Festina Lente2

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「しゃばけ」にはまる娘

さて、インフルエンザの学級閉鎖も本日でおしまい。
明日からは再び学校が始まる。
春・夏・冬休みでもないのにこんなに学校を休んだのは初めて。
本人は日曜の夕方から熱が下がったので、かなり退屈しただろう。
月曜日の水泳の進級試験こそ受けに行くことはできなかったが、
水曜日・木曜日の音楽教室の練習のためには、
のんびり時間をとることが出来て、良かったはずだ。


肝心の御勉強の方はどっちらけで、それほど進んだようには見えない。
誰も付いていないのだから、仕方が無いかとも思う。
しかし、親の予想に反して、娘はかなり本を読んだ。
熱を出して寝付いた当初読み聞かせた、『りかさん』に興味を持ったようで、
読みきってしまった。(ぽぽちゃん裸事件があったし→)
そればかりか、私が好きなもので、ちょくちょく話題にし、
昨年たまたまテレビドラマ化されたものも刺激になったのか、
畑中恵の『しゃばけ』シリーズがすっかり気に入ってしまったよう。

しゃばけシリーズ第1弾 しゃばけ [DVD]

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しゃばけシリーズ第2弾 うそうそ [DVD]

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この3日間ほどの間に『しゃばけ』『ぬしさまへ』『おまけのこ』
『ねこのばば』などを全部読んでしまった。
かわいい表紙にも惹かれたのだろうが、よくも短い間に読み切ったものだ。
おまけに、鳴家などの「きゅわきゅわ」という鳴き声も気に入ったらしく、
しょっちゅう真似をしている。
「こんなのが1匹2匹家に居たらいいなあ」
「一緒の御布団で眠れるし、話し相手にもなるのになあ」


一人っ子で寂しい気持ちの裏返し、健気に和風ファンタジーに溶け込み、
空想の世界で遊びながら、学級閉鎖とインフルエンザ発熱の寂しさを、
本の世界に遊ぶ読書で晴らしていたのだろう。
申し訳ないことだ。しかし、これは私にも覚えのある経験。
猩紅熱で、お多福風邪で寝込んだ小学生の頃、
小学館の世界の名作文学50が、どれほど心の慰めになっただろう。
本の世界にはいることさえ出来れば、体はどこにもいけなくても、
心は自由自在に世界中を駆け巡ることが出来たのだ。


考えてみれば、インターネットサーフィンであちこち渡り歩き、
いろんなHPやブログにお邪魔して、思いがけない出会い、刺激、
触発されること、あることへのきっかけを掴む、
そんな世界に浸ることに、ほんの少し似ているかも。
読書の世界も、別世界に行けるという点で同じだが、
優れた作品の力によって、本人の心が目に見えない力を貰い、
成長する糧を与えられているという点では、
遥かに影響力は強いと思うのだが、最近の人々にとっては如何ようなものか。
何しろ生まれたときからネットのある環境で育ってきているのだから。

しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)

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ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2 (新潮文庫)

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ねこのばば しゃばけシリーズ 3 (新潮文庫)

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パソコンも、パソコン通信もポケベルも、携帯電話も無かった時代、
一人の時にどんなふうに時間を過ごしたかといえば、
何かを創ったりする創造的な遊び、ごっこ遊び、体を使って遊ぶのでなければ、
読書する時間は沢山あったに違いないと思う。
少なくとも私はそうだった。暑い夏の日、お昼寝どころではない時、
ねっころがって読んだ本。五右衛門風呂の焚き口で、
火加減の番をしながら、その灯りで読んだ漫画。


そのときの私は、自分以外の誰かと本の世界を共有することなど、
想像だに出来なかった。学級で自分より本好きな子などいなかったから。
歯の矯正治療、その他で通院がちな子ども時代、
外で遊ぶ時間は少なく、勢い本を相手に過ごす時間ばかり。
今も昔も、別世界に連れ出してくれる本への畏敬の念は強い。
残念ながら、読書用眼鏡の煩わしさに、縁遠くなったものの。


その、親の私が本の世界から少しずつ、それも物理的に遠ざかってきている時、
娘は一気に読書量が増えてきている。これは喜ばしいことなのだろう。
家にある文学全集こそ読んではくれないものの、図書館でのシリーズもの、
私が持っている漫画など、ボツボツ共通する話題で楽しめるものも増えてきた。
漫画では勿論、川原泉、テレビの影響もあって「有閑倶楽部」もお気に入り。
そのうち、隠し持っている多くの漫画蔵書も娘のものになってしまうだろう。


春先、私が憩室炎で入院していた頃は、
私が読んでいた「しゃばけ読本」にはあまり興味を示さなかったのに、
今ではきっと喜び勇んで、がっついて読むだろうなと思う。
そういう時期が、たまたま今回の学級閉鎖と重なって、
一気読みに走ることが出来たのだろう。
「これからお雛ちゃんはどうなるのかな」そんな事を気にしている。
物語の中の登場人物に、自分やその他色んな人を重ね合わせて読み込み、
あれこれと考え、楽しめるようになってきたわけね。


むすめ、9歳と4ヶ月。いつまでこういう時間を共有できるかな。
昔々、母とこういう読書の話で盛り上がったことは殆ど無かった。
思い出したように、大学時代の英文学の授業で、
チャールズ・ラムの『シェイクスピア物語』や
『サイラス・マーナー』を習ったと口にした母だった。
今から思えば懐かしい学生時代の思い出を、胸に浮かべて語ったのだろう。
小学生だった私には、親の気持ちなんぞ、トンとわからなかったが。


何が刺激で、きっかけで、触発されて目覚めるのか。
親にはわからないけれど、たまたまいい時期に巡り会えれば、
子どもの力は親が思っていた以上にぐっと伸びる。
何と子育ての旬の期間の短いことよ。
詠み聞かせの時代は遥か遠くなり、本について親と一緒に語り合える、
そんな日々がもう来ている、そして、いつまで語れるか。


少し切ない思いで、娘の世界を垣間見ながら、
子ども時代をもう一度繰り返すことが出来る、幸せな親。
そんな私であった、今日。
かーちゃんは、幸せ。
娘と共に、鳴家ごっこが出来て、本の話が出来て幸せ。

おまけのこ しゃばけシリーズ 4 (新潮文庫)

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しゃばけ読本

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