Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

柴島浄水場見学と花見

昨年も訪れた柴島浄水場と水道記念館の桜並木で花見。
去年の記事はこちら
私としては去年とは違う花見と通り抜けがしたかったのだが・・・。
例えばこちらの観光写真のような・・・。

いかんせん、駅のポスターで崇禅寺駅から柴島浄水場まで、
シャトルバスで見学ミニツァーがあるとの情報を家人が仕入れてきた。
というわけで今回、大阪で一番古い柴島浄水場見学+水道記念館、
桜の通り抜けというお出かけ。

昨年も水のさんぽ道、水道記念館を訪れお茶の接待を受けたが、
今回は普段は訪れることの出来ない浄水場そのものを見学、
最終地点が水道記念館。
夜景はこちらのサイトが綺麗
昼間の景色はこちらがお勧め
渋いのはこちら


ちょっとした社会見学の気分、何しろポイントポイントでの解説、
淀川上流とはいえ、取水された汚い水をいかにして美味しい飲料水にするか、
評判の悪かった大阪の水がおいしくなったと言われるのは、この10年のこと。
それを広い施設内を歩き回るのではなく、シャトルバスで廻って貰い、
体調が今一つの私にとっては、歩く距離が少なくて幸いの企画だった。
実際社会見学そのもので、水中の細かい塵芥が漉し取られて排除され、
その汚泥の再利用云々の解説の下り、
汚れた海の匂いのする泥の前で聞かされたのだった。



太陽光パネルで発電、節電、非常用の給水車
災害等緊急時の補修用水道管、備蓄用品、大阪市ライフラインを守る
大阪市水道局のPR事業に参加した我々、老若男女、
解散場所の水道記念館の前でピンクのラベルが可愛い
「ほんまや」ミニペットボトルをお土産に頂く。
水道記念館は小さな水族館と生物・科学・歴史の勉強ができる。
大人にも面白い施設だ。1年ぶりに出会う漏刻。


楽しい見学時間はあっという間に過ぎ去り、柴島駅まで歩くと
疲れはどっと戻って来て、桜の木々がしんと静まり返っていた。




通り抜けには新しい発見があった。
戦時中大阪のライフラインを断つために、柴島浄水場一帯と
阪急電鉄沿線が米軍機の焼夷弾・機銃掃射を受けたこと。
その弾痕を受けた壁が、桜の木の下にひっそりと飾られていたのだった。
ソメイヨシノの淡いピンクと、もはや散り始め葉を出している白い花びらの桜。
所々にこぶしの花、縮れた花びらを持つ赤い椿。


どこをどう取っても和やかで賑やかな人通り、花見の宴、
ボランティアのお茶席のお振る舞い、催し物。
戦争など知らない世代の子供たちが「ほんまや」を宣伝販売し、
PRくじの催しが行われている長閑な昼下がり。
屋台の箸巻きやチヂミを食べ歩きながら眺める、桜の陰に、
大阪で一番古い浄水場が背負ってきた苦い歴史を垣間見た。


登録有形文化財の水道記念館には同じお仲間リンクがある。
知る人ぞ知る、文化遺産オンライン。
例えばこんな所
建築に興味のある人にはぴったり。大阪にも明治・大正建築が残っていて、
ちょっとしたブームにあやかり、レトロな雰囲気が受けている。
戦前昭和の頃の味わいのある建物や、北浜の薬問屋や商家の佇まいは、
大阪の町の古き佳き味わいを醸し出してくれる。
歴史には残念ながら戦争の影は付き物で、よくぞ残っていたなあというもの、
よくぞ再現したなあというもの、目に見えるものの向こうに、
様々なものが隠れている。


「春らんまん、記念館でちょっといっぷく」コーナーの今年の趣向は、
柔らかなフェルトの桜の花の飾り付けに、俳句や短歌のコーナーと、
大阪の美しい桜の名所紹介。その中の一句に芭蕉のこの句が。
―さまざまなこと思い出す桜かな―本当に桜を見る度に物思い。
自分の思い、遥か彼方へ通じる思い、
時間、空間、思い出、記憶。様々な桜の景色を思い遣りながら、
あと何度桜の季節を過ごすことができるだろうと、
切ない物思いにとらわれたりする、一瞬。


何故、日本人が桜が好きなのかわかるような気がする。
咲くまでの冬の寒さ、あっという間に咲けば散る潔さ。
花のもとにて死にたいと詠った人の思いが、透けて見える。
家族で花見ができる幸せを噛み締める。
そんな日曜日の午後。

SAKURA

SAKURA

京都桜名所 (Suiko books (119))

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