Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

近江八幡歴史建築巡り

春は名のみの冷たい風に送られて、市営駐車場まで来て見れば
嘘のように北風はぱたりと止んだ。どうやら街中の建物のお陰で、
体感温度上昇? ややほっとした気分。さて、散歩しながら、
ゆっくり近江八幡歴史街道レトロ建築巡りを始めよう。
天正13年に豊臣秀次が開いたものの、武士の町ではなく
商人の町として栄えた近江八幡。古い民家の町並みと、
おや?と思うほどモダンな建築が混在するところ。


近江というと近江兄弟社メンソレータムメンターム)を思い出す私。
残念ながら資料館は閉館。但し駐車場の側には関連学校(学園)建物。
近江の洋館建築というとヴォーリス。これも記念館は外からだけ。
予約が必要だから。彼は我が母校の大学建築にもゆかりの人。
地場産業だったのに、今は目立たなくなってしまった瓦。
今回はその珍しい「かわらミュージアム」でゆっくり時間を過ごした。
水郷巡りではなく、八幡堀巡りの船着場になっているこの美術館、
幸い満開の枝垂桜が白壁と瓦屋根に映えて、水面(みなも)揺れる春に、
えもいわれぬ情緒を添えていた。


 


実家は2、3年前、本瓦を軽い今風の瓦に葺き替えた。
阪神大震災の後、釘を使わぬ家は丈夫に持ちこたえたものの、
私の蔵書と瓦の重みで、やや傾いてしまったからだ。
瓦は地産地消。全国区ではなく地場産業だった。
昔は釜で焼かれ、茶碗のように焼き物の一つだった。
そういうことさえも普段は忘れ去って生活。
たまにはこういう博物館でゆっくり瓦トリビア、薀蓄に浸るもよし。



点在する古民家はそれぞれ小さな美術館、喫茶店
ちょっとしたアーティストの隠れ家のようになっていて、
3年に一度ずつ大掛かりな芸術祭が催されているそう。
道理で何だか曰くありげな表情をたたえている。
ただの生活の場、民家ではなくて、いわゆる雰囲気がある佇まい。
それとは対照的に、昔の生活を展示している旧西川家住宅、
旧伴家住宅、郷土資料館、歴史民俗資料館。


近江商人の心意気、贅を尽くした造り、昔懐かしい品々、
そして小学校として建てられた白雲館。
昔の人は本当に心に刻み自慢できる教育の場に、
心血を注いでくれていたんだなあと思える建築物。
近江八幡観光の中心地となるこの建物は、今は観光案内所。

その2階のギャラリーでは能面を展示していた。
能を愛した井伊直弼のお膝元らしい、面打ち教室の作品展示。
むろん心惹かれたのは生成(なまなり)。
般若・泥眼・橋姫の展示を見ることがあっても、これは珍しい。
え? どんなお面かって? ふふふ。調べてみてね。
まあ、これは自分の日常生活です・・・。


午後から駆け足で観て廻った私たちの力強い味方。
それは、近江八幡パスポートというお得な券。
今まで廻った全ての資料館のチケット+八幡山ロープウェイ往復込み。
さて、この町を一望できる山の上へ急ぎましょう。
何しろ16:15前。最終下山17:00。時間との競争になって来た。
のんびり歩きすぎましたかね・・・。


わずか4分間の空の旅。あっという間に頂上。
悲劇の天下人豊臣秀次の八幡城址に建てられた、日蓮宗の寺。
村雲御所と呼ばれる瑞龍寺に参詣。
秀吉という人物の姉に生まれたばかりに、息子の1人を朝鮮出兵で、
今1人を高野山で自害させられ失った母、日秀尼が創建の寺。
京都から移築されて現在の姿だそう。
八幡山、戦時中はご多分に漏れず管制塔があったとのこと。
今は平和で静かな場所になっている。

下山後、日牟禮八幡宮にお参り。堂々とした大きな社殿。
交通安全・厄除・無病息災にご利益とのこと。
金婚式記念に奉納された金色のつがいの鳩が微笑ましい。
有名な3月の左儀長祭の時に来たかった。
この社殿前の道路が駐車場と知らず、
ぽくぽく市営駐車場から歩いてきた私たち。
また戻っていかなくてはならない。
ま、大した距離ではないのですが。


さて、半日観光ではここまでが限界。
休憩も兼ねてお茶をしようと思ったら、さすが田舎の観光地。
17:30にてティールームもオーダーストップ。
ええ? まだ明るいのに参ったなあという感じ。
4月からは営業時間も多少延びるのかしらん?
昔ながらの和菓子を扱う店も、その支店になる洋菓子の店も、
土産物販売のみ。せめてもと、その店で話題のバームクーヘン購入。
綺麗なお庭で優雅に一服したかったのですが、残念。

ミュージアムまで戻り、川べりを臨む築100年の民家で一服。
ギャラリー兼カフェの、不思議で渋い空間。
和のテイストに味付けされた、その微妙な雰囲気が楽しい。
その古さゆえの味わいは、なかなか管理が大変そうだが。
土蔵をぐるりと廻って表側に出てみると、羊羹屋さん。


さて、一日500円の安い市営駐車場に戻る途中、目を付けていた店。
・・・佃煮屋さん。人間ドックの医者に漬物・佃煮・梅干・塩じゃけ・
塩分のあるものは全部駄目、味噌汁も具だけで汁を残せと言われても、
駄目なものは駄目なのだ。琵琶湖特産、小魚の佃煮ゲット。
おまけに海老まで付けて貰って、有難いことこの上なし。
かくして生活習慣病の継続支援云々は、功を奏するはずがない。


薄闇の中、道を知らない行き当たりばったりの旅をしている私たち。
湖岸道路を通らず8号線でトロトロ彦根入り。
到着予定時刻よりも遅れたものの、暗闇の中の安土城址を横目に、
のんびり北上。彦根城ライトアップ、夜のキャッスルロードを眺め、
駅前ビジネスホテルに到着。1に価格、2に朝食つき、3ネット環境。
おまけに無料マッサージ機、漫画コーナーありという優れもの。
少々オタクな私たちにはうってつけでした。


教えて貰ったお店で近江牛のステーキとまではいかないものの、
カロリーオーバーにならない程度の焼肉とサムゲタンで、
体に優しい食事をして、お休みなさい。
明日の彦根観光に備えて、バタンキュー。

NHK 美の壺 瓦屋根 (NHK美の壺)

NHK 美の壺 瓦屋根 (NHK美の壺)

NHK 美の壺 明治の洋館 (NHK美の壺)

NHK 美の壺 明治の洋館 (NHK美の壺)