Festina Lente2

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『感染列島』(けっこうネタばれ)

朝出勤前に鶯の声を聞いた。まだあんまり上手に鳴けないけれど、
2月でこれだけ声がでるのならば上出来。
これでもう3日連続鶯の声を聞いている朝。どれだけ暖かいんだか。
そう、鶯は気温で鳴き方上手になってくるもんね。
自分の目で目白を見ることなく、鶯の声のほうを先に聞いちゃったよ。
いつもならば逆なんだけれどなあ。


本日午前中嫌な仕事を片付けて、歯科大へ再度、義歯の型取りに。
いつもの店でアンシャンテランチ。ゴムの型を抜く時に、
丈夫な歯というか、実際今ある歯が抜けてしまうのではないかと思った。
それくらい、かたどりのゴムを外すのは怖かった。
思いの他早く型を取り終えて、16時前。ふむ。


ソフトカイロに1ヶ月ぶりにメンテナンスに。
何も言わないのに、背骨を触っていた先生が、
右足首から先、痛くないですかって訊いて来た。
何でわかるの? 昨日まで油の切れたロボットのようにギクシャク。
それが、30分後には血の通う体。ほかほか柔らかくなって・・・。
本当に不思議。さて、本格的始動とのことで、夜間市内出張(往診)も
始める予定とか。私も家人も市内じゃないから残念。


中国茶陶然庭で家人の終業を待つ。
飲茶に薫り高いお茶。週末からだのメンテナンスが出来てほっとする。
降り出した雨も気にならないくらい、体が温かくて気持ちがいい。
18:00 フクリキ(福力)で軽く飲み、つまむ。ホッピーの焼酎割り。
19:15 本日の映画は家人がよかったという『感染列島』
もう一度一緒に見るという。ええ? そんなに肩入れしているの?
変だなあ・・・。ほんとにそんなに面白いのかな?

[図解]歴史をつくった7大伝染病

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Yasha(夜叉) (10) (別コミフラワーコミックス)

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うーん、オープニングの音楽が怪獣映画みたいだ。
多分、これから起こることを暗示、不気味さを演出したいのだろうけれど。
病院の中が綺麗過ぎて、変な感じがする。
市民病院がこんなに綺麗だっていう事が・・・。私の偏見か?
患者が急変、吐血。血液で感染する病気となれば、致命的。
医師に感染、死亡。この時点でマスク・ゴーグル装着遅すぎ。


どうみても、このこんな場所で、マスク装着無しはおかしい。
こんな無防備に隔離されている街中を歩くなんておかしい。
素人目にも、これじゃ感染して当たり前じゃん状態。
どこか非常体制なんだというくらい。
飛まつ感染にしろ、空気感染にしろ、???。
グラウンドゼロで作業した人々があの埃モウモウの中で作業して、
色んな後遺症に苦しんでいるという設定で、ついこの間もER。
なのに、マスク・ゴーグル無しで感染源をのし歩く?
素手で色んなものを触りまくる?


大体感染源を求めて現場の医師が現地まで飛んでいく?
それは別の人の役目じゃないの?
鳥インフルエンザじゃなくて、こうもりからの感染。
そういう設定にしたかったわけ? キラーウィルス?
それとも日本へのえび輸出で破壊されたマングローブ林の自然、
肥料と抗生物質、化学薬品に汚染された海から病気が発生したとでも?
いずれにせよ、ウィルスを生み出したのは人間が関与?


キラーウィルスの感染に対して、人間の血液、血清を使う。
これが最後の切り札? 10年前の少女漫画の焼き直しのよう。
そう、吉田秋生の『YASYA』主人公の病院を死の巣窟にするために、
敵は感染者を病院内で自爆させ、吹き飛んだ血液に汚染された医師たちは
為す術もなくばたばた死んでいった。漫画そっくりの修羅場。
免疫を持つ主人公が、自分の血液からワクチンを作ろうとする。
レベル4の厳戒態勢。次々に倒れる仲間を見送る壮絶な戦い。


しかしこの設定、10年以上前の少女漫画。
まるで、『感染列島』古すぎる。それに、ヒロインが死ぬ。
少女漫画じゃあるまいし、ドキュメンタリータッチの映画が・・・。
あーあ。リアルなはずの映画が、何かおかしい距離感でちぐはぐ。
謎の独立国、死の島の患者のシーン、まるでゾンビ映画
ウィル・スミスの『アイ・アム・レジェンド』や、
バイオハザード』じゃあるまいし・・・。


娘にはまだ見せたくない映画なので、二人で見てみたけれど、
リアルなようで突っ込みどころが沢山ある、
泣き所とお約束の恋愛、親子・友情があって、
メロドラマになりきれないドキュメンタリーの中途半端さが、
気持ち悪かった。医療関係者の方々はもっと突っ込みどころがあるのだろうか。
どんな思いでご覧になられるのだろう。
それとも、これは何らかの啓蒙に繋がるのか?


家人が何故2度も見るつもりになったのか、よくわからない。
「明日地球が滅びようとも、君は今日りんごの木を植える」の
せりふを導き出すために、ヒロインの弟を設定するのも?
リアルにしたいのかメロドラマにしたいのか、よくわからん映画だった。
ちなみに演技は、まあ、上手だったと思います。
子供を泣きのツボに使う方法はやめたほうが良かったと思う。


トリアージに関しては、大阪では震災や大事故が相次いで、
かなり考え方としては浸透しているのに、
地域を隔離、非常事態の状態で専門家・スタッフがトリアージ
躊躇しているようでは、却って不安を煽った。
もうすぐ公開されるもう一つの映画でもトリアージ場面は出てくるのか。
でも、チーム・バチスタシリーズの映画は娯楽作品の色合いが濃いから、どうかな。
WHOの職員のヒロインにトリアージさせて、現場の日本人医師は躊躇という設定。
これはやめて欲しかった。


とーちゃん、何で2回もこの映画見たがったんだろう?
私? 冒頭で犠牲者となる医師が「沢山の人の死を見てきているのに、
死ぬのは怖い」と言ったのが、心に残った。
「ウィルスと人間は共存できないのか。宿主まで滅ぼして自分も死んでしまう」
人間と地球の関係みたいですね。
そして同じ病気にかかっても、助かる人もいれば助からない人も。
その僅かな「違い」を決定付けているものは何なのか。気になる。


そして怖い映画というよりも、違和感。
リアルに感じたのは「何もかも足りないんだ」という怒りや無力感。
なのに差がありすぎる、無防備な状態での作業場面。
街中、人々。どこから現れたのかどうやって生活しているのかわからない
中学生ヒロインとボーイフレンド。
妙な所で生活感が無さ過ぎる。



映画を観終わって帰宅時、雨は本降りになりかけた。
帰宅後、風の音が大きくなり、吹き殴りの雨になった。
これはもしかして、春一番? 
どうか春を告げる雨と風が悪い病気を吹き飛ばしてくれますように。
押し流してくれますように。

感染列島―映画ノベライズ版 (小学館文庫)

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感染列島 (ビッグコミックススペシャル)

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※ 映画鑑賞から二日、あとから思うに、医療面もさることながら、
ライフラインがずたずたになるほど患者が出ているのに、
国も地方自治体も何ら具体的に国民をフォローできていないのが浮き彫り。
必死になって治療に当たる医師たち、病院に対しても
自宅で療養しろという患者側にも、水や食料、その他必要なものが
どうやって賄えているのだろうか? 全くそういうところははてな
スーパーマーケットでの日用品の争奪風景と、そういうものに関与しない人々。
そのギャップは非現実的だった。


某国の様に3か月分の食料品その他を地下室等に備蓄して置くように。
そういう徹底がないと、非常時あっという間に家庭はもちろん、
病院だって国だって、あんなキラーウィルスが暴れたら崩壊。
町がゴーストタウンなのに、食料品なんか絶対手に入らないだろう。
今でさえ、タミフルリレンザが足りないと大騒ぎしているのに。
駄目だなー、こりゃあ。
家庭で出来るのは水・食料・日用品の備蓄のみだ。
そんな実感だけがひしひし。
医療レベルだけではなくて、緊急事態支援体制が確立されていない。
そんな思いだけがどよーんとしてきた、映画でした。