間を縫って運行される、
伝統の山鉾。亀岡の祇園祭に、地酒を傾けながら過ごすのもいいだろう。
コースの最後、大圓寺と田中源太郎旧邸(楽々荘)見学は、別の機会に。
日も暮れ掛け、今夜のお宿湯の花温泉へ向かうことに。

おうちで京野菜―冬・春レシピ (らくたび文庫)

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京都の食卓・ごはんのおとも (らくたび文庫)

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京都人だけが食べている (知恵の森文庫)

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亀岡市街地から山手に向かえば、夕暮れの稜線が美しい。
燈籠通り。街灯の代わりに、灯篭がずっと立ち並んでいる。
あっという間に目的地湯の花温泉に付けば、
今宵のお宿はかなり鄙びた雰囲気、有楽荘
玄関には猪の首がドンと剥製で待ち構えていた。

小さな旅館なので、騒ぐ若い子も団体客もいない。
食後遊びに行く所も何にも無い所でと、宿の人。
単純弱放射能泉(天然ラジウム温泉)で、冷泉を沸かしている。
大浴場と言うよりもかわいらしい小浴場。
独り占めでのんびり浸かる。透き通った癖の無いお湯。
味も匂いもぬめりも無いさらりとしたお湯だ。
これが幾多の武将の刀傷を癒し、
戦を逃れほんのひと時、寛ぎの時間を与えたお湯か。


家人がここを予約したのは、蟹が食べたかっただが、
どうして牡丹鍋の季節に蟹なのか、まあいいか。
娘が私達の手から飛び立つまでまだ時間があるが、
そうなってしまえば、こうやって二人でずっと過ごすのだろうか。
冷えた心を暖めるには、まだまだ色々必要だと思うが。
それにしても、食べるしか楽しみが無い山の宿とはいえ・・・。


ぷりぷりの湯がきたてとはいえないまでも、蟹一杯。
先付け、お刺身、鯛のかぶとのアラ炊き、天麩羅、
小鍋に茶碗蒸し、ご飯にお吸い物、お漬物にデザート。
おなか一杯で動けないよう・・・。
勿体無い精神が旺盛で残せない貧乏性なのが、哀しい。
胃薬片手に食事。消化剤が欠かせませんなのに。
なのに、ビールを1本つけてしまった。あーあ。

 

食事をしながら、何となくTVをつければ、
篤姫』総集編は最終回。事の顛末がわかっていても、
涙、涙で見てしまう私。そして、お布団を敷いてもらい、ことん。
爆睡しました。前日ほぼ徹夜だったもので。
日中いつも以上に歩き回り、美味しいお食事。
仕事モードをすっかり切り離した別世界。
誰に会うこともなく、年末のせわしない後片付けからも放たれ、
観光客の気ままさ、気楽さ。


夫婦は向かい合っているよりも、
同じ空間の同じ方向を見つめているだけ、仲良くなれる。
そんな気がする。それが円満の秘訣かも。
こだわりだすと、どうしようもないから。
一つボタンを掛け違うと、結局、衣を裂いてしまうから。
無い袖は触れぬ、身丈にあった生活、着膨れは禁物。
お仕着せと感じる窮屈さも、何がしかを守るためには必要なわけで。
亀岡の夜はあっという間に更けて行く。
ラジオからの朗読『孤宿の人』が途切れ途切れの山あい、
亀岡は湯の花温泉の小さな宿で。

温泉・法則 (集英社新書)

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