Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

「逝こう」ではなく「生きよう」

お上の研修にしては珍しく有意義で、年度末故、短時間で効率の良い、
おまけに講師が早口な割りにわかり易く、情報伝達量の多い人で・・・
行って良かったなとしみじみ思える研修久しぶり・・・。
このくそ忙しい時に出張で出かけるのかと、嫌な顔の一つもされそうなこの時期、
正直言ってこの時期にしますか? という日時なのだが、
相手もあることだし、日程の調整が付かなかったのだと思っておこう。


ということで私的にも公的にも研修三昧。
今日はハードボイルドでございます。
しょっぱなから救急救命医療センターの映像か!?というような
生々しい画像がでっかいプロジェクターに映し出され、
少々気の弱い人なら、「引いてしまう」。
講師の先生はインパクトのある掴みをしたかったのか、
少々サドっ気があるのか、そんな風に勘繰りたくもなったが、
それはさておき、真剣な話が続く。


ええー、そんなのありかよーみたいな事も、
やっぱりそうだったのねという納得できる話も、
頭が痛くなるような事実・データの羅列、
胸の痛む出来事、痛恨の思い出、様々な余韻を伴い、
淡々と講義・講演は進む。
もっと早く知っておきたかったと思う事も、仮に知っていても
どうしうようも出来なかったのかもしれないと思う事も、
しんと静まり返ったり、ざわついたりする会場の中、
資料に沿って話は進む。


本日渡された資料は、名刺大からA4まで色々。
・死なないで まず打ち明けて その悩み 生きよう
・こころの健康総合センターだより
・大切な人を突然失ってしまったあなたへ
・飲酒運転に潜むアルコール依存症
・中高年男性の自殺予防に取り組む人のための10箇条
・国民一人ひとりが自殺対策の主役です−自殺総合対策大綱パンフレット
・自殺総合対策大綱の一部改正と大阪府の自殺対策について
・「自殺予防と遺族支援のための基礎調査」にご協力ください


講義の資料はパワーポイントで次々に映し出されるが、
肝心の所は抜けている所がミソか。
早口に早い切り替え、しっかり聞いていないとどんどん進むハイペース。
なのに飽きさせない展開、ここぞというピンポイントでの講義。
出来ることなら、こういう内容を15年前に知っておきたかった。

自殺予防 (岩波新書)

自殺予防 (岩波新書)

自殺未遂 (こころライブラリー)

自殺未遂 (こころライブラリー)

自傷と自殺―思春期における予防と介入の手引き

自傷と自殺―思春期における予防と介入の手引き



本日の講演「自殺念慮者と自殺企図者への対応」
講師 松本俊彦氏


話のつかみはインパクト、前ぶりはyahooのモニターの話。
IPアドレスがどんなサイトを行きつ戻りつしているか、
そしてその真夜中から朝方まで続く危ういネットサーフィンの向こうに、
小さな灯台を作ることから始まったサイトがここ→

そう、単なる商売だけではなく倫理的に情報が供されるべきという立場から、
Yahoo japanで「死にたい」情報検索すると「あなたの気持ちを話してください」という
コーナーがトップに来るようになっている。ここがグーグルとは違う所。
そういう裏話から始まって、話は延々と続く。
寝ないように予防線を張ってかなり前に座っていたのだが、後ろの階段席までびっしりだ。
それだけニーズが多いととるべきか、お役所仕事で人が送られて来ているだけなのか。


もう一つ驚いたのは、受付から司会・挨拶に至るまで全て女性だったこと。
お役所内部もこういう世界になってきているのか、
それとも話題が話題だから、ソフトな対応を表面的に演出しているのか、
健康福祉部、もしくは保健医療室、地域保険感染症の部門は
女性で占められているポストなのか・・・。
いずれにせよ男性が多い職場で働いていると、不思議な光景。
そう、21世紀とはいえやっぱり男社会で、前に立つ女性、
仕切る人、話す人、表面にでる人が女性なのは奇異な感じがする世代、
職場で生きてきたせいか、哀しいほど頭が古い私。


それはさておき、この研修がどう生かされるか、
果たして現場にもって帰って還元するきっかけ・時間・システムがあるかどうか、
その事も問題。おまけに、今回の話の中で肝心のことについては一言も聞けなかった。
援助者はストレス耐性を上げて、相手のアンヴィヴァレンツな言動に振り回されず、
対処できる資質が要求されるって・・・。
だから、援助者の心の健康を守る「ストレス耐性を上げる」ことについて
具体的に言及して欲しかったね。現場としては「ケースワーク」から学ぶことより、
自分達を守る方に回っている。攻めて行くよりも守るのに必死。
人手は足りないし、理解を得るには難しいし。


援助資源を広げるために、大人や教師親に相談することのない若者の友人にターゲット。
ピアカウンセリングの可能性を教育の中に見出していきたいなどと、
あっさり言うけれど、誰にも話せないから一人で楽になりたいと思うのは、
若者に限らず中高年でも同じなわけで、だから、職場にもピアカウンセリングというか、
職場そのものが針の筵みたいな評価主義の垂れ込みの疑心暗鬼の世界で、
給料・ボーナスも年々カットで、家庭内でも職場でも、
自分自身の存在価値を日に日に感じられなくなって来ているこのご時世。


援助者に対する心のケアも、同僚を守るネットワークも希薄な職場に、
ここ掘れワンワンならぬ花咲じじいの魔法の粉でもかけて、
枯れ木に花を咲かせましょう、ではあるまいな。
無い袖は触れぬ、自助努力で何とかしろの結論で終わり、
出せるものは何も無いから、後はよろしくね、ではないでしょうな。
ストレス耐性を上げろ。
全く精神科医の方は修羅場を見慣れているからといって、あっさり言ってくれる。


それが出来れば苦労はしない。
おまけに、一人何役も仕事をこなすのが当たり前と押し付けられる現場で、
あれもこれもこなすことが出来なくて、ストレス耐性以前に、
消化不良や積載過剰で一歩も動けなくなっている人が増えているというのに。
倒れるまで休めない、病気になるまで休めないのに、
病気休暇を取らないよう締め付け文書。
再発する病には対処しない内容。
働かざるもの食うべからず。直訳「辞めて飢えて死んでね」文書。


ああ、年度末。目にしたくない書類が多すぎる。
処理しなければならない書類が多すぎる。
真剣に対処しても対処しきれないことが多すぎる。

自殺未遂 (こころライブラリー)

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自殺で遺された人たちのサポートガイド―苦しみを分かち合う癒やしの方法―

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自傷行為治療ガイド

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