Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

我が家の「お初」

皆様、遅ればせながらあけましておめでとうございます。
丑年だからというわけではありませんが、のんびり行進、いや更新中です。
さて、何時までたっても寝ようとしない娘を布団に放り出し、
隙間風の吹いた気分のままで癌兆枚り、いや、元朝参りの夜中。
ちなみに、元朝(がんちょう)参りという言い方はあまりしないのだとか。
一説によれば宮城県の方言らしいとも。
ならば、私の使い方は由緒正しい親譲りの使い方。
宮城県人2世として言葉を受け継いだ証拠と申せましょう。


早くも垂水神社は長蛇の列。寒い中石段を上り詰めて、お参りして、
玄関に飾る干支の親子土鈴を買い求め、恒例の御神籤を引いてみれば・・・
な、なんと、人生、生まれて初めての「凶」を!
一瞬目が点に。まさか本当に凶ってあるんだって心境。
ただでさえ低空飛行だった私の気持ちは更に萎え・・・。
家人が引きつりながらも、「まあこれ以上落ちることは無くて、
上がるだけなんだから」という慰めも白々しく聞こえるばかり。
ああ、もう、新年早々真夜中からやってくれましたって感じ。


 


翌朝、徳島は阿南以来埼玉に引っ越してからは
一度も出さず仕舞いっ放しの塗りのお盆と器を出して
正月のお雑煮の用意を。娘は久々に見るせいで、記憶に無かったよう。
我が家初の食材は亀岡で買い求めてきた頭芋。
まあ、普通なら里芋を使うのですが、今年は縁起を担いで、
トップになれますようにということで。
ちなみに我が家のお雑煮はお澄まし。焼いた角餅。
人参・大根・里芋・鶏肉・紅白の蒲鉾に結び三つ葉を添えて頂く。
宮城県人2世としては、白味噌丸餅はいただけない。
(本日盛り付けにチャレンジした娘。3日目はもっと上手になりました)


 


我が家のお初。もう一つはお屠蘇。
老父とは異なり老母は外食も嫌い、お酒も嫌い。
屠蘇なるものは他家の習慣と、飲ませてもらったことは無く。
聞けばその家の年の若い順に飲むのだとか。
屠蘇なるものを買い求めてみれば、漢方薬の入ったティーバック。
酒一合に浸してみりん・砂糖で味付けしてお猪口に注いでみれば、
何と先日香合わせで調合した匂い袋を酒にして飲んでいる感じ。
雅な雰囲気の漢方薬酒を頂いているという風情でしょうか。
これは娘も家人も実に気に入ったよう。


黒豆も我ながら上出来。正月の三種盛りを美しく飾ろうと、
田作りやせっかく奮発した数の子も添えたのに、
娘ときたら「甘過ぎる、辛過ぎる」と文句ばかり。
どうしてお正月はいつもと違うの、普通のご飯が食べたいとぶーぶー。
TV番組に洗脳された家人は会社から貰ったという祝い箸の袋に、
一人ひとり名前を書いて、娘が「このお箸はどっちを使うの?」という質問に、
我が意を得たりという表情で得意満面、「一方は自分が食べるのに使い、
もう一方は神様が使うんだよ」と説明している。やれやれ。


お正月の薀蓄も済んで年賀状チェック。若い世代の成長、
先輩が孫を囲んで好々爺に興じている姿、(甘んじているのか?)
一年に一通の近況報告とはいえ、頂くのは嬉しいものだ。
最近は賀状ソフトのお陰でチェックも簡単になった。
それぞれ書き添えてくるひと言に、かの人々へ思いを馳せるひと時。

江戸の占い

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日本おみくじ紀行 (ちくま文庫)

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午後、娘を連れて再び垂水神社へ。霙交じりの寒空で、
傘を差しての参拝と相成った。相変わらずの人出、
娘が御神籤に挑戦しようとすると、列に並びたくない。
おまけに平仮名ばかりの子ども御籤は引きたくないと、
再度石段を下に降りて社務所の御神籤を並ばず引くことに。
「やったー、大吉だ!」得意満面の娘。
私、去年から大吉しか引いていない。3回連続だ。
家人は吉だったし・・・、なんで私だけ。


次に片山神社に向かう。ここは素盞烏尊(すさのおのみこと)を祭る。
大きな絵馬に子ども受けするような柔らかい雰囲気の親子の牛がにっこり。
家内安全・商売繁盛、境内に厄除けの石造りの桃がでんと据えられている。
再び御神籤に挑戦。何と、今度は「半凶
今までこんな中途半端なご託宣があるのを知らなかったけれど、
引いてしまったからにはあるのを実感というか、今年は一体どういう年よ?
そんなに行いが悪かった? ちょっと鬱で低空飛行の12月の年末の行いが、
そんなにも気に食わなかったわけ? 一瞬神様の前で毒づきかけましたが、
かろうじて冷静さを保って、御神籤はさっさと結びつけてきました。
ちなみに聞き手ではない方で結ばなくてはならないと、和風総本家
それにしても、凶の次に半凶とは・・・。
家人いわく、「ほら、確実に運勢は上がっているから」
いや、そういう問題では。


さらに、泉殿宮(いづどのぐう)に向かう。
元朝参りにここへ来ていれば、金平糖のお振る舞い。
正午前ならば獅子舞が見られたのだが、後の祭り。
こちらではお祓いを受ける人を神官が笛を吹きながら案内。
何とも風情のある佇まい。


さて、再々度御神籤に挑戦。もはや自棄(やけ)である。
そうしてやっと「大吉」に巡り合う事が出来た。
別に吉でも小吉でも中吉でも良かったのだ。
「凶」「半凶」などという縁起でもないものを、
新年早々目の当たりにしたくなかっただけ。


それにしても、普段の心がけ不埒なるを見抜かれているのか、
活を入れるつもりなのか、打たれ弱い私には字を見ただけでやる気を失くす
「凶」のお告げ。脱感作法じゃあるまいし、ショックを与えて、
徐々に慣らすつもりなのか新年早々、こんな試練は受けたくない私。
私の御神籤人生の中でもっともえぐい「お初」だと思う。


夕方は何となくテレビに子守をされたまま、これまた恒例の
ウィーンから衛星中継のニューイヤーコンサート
ダニエル・バレンボイムの指揮は思っていたよりも硬質な感じ?
今年はハイドン没後200年の記念の年、ハイドン・イヤーで、
コノコンサートとしては初めてハイドンの曲を取り上げたのだとか。
という訳で、あの有名な「告別」シンフォニーの演出を楽しんだ。

スタンリー・キューブリック DVDコレクターズBOX

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中欧を新婚旅行の地に選んだ私達、その時の音楽会の思い出が蘇る。
特にウィーンは4度ほど訪れているだけに、懐かしい。
娘は「退屈」と言っていたけれど、楽団員がそれぞれの楽器を抱えて、
そーっと識者の前から消えて行くので、笑い転げていた。
そしてお決まりの「美しき青きドナウ」
でも、この曲を聴くと映画「2001年宇宙への旅」を思い出してしまう。
もう、この映画で描かれた年はとっくに通り過ぎて、
続編の「2010年宇宙への旅」は目の前だ。


ラストは、娘が発表会でも弾いた御馴染みの「ラディッキー行進曲」
手拍子で息を合わせて盛り上げた音楽を楽しんだ後は、
新年の装いのバラエティ。「県民ショー」を見て、
それぞれの「秘密」を見ながら、炬燵の上でUNOの激戦を繰り広げた。
土地それぞれのお雑煮の秘密、お正月の過ごし方、
家で町で地域で受け継がれていく伝統。それはそれで大事だ。
根無し草のような私の料理の味が、いつの日か娘に伝わってくれるならば嬉しい。
時間が過ぎるのはあっという間。それなりに1月1日が終わり・・・。


皆様、どんなお正月を過ごしていますか?
こちらはかーちゃんがダウンさえしなければ、ご馳走にありつける、
いつもの我が家の風情です。もう少し、かーちゃんを労わって欲しいと
新年早々思ってしまった次第。
今日見る夢が初夢ですが、今日と打とうとすると「凶」と変換される哀しさ。
我が家の「お初」は、どんなふうにこの1年影響するのでしょうか。
お屠蘇をすっかり飲んでしまった、漢方好きの下戸の家人。
お酒の相手をしてくれるのならば、免疫値に影響するタバコは絶対やめてね。
それでは皆様、良い初夢を。

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