語られ、聞かれ、読まれる「闘病」
オストメイトという言葉をご存知ですか。
医療関係者の方ならいざ知らず、一般にはまだ知られていない言葉。
説明すると皆さん、お分かりになるのですが、身近にいなければ、
そういう人もいるんだぐらいの感覚で終わってしまう。
それが現実なのかもしれません。
でも、やっぱり少しずつ理解を求めて運動しなければならないし、
身体の相談を受ける側としては、お話を伺えるのは大切な機会。
そう、今日はオストメイトについて、
オストミー協会にも所属している方の話を聞いた。
大腸がんの手術をされてから、10年以上人工肛門で生活。
このような話を直接聞く機会は滅多に無いこと。
残念ながら、人権や障害(現在は障がいと書くことが主流)の話は、
気を遣うので出来れば聞きたくないという人も多い。
関係者だけで法的なことも、器もソフトも何もかも整備すればいいこと、
解決すればいいこととはなから逃げる人も。
でもねえ、もしも自分がその病気になったらどうするの?
当事者になったらどうするというのか。
一緒に活動している仲間が、なかなか打ち明けられなかったこと。
オストメイトを知っていますか? そんな話題が出たのは最近のこと。
そう問いかけられて、え? という感じになってしまった。
それくらいわからない。自分達が背負っているものとは異なるだけに、
隣の芝生どころか、全くもって知らないことは多い。
外側からでは見えない障害。だから、かえって人から誤解される。
例えば多目的トイレ。車椅子でも無いのに、何故使用しているの?
そんな目で見られることも多いのだとか
だから最近、「一般の方もどうぞご使用下さい」の張り紙があったり。
外出時に周囲を気にするあまり、引きこもってしまった人。
手術後夫婦生活も無くなり、離婚してしまった人。
術後の生活を受け入れることが難しく、鬱病になった人。
術後不具合が続き、再手術を余儀無くされた人。
不具合どころか、手術ミスのあった人。
さまざまな事例が出された。
実際にかかる費用、障害者への対応。電車の割引や、
その他、補助の現状。思いのほか高くつく健康維持のための費用。
どのような援助が地方公共団体から為されているか。
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奇しくも、今日の今朝の読売新聞に「闘病記」に関する記事。
図書館では闘病記のコーナーが情報源として脚光を浴びているとか。
「医師に話せない痛みや苦しさなど本音が書かれていたり、
家族や医療関係者との接し方、治療費や入院期間の実情など
役に立つ情報」が詰まっているので、図書館では
単にエッセーとして扱わず、闘病記として病名ごとに分類整理して
書架にまとめようという活動が広がり始めているのだとか。
本を探そうにも手に入らなかったあの頃、
ネットの中で情報を捜し求めて真夜中もずっと起きていたあの頃。
苦い思い出が蘇る。書架に向かい合う余裕も時間も無かった。
毎夜毎夜、仕事の合間に探す情報、ネットサーフィンの谷間。
如何にして病と向かい合うか、闘うだけではなく共存していくか。
自分の人生の節目と折り合いをつけるために、
生まれて初めての経験を乗り越えるために、先人の経験を参考に。
「何事も先達のあらまほしき」、ましてや病においてをや。
それが今では、情報が整備され公開されている。
闘病記のweb図書館で・・・。http://toubyoki.info/
やっぱり情報を求めている人が多いのだろう。
人が生身の人間の語りを聞き、思いを知り、自分に引き寄せ、
独りよがりにならないように、自分を客観的に考えさせてくれる。
そこに至るまでの思いを、気持ちを、少しでも整理してくれる助け。
助けが欲しいから・・・。
自分の身体がどのような状態か、どんな感じでどんな風に変化し、
どんな風に診察、診断され、手術に至り、術後どうなって、
どんな気持ちになり、どんな経過で障害を受け入れるようになったか、
そこの心と身体の変化について、個人の経験、個人の物語を聞く。
これはとても重要なこと、大切なこと。
心萎える出来事、信じ難い出来事、どうしても受け入れ難い現実、
医師の言葉も、家族の支えも、友人知人の励ましや慰めも
有難いとは思えども、わかっていても素直になれない。
当事者は自分なのだ。病と向かい合うこと、
服薬・検査・手術、その後の生活、余命、今しておきたい事、
考えたいこと、言って置きたい事、
杞憂と思われようと、考え過ぎとなじられようと、
意気地無しと罵られようと、
この気持ちは自分以外誰にもわかって貰えない。
そんな思いから、一歩一歩、進んでは後戻り、
様々な病の、手術の、置かれた環境の違いを乗り越えて、
多くの人の思いや言葉が自分を振り返らせ、立ち止まらせ、
冷静にさせ、時にははっと気付かされ、慰められ、
涙に暮れる思い、痛みに耐える苦しさを和らげてくれる。
病への、病からの、病と対峙し生きる人からの言葉は、
その語り、その物語は人を支える。
私達の勉強会、研修はまるで今朝の記事をリンクしているように終わった。
そして、夜、家族で見た劇は病や障害の比喩として、
「人間ではないもの」が人間を装って、生き抜くために、
自分達を迫害する人間に協力し、共存しようとあがく物語。
朝の新聞、昼の研修、夜の舞台が重なって私の心に呼びかける。
こういう一日があるのだ。こんな日が。
期せずして、私の心を一本の線で繋ぐ様に、
はっきり流れがわかるように、
何かが導いてくれる日が。
−−−−−−
後日、関連記事を見つけた。
→http://hosibosi.at.webry.info/200906/article_3.html
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