疲れる新年会

歓送迎会兼新年会。役職立場上、出向かねばならない。
しかし、出来るならば出かけたくない。義理というよりも、
もはやこれは仕事の一部に過ぎない。
しかし、これが仕事の潤滑油になるならばともかく、
私にとってはストレスの種以外何者でも無い。
少しずつ調整していた心身が、絶不調になりそうな勢いだ。
宴会という物がストレス発散の場で、英気を養ってくれるのならば、
集う意味もあるのだが、形骸化というか、
ゴシップ記事の総ざらえとでも言うべき場であれば、
全く御免こうむりたい。

実際若い頃は、この年になってまでも悩まされるとは思わなかった。
というか、若い頃は免疫がなかった上に、その乱痴気騒ぎや、
場の雰囲気に付いて行けないまでも、
世間勉強なのだから仕方が無いのかと思っていた。
職場が変われば宴会の雰囲気も変わる。
昼間の会であったり夜だったりしても。

子供が小さいという理由で欠席を重ねると、これまた微妙に
周囲との意思疎通を欠く場合も生じて悩ましかった。
それでも公認で欠席できるうちはまだいい。
中心になって人を集めなければならない立場である場合、
それが少人数の宴会であっても、気心の知れた友人との集いではなく、
仕事の延長線上のものである限りは、体のいい針の筵と変わらぬ。

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年長者、年上であればこそ、長幼の序ではないが奉りたい。
特に仕事の場であれば尚更のこと。
しかし、その立場を特権と誤解してというか、
取り違えてプライベートにずかずかと入って来ては、吹聴して回る、
「奇特な御仁」が居る為に、宴会での会話が時には事情徴収、
時には隠蔽工作、根掘り葉掘りの興味本位、
ゴシップ、某週刊誌、耳パパラッチ耳ダンボ、
そういう世界と折り合いを付けるのは、誠に難しい。

ともすれば、自分自身もその近辺、周囲もこういう感じで、
尾ひれをつけて面白おかしく秘密めいて、ここだけの話で
ばら蒔かれているのだろうなと想像するだに憂鬱になる。
にこやかに対応しながらも、「禁止令」を出さないと、
勢い止まること無き酔いも回っていい調子の御仁の相手を務め、
会を持たせなければならないやるせなさ。

もしも、世間の営業職の人間が毎日こんな事をやっているならば、
寿命は持たない。もっとも営業職でなくて良かったと思う反面、
もっと上手にいなせないか、捌けないかと情けなくもなり･･･。
それにしても、盗聴器でも仕掛けているのか、
王の目王の耳でも使っているのか、何処が誰のお目付け役、
大目付なのか、YOUR　EYES　ONLYでなければならないはずの情報が、
どうしてこうも駄々漏れになっているのか、
えてして噂は本当だったのか、火の無い所に煙は立たないレベルの
ゴシップは遠慮したい世界だ。

君子でなくても危うきに近寄らずで過ごしたい。
それでなくても、1月は行く2月は逃げる3月は去るの気忙しいスケジュール。
専門以外の仕事も入って、はれほれはれひれ、頭が回らない、
体力が付いていくかしらの懸念と、自信喪失のアップダウンを繰り返し、
毎日を過ごしているのに、新年会早々これか･･･。
私は世間の皆様の宴会を知らないけれど、
この職場に来てからの5年間、言葉の寝技には叶わない。
付いて行けないルール違反、ご法度、下賎な世界。

これをさらりとかわす、やり過ごすのが大人の世界なら、
10代の文学少女に戻って「大人になんかなりたくない」と大声で叫びたい。
全くそんな心境に陥った新年会だった。
かつて生まれて初めて宴会なるものに仕事で出向く時、
老母が「酌婦になるな」と言った言葉に仰天したものだが、
手酌だろうが酌み交わそうが、耳は塞げないので辛い。
そして、更に私の血圧を上げ、気分を悪くし、眩暈を起こさせたもの。

タバコ。煙草の煙。宴会だからいいでしょうと真横で吸われる、
吸っていいかどうかなど訊かれもしない。
軒並み硬いこと言うなの雰囲気でスパスパやり始めること。
目の前にどれだけ美味しいご馳走が並ぼうと、台無し。
これだけ堂々とゴシップねたを探られたり、
禁煙など何処吹く風で吸われると、これもセクハラ・パワハラだと感じる。

職場敷地内禁煙などと言っても、禁煙学会で吸っている先生方って感じ。
皆が皆マレーネ・ディートリッヒではないのだ。
肺ガンの危険性を自己責任でなく、他人から貰うのも御免。
夜の宴会に仕事で、こういう形で付き合わされるのは、懲り懲り。
泣きたいような気持ちで立場上、その場にいる。
罪の無いものは石を投げよ。罪ならたんと持っているが、
煙草に関しては吸わないので、石を投げたい。

世間では明日から三連休らしい。
私は娘とも家人とも離れ離れ。予定が詰まっている。
体が二つあれば義理も立ち、仕事や勉強も出来る。
生憎そんなことは出来ない。悩ましい週末となりそうだ。
帰宅時、空は霙、風、心も体も冷え切った。
私の心は鉄砲玉、今日は何処まで行ったやら。
お陰で連日過覚醒。頭痛肩凝り背部痛。

まだ、タバコですか? (講談社現代新書)

悪魔のマーケティング タバコ産業が語った真実