Festina Lente2

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背広姿の永井豪

今日は金融機関を廻って時間が潰れて、疲れた1日。
判子社会と振り込み詐欺のお陰で身分証明書だの、委任状だの、
限度額だの何だのとうるさい限り。
徳島の更に田舎の社宅に住んでいれば、身元など隠しようもなく、
乳母車を押して郵便局に来る人間に、やさしい言葉掛けこそあれ、
いちいち身分証明コピーも何もなく、和やかに会話が弾んで、
学資保険など積んでいた頃が懐かしい。


金融機関に行くと時節柄というより、この御時世殺伐とした気分に。
郵便局は民間になって、格段に仕事が遅くなった。
丁寧というよりも、手続きが煩雑になったのかシステム上の問題か、
以前なら即金で手渡されたものが、3週間ほど掛かって口座振込みだという。
糊口を凌ぐような生活をしているわけではないが、心の中で殴りたくなる。
民営化って何なんだ? 郵便局の時代が良かったよ。
郵貯銀行の通帳に切り替えてくださいって?
ページがまだまだ余っているのに、使い切るまで勿体無いでしょ。
1冊全部終わるまでほって置いて。
民間銀行でも名前が変わったからって、新しい通帳に即切り替えたりしなかった。
勿体無いでしょ、通帳の残りのページ。


小学校は近隣の農協がメインバンクのため、諸費全般引き落としは
新しく口座を入学時に開かなくてはならなかった。
あちこちに口座を作ると管理が面倒なんだけれど・・・。
転勤族の引越しの際、地元密着で口座を作ると質面倒臭くて・・・。
金融機関に出向く時間と手間隙がかなりのストレスになる。
昔すんなりと穏やかに別れの挨拶が出来ていたものが、
胡散臭く見られるような世の中になって来た気がする。


それはともかく、娘のプールにいつものようにお迎えに行き、
夕食を経て、何だかあっという間に夜。
うつらうつらと炬燵で仮眠を取って、TVを付ければ
ああ、そうだERはもうやっていないんだったと気付く。
昨日の夜は盛り沢山なアニメ番組を見たせいか、
さすがに今日は平日、夜更かしはいかんなあ・・・。


何しろ見る気はなかったのに、『グインサーガ』を途中から見たら、
そのあと、マンガノゲンバ永井豪の特集で眠気が飛んだもの。
グインには全く興味はなかったので、(もはや時代が違う)
リアルタイムで楽しませていただいた永井豪が背広姿!
背広姿で穏やかそのもの、にこやかなおじさん然として
インタビューに答えているのが衝撃的たった。
手塚治虫の影響を受け石森章太郎のアシスタントとなり、
メジャーデビューした永井豪。お懐かしや。

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幾ら私が夜型人間で、マンガが大好きだと言っても、
マンガノゲンバ放送時間帯は真夜中を過ぎている。
誰を相手に放送しているんだ、オタクだけか?
ああ、最近ではオタクは死語の部類だったっけ。
とにかく、永井豪。小学校のときからリアルタイムで読んだ。
私はそういう世代。読み本としての漫画もTVアニメも黄金期。
今活躍している世代に影響を与えた開拓者の時代の漫画・アニメ育ち。


学習雑誌の付録にウルトラマンウルトラセブンに出て来る怪獣が、
トランプになって付いてくる時代に育った人間。
もちろん手塚治虫の漫画が連載されていた小学館の雑誌。
「モーレツ」の言葉が流行り、スカートめくりが流行した小学校。
何のことは無い、今のようにジーンズが当たり前ではない時代、
公立小学校でさえも制服でスカートだったので、
スカートめくりを防ぐのが難しかった時代。
男女がきゃあきゃあ言って遊べたぎりぎりの時代に、
その漫画は皆に回し読みされていた。


『はれんち学園』『あばしり一家』は当然衝撃的だったが、
アニメ化された『マジンガーZ』と『デビルマン』の方が忘れられない。
アニメソングも生き残ったけれど、巨大ロボット云々の世界、
変身もの、理不尽な世界、正義が悪に勝つとは限らない、
悪に見えるものが悪ではなく、正義に見えるものが正義ではない。
そういうものに惹かれていく思春期には、
半ばエロスと暴力がミックスされている永井豪漫画・アニメは新鮮だった。


彼もTVの中で子供の成長過程には、
年齢に応じたエロスが必要だという内容の発言をしていた。
それよりも、そんな風に話している彼が60歳を過ぎて背広を着て、
それがしっくり似合っているのに、少年のようなはにかみ・笑顔で、
哲学的に語るのに胸打たれ、老いたなもと思い、
逆に自分の年齢は幾つだよと自分で突っ込まざるを得なかった。
そう、私が漫画を読んでいた頃、永井豪は若くてハンサムなお兄さんだった。


キューティーハニー』の頃には熱中する年齢ではなく、
どちらかというと、心理学的に興味をそそられた『手天童子』が好き。
デビルマン』と『手天童子』はいまだに我が家にある。
バイオレンスジャック』と『凄の王』の頃は、余り読まなくなった。
漫画から離れた時期、リアルタイムで読めない頃、
心が別の方向に向いていた時、残念ながら熱心な読者ではなかった。


それにしても、来週は再び永井豪デビルマン特集だという。
これは原作とアニメが全く違う作品だから語り甲斐があるだろう。
起きていられるか? というか、この年になってまだ漫画好き?
そんな自分に少々呆れる。
眩暈がしたり、気分が落ち込んだり、吐き気がしたり、
更年期の人間が、じっと座って炬燵に入ってテレビアニメを見ている。
仕事は? 明日も仕事なのに・・・。
わかっていながら起きているんだからねえ。
我ながら呆れてしまう。


何故ビデオに撮らないかって? 
いつでも見れると思えば見ないから。
読書もそう。いつでも読めると思うと読まなくなる。
何にでも旬がある。リアルタイムの旬を逃すと心に焼きつかない。
その旬の思い出が、夜中に私を目覚めさせた。
そんな日曜深夜の月曜日。

永井豪作品全書―永井豪クロニクル

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