Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

イタリア美術とナポレオン展

現実にナポレオンの生まれ故郷コルシカ島に行けるわけも無く、
アジャクシオ市のフェッシュ美術館なるものも知らなかっただが、
キリスト教美術はむろん、聖母子像ともなれば一度は拝みたい私め。
日本初公開のボッティチェッリと聞けば、皆さんも観たいでしょう!?
おまけにあちこちのポスター、チラシにこの絵ですよ。
一刻も早く見たくて心が疼くではありませんか。


「聖母子と天使」を見るために、京都文化博物館へ。
土曜日は普段停まらない駅にも特急が停まる阪急電鉄
お陰で家人宅からは1時間余りで行ける。
その上、博物館周辺には新風館なるファッションビルがあって、
ちょっとしたウィンドウショッピングも、グルメもOK.
何も四条や三条で純和風の京都を過ごさなくても、
博物館内には食事処・土産物屋・喫茶店・ミニギャラリー。
わくわくしながらいつものように京都文化博物館へ。
しかし、生憎の雨・・・。


本日雨天ゆえ、花見は無理と美術展・博物館中心の一日。
娘はナポレオンについては余り知らない。
さもありなん。世界史まではちょっとね。
彼女曰く、「えーと皇帝になった人で、元は軍人で、
白い馬に乗った肖像があるけれど、モデルは馬じゃなくてロバだった人」
? そうなの? 何だかトリビアまがいの情報が混じっているけれど。
ちなみに何処の国の皇帝かは知らなかったよう。
まあいい、まあいい。その目で本物の絵を味わって。


私自身好きなイタリア絵画が、いまやリゾート地のコルシカ島
フェッシュ美術館にあるなどとは知らなかったし、
フェッシュが人名で、ナポレオンの叔父に当たる枢機卿であり、
16000点にも及ぶ個人コレクションを持っていたなんて・・・
びっくり。なのでナポレオン一族の肖像画も多い。
デスマスクやゆかりの品々、バロックロココ、宗教画・世俗画。
特別展示を、いつものように音声ガイドを利用しながら鑑賞。

ボッティチェッリ全作品

ボッティチェッリ全作品


実際、体調が良くなかったので鑑賞には時間が掛かった。
立っているのが辛い。集中力が持たない。
昨夜も娘を連れて北上し、家人と合流して食事後、
素敵なティールームでお茶までして帰宅。
ちょっとばかり贅沢にくつろぐ時間を堪能しながら、
久しぶりにゆっくり食事をしたというのに、何か変。


疲れが体を絡め取る感じ。
体が沈んでゆくようなだるさで、ふらつく感じ。
階段を上る足が重たく、息切れ。
調子が悪い、変な感じ。
帰宅してすぐに休んでも、翌日は気持ちよく起きる事が出来なかった。
液状化して泡を吹くような砂浜を逃げ惑うという悪夢を見た。


体調からすれば丸々一日でも休んでいたいところだったが、
この休みを逃すと後はいつ動けるかわからない。
私の体の癖を知って貰っている整骨院でメンテナンス後、
思い切って京都に出向いた。新年度早々の疲れをぬぐう為にも。
小雨の中ランチを済ませて、休憩。やっと到着。
小さなフェッシュ美術館の内部の写真を見ているうちに、
何故かとても懐かしい気持ちになって、涙が滲んだ。
作品を見る前に、その場にいるような切ない気持ちになった。


「聖母子と天使」を見ると、ボッティチェッリの初期の作品に、
後の画風・個性がくっきりと現れているのがわかる。
何よりも、天使に支え差し出された幼子イエスを抱き取って、
その顔に頬擦りするように俯く聖母マリアの丸い顔、
母を見上げるイエスの丸い顔、遠くを見つめる天使の眼差し、
何とも言えない明るさの中に浮かび上がる。
一瞬のうちに聖堂の中にいるような気分に。
されど、哀しいかなその続きの絵や彫刻は
途中、室内の椅子に何度か座りながら、
だるさと眠気を振り払いつつ、何とか見終えた。



娘はとっくに常設展の方へ行き、パズルをしたり、
お気に入りのコーナーを見て、案内のお姉さんとおしゃべり。
繧繝べりの畳に座ったり、洛中洛外図の説明を受けたり。
「ここに描かれている人を一人一人カウンターで数えたり、
実際の景色とどんなふうに違っているか
(わからないところは雲でぼかして描いているので)
研究している人もいるんだよ。そんな仕事してみない?」
午後から出かけてきた私たちにも優しい、常設展は夜7時半まで。
17時を過ぎて1人であちこち飛び回っている娘は、
案内のお姉さんにも嬉しいお客だったようだ。



現在の展示は今年限り、常設展示もリニューアルされるらしい。
まだご覧になっていない方は、ぜひお早めにどうぞ。
開館して20年、京都文化博物館は展示時間も短縮されたが、
街中に溶け込んでいる重要文化財の建物をコンサートホールや、
ギャラリー、特別展・常設展と頑張っている博物館だ。
近くにあればもっと頻繁に利用したい施設の一つ。
皮肉な事に仕事が忙しくなり美術館・博物館巡りから
足の遠のいた頃にオープンした施設の為、
娘が生まれたお陰で足を伸ばすことができる。


休憩を入れながらゆっくりゆっくり帰宅。
サラリーマンが来ない土曜の夜、閑古鳥に泣く駅前の串焼屋の
カウンターを親子3人で占領。軽くおかず類の蛋白質だけ補給して、
お澄ましと御飯だけは家でという夕食で、バタンキュー。
学生時代奈良・京都と朝から美術館梯子をした若さはなく、
半日出かけるのがやっとになった春。
気が付けば、今日は4月4日のぞろ目。

ボッティチェッリ NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アートシリーズ)

ボッティチェッリ NBS-J (タッシェン・ニューベーシック・アートシリーズ)

ラファエロ NBS-J (ニューベーシック・アート・シリーズ)

ラファエロ NBS-J (ニューベーシック・アート・シリーズ)