Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

卵にまつわる思い

気がつけば、復活祭ことイースターは昨日だった。
イースターは移動祝祭日。毎年日が変わる。
卵料理を食べることもなく、(夕食は溶き卵の澄まし汁だったが)
教会に行くことも、昔の日曜学校の頃の思い出に浸る暇も無く、
ばたばたと時間の流れに押し流されて新しい週が始まった。
復活祭、そのご馳走も無く卵も無くお菓子もなく。
よそ様のブログを訪れて、ああ、イースター
ああ、色つき卵よと感慨に耽る有様。


民家の軒先で聖書の話を聞き、聖句のカードを貰い、
YMCAのお姉さんに遊んで貰った頃。
教会の日曜学校での卵探し。様々な色に染められた卵。
食紅というものを知らなかった頃、
魔法の卵かと思ってきれいな色つき卵を食べずに取っておいて、
とうとう食べられないまま、捨てる羽目になってしまった。
セロファンで包まれた卵を貰ったとき、
開いて中が白いのでがっかりというかびっくりというか。
そんな小学校時代が懐かしい。


卵といえば有名な逸話、エジソンは卵を抱いて温め、
奇人変人扱いされたというが、彼が抱いていたのは
地球の未来を左右する発明の卵、未来への卵だったのだろう。
最近はそういう卵の類にはお目にかからない。
未来への卵といっても、タイムカプセルは過去を封印するもの。
記憶・思い出・記念・足跡にはなったとしても、
新しいものを導く命のシンボルとは趣をことにする。
本来卵は命の象徴、豊穣のシンボルなのだが。

イースタークラフト (シュタイナー教育クラフトワールド)

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イースター・エッグ―A Souvenir Postcard Book (京都書院アーツコレクション)

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卵といえば、実は娘は卵が苦手だ。
小さい時アレルギーの関係で少々控えめな食卓にしたせいか、
ゆで卵はもちろん目玉焼きも玉子焼きも苦手で食べてくれない。
お好み焼きやホットケーキなら平気なのに、見えていると駄目。
かろうじてかき玉汁なら何とか、卵かけご飯なんてとんでもないで、
周囲からは「お弁当のおかず、大変でしょう」と憐れまれる。


先日テレビで「黄金チャーハン」というものを見て、
昨日作ってみた。全く同じというわけには行かないが、
冷や飯と残り物に味付けして、ご飯に卵をまぶして黄色にすれば、
何とかなるだろうと思い切りいい加減に作ってみたのだが、
これが非常においしくて、卵がきれいな黄金ではなくて、
少々炒り卵風になったものの、娘からの評判も上々。
機嫌よく卵を食べてくれてかーちゃんも満足。


本当のイースターエッグも知らないウサギ年の娘。
ウサギも卵もこの時期には欠かせないアイテムなのに、
色つき卵を知らない娘。卵料理の美味しさをいまだ知らない娘。
でも、焦らずに少しずつ色んな形で食べさせよう。
成長して味覚も変われば好みも変わる。
無理やり食べさせてもかわいそう。


昨日今日、あちらこちらの卵の記事、イースター関連の記事に
ひとしきり思い出に耽りながら、細切れに仕事を片付ける。
イースターの薀蓄についてまとめてあるのがこちら
遠いクロアチアの地でユダヤの伝統にのっとって、
玉ねぎの皮で染められた紫色の卵
最近ではこんなグッズで卵をラッピングしていたのねと、
ハイテク技術にびっくりさせられたのが、これ
以前娘に見せたロシアのイースターエッグ
私のお気に入りの本。そして娘のお気に入りの本。

いろいろたまご図鑑

いろいろたまご図鑑

医学のたまご (ミステリーYA!)

医学のたまご (ミステリーYA!)


卵料理の本でなくて申し訳ないが、卵の本。
卵関連の本はたくさんあるのに、親が写真に惹かれ、
娘は科学者(医学者)の卵である主人公に憧れている。
私の卵はいつの間にか娘となって、別の卵の話に夢中。
卵はいつまでも卵ではなく、何にどんな風に変化するのか。
卵料理の様々なアレンジに等しく、たまごまごまご♪


命を孕む卵もあれば、何事もひよこの前は卵、
一人前になる前は卵、始まりは卵の殻を割るところから。
受精卵のように、卵が分裂して更に複雑に大きなものへと成長して、
いつの間にか思いもよらぬ不思議なものに成長していくように、
復活もまた、ありえないと思っていることが、
思いもよらぬ形でもたらされる、人それぞれの幸いの形。
その時になってみるまで、何が起こるのかわからない世界。
自分自身にも、周囲にさえも。


結婚も出産も遅く、姑から「古い卵の持ち主」
「子供ができるかどうかわからない年齢」と言われた日々から
10年以上が過ぎ、私の毎日は賑やかだ。
心の殻は割るに堅く、破るに難い。
命を孕む卵の無限の可能性は、人の手によらぬもの。
喜怒哀楽はもとより、家人の存在、改めて老父母への思い。
複雑に入り組んで家族の迷宮は果てしなく奥深い。
人智及ばぬところで、えにしゆえの葛藤も含めて、
神の御心は計り知れぬ。


私にとっては毎日が黄金チャーハンの日々。
卵をどんな風に料理するか、中華鍋を扱うのは難しい。
握力も腕力も体力も無いかーちゃんは、フライパンで
黄金色にはちょっと足りない素人チャーハン。
でも、美味しいと食べてくれる卵が苦手なはずの娘がいる。
かーちゃんの創意工夫しだいで栄養はいくらでも取れるね。


私にとっては娘との日々が変化に富んだ毎日。
笑ったり泣いたり怒ったり呆れたり、嬉しい時も悲しい時も、
豊かに分裂増殖していく、娘の成長の日々が
親としての成長の日々。
そして自分を育てて貰った日々を、
卵だった自分が卵を育てている、親の卵から歩き出している、
子育て親育ての日々。


私にとって最も身近な「卵」の毎日。
「命の卵」の日々は我が子と過ごす毎日。
過ぎ越しの祭り、そしてイースター、復活祭。
不惑」を過ぎて与えられた日々の恵みは
親子のすったもんだの日々に取り紛れているけれど、
春、思い新たに蘇る。感謝、感謝。
日々の恵みに。日々の喜びに。
命の尊さに。

復活祭のグレゴリアン・チャント / 永遠のヒーリング・ヴォイス

復活祭のグレゴリアン・チャント / 永遠のヒーリング・ヴォイス