Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

六甲山グルーム祭

今日こそは、外で楽しく過ごしたい!
先週は娘ご所望のキッザニアとはいえ、建物の中で一日中過ごした。
天気の悪かった雨なのでそれはそれなりに許せたが、
新鮮な空気を吸って、休日を過ごしたいとーちゃんかーちゃん。
かーちゃんのご所望の六甲山に、山開きの儀式を見学兼、
娘のために六甲山カンツリーハウスで過ごし、
家族でフィールドアソレチックにチャレンジという日に。
小一時間のドライブでワインディングロードを上り、
薄曇の山頂に着けば、山開きの儀式は氷室からの氷の到着待ち。
当初仕入れていた情報から、約1時間遅れで始まった。
実に悠長なことだ。

(過去のグルーム祭の記事はこちらを参考に→


毎年新聞の記事にもなる、夏山開き。
如何様な物かと思っていたのだが、何のことはない、
随分頑なな形を保っているのは、行政のお偉方が役職上の挨拶、
お言葉を延々と述べて周囲を退屈させたためで、
小学生地元の小学生、シルバー世代の合唱団、
式服に着替え祝詞を揚げた神主さん、
その他生粋のハイカー、私たちのような野次馬参加者。
テッペンカケタカのホトトギスの声ものどかな山の上。
こじんまりとしたアットホームな山開きの式。


六甲の地はご存知? 神戸居留地区に住んでいた外国人が開発した場所。
日本で最初にゴルフや登山が行われたのだそうな。
六甲山の開祖、英国人のArther Heaketh Groom氏の業績を称え、
また夏山の一切合財・行事諸事万、端安らけきことを神仏に祈る儀式。
関西の奥座敷、お洒落な別荘地、登山やハイキング、
大人も子どもも楽しめる施設、牧場、植物園など、
いろんな意味での幅広い観光地、六甲。
しかし、この頂上付近までやって来たのは約四半世紀ぶり。


かつて大学生の野外キャンプリーダーだった頃の六甲。
若かりし頃、同僚とデイキャンプを楽しんだ六甲。
独身時代のわくわくドライブ、家族で有馬温泉の帰りに眺めた夜景、
六甲は身近にあるようで、えい!と気合を入れないと、
ちょっと行けない、近いようで遠い観光地。
大阪ではなく、神戸が背景にあるせいか気後れしちゃう。


異国めいた、お洒落な、何だか普段の私たちが背伸びしそうな、
当たり前の緑深い山々が連なる六甲。貴重な自然が残る六甲。
かつて友人が、恋人と過ごした「お正月の六甲縦走は良かった!」
と話しているのを聞き、六甲山そのものは自分にはご縁のない
ハードボイルドな聖地・聖域のイメージに変化。あれから幾年。


その懐かしい六甲のYMCAの面々が、氷室から氷を運んでくる。
「かんこおり」ののぼりを立てて、運ばれてきた氷。
昔は貴重だった氷室から、運ばれてきた氷。
こういうものも娘に見せたかったんだよね・・・。
娘よ、君の憧れている清少納言の時代の削り氷(けづりひ)は、
こういう自然の氷から作った、貴族だけが口にすることのできる、
貴重品だったんだよ。冬の氷ならいざ知らず、夏の氷だからね。




六甲山自然保護センター・六甲山ガイドハウスの建物のそば。
まだアジサイの花には早い、この記念碑付近。
全学年でも40人程度の六甲山小学校の生徒、
グルーム氏の御孫さんに当たる女性に花束を渡す幼稚園児、
分別収集を訴えるゆるきゃらワケトン環境省が配るうちわ、
Tシャツ姿のシルバー世代の歌声、手作りの夏開き。
10代から20代の若者の姿が一番足りない気がする。
自然に親しむといっても、色んな形がある。
じっくり山歩きを楽しんでいるのは、年配の方々。
私達の世代より下は、いずこ?

 


地鎮祭のように神域に注連縄を張り巡らせ、供物を備え、
正装した神主さんの前に関係者一同居並び、神妙なる儀式に、
興味津々見入っている私に家人は珍しいかと問う。
家人が会社に勤めていて、工場勤務の折、
年の初めは毎年このような儀式から始まるのだそう。
曰く安全祈願。なるほど、家人にとっては珍しくも何とも無かったわけか。
娘はとっくに退屈しているが、私にはグルーム氏のことも含めて
六甲の様々な歴史を織り交ぜつつ、横文字の並んでいる祝詞の文言、
面白くて珍しくてたまらない。


髪を招く時の声も、送る時の声も、一体どこから声を出しているのか、
独特の響きと長く引き伸ばされる声、普段接することの無い日本の儀式。
神戸の町々を遙か見下ろす崖から御払いをし、山の頂に向かって御払いし、
撤餞。ひらひらと小さな白い紙が撒かれれる。
滅多に拝見できるものではないので見て欲しいと思ったのに、
娘にとっては、「いつになったらフィールドアソレチックに
連れて行ってくれるの?」と待ち遠しいだけの時間だったよう。


聖と俗、ハレとケ、こもごも入り混じった儀式も終わり、
神主さんは普段着の礼装に着替え、祭具一式を小さなつづらのようなものに納め、
御供物の野菜や果物もビニール袋に入れてお持ち帰り。
駐車場に運んで一人颯爽と運転して帰っていく。
ハイキングしてきた人々には、例年鏡開きをして振る舞い酒があったそうだが、
今年は新型インフルエンザの関係でそれもなくなったとか。
色々お楽しみの抽選やカキ氷の振る舞いもあるらしいものの、
残念、一足先に娘ご所望の六甲カンツリーハウスへ移動と相成った。


六甲・摩耶 2009年版―1:25,000 (山と高原地図 48)

六甲・摩耶 2009年版―1:25,000 (山と高原地図 48)

六甲高山植物園 (花の絵本)

六甲高山植物園 (花の絵本)