Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

対照的な一日

一夜飾りは出来ないので、今年は七夕飾り無しの我が家。
日曜日に作ろうと思えば出来たのかもしれなかったが、
七夕飾りの飾り物は、思いの外時間が掛かる。
綺麗に美しくしつらえたいと思えばこそ、神の依り代には気合が必要。
という訳で、世間様の盛り上がりとは対照的に、今日も何もせず。
出張で忙しいと言うのは言い訳かもしれないが、作る余裕が無い。
そろそろ娘も自分で作ってくれればいいのだが、何もしない。
一人で自分用の笹を切って来るという訳でもない。
裏手はいくらでも竹がある竹薮だというのに。


出張を終えて水泳教室に迎えに行けば、さすが子ども相手のスポーツ産業。
ちゃんと笹飾りを設えて、短冊なども取り揃えて置いてある。
娘にも一枚書くように促せば、なんとまあ、こすからいこと。
「三つ願い事が叶いますように」おいおい、何なんだ、それは。
「いいでしょ、何でも願い事が叶うようにと書くよりも、
 三つだけにしたんだから」やれやれ、そういう問題じゃなくて。


一昨日の家人が見ていたTV番組だったか、
七夕の短冊にこういうことが書いてありましたって、大写し。
「書いて何になる」・・・嫌な短冊。
何もこういうこと話題にしなくてもいいのに、うんざり。
娘もこの路線で行っているとしか思えない。
知恵が付いたと喜ぶべきなのか。いやいや、こすからくなっただけだ。


そういえば今日は対照的な一日だった。
何しろ、出張先で再び同窓生に出会ったのに、その人間は、
後輩どころではなくて、高3同じクラスだったというのに、
お互いの名札を見ても何も思い出さなかったようで、
こちらから挨拶をすると、怪訝な顔をされてしまった。
そのあまりの温度差、金曜日の後輩との再会と会話内容との温度差に、
愕然と言うか、これが当たり前、世の中だと納得すべきなのか、
何だか少々混乱してしまった。

職場のセクハラ―使用者責任と法

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まあ、向こうの立場にしてみれば、現場から退いて、中央。
何かとあちこちに気を使うお偉い役職・肩書きの中で仕事。
突然訳のわからない、ポッと出のおばちゃんが休憩時間に近付いてきて、
何の挨拶だろうと思ったんだろうな。学校も名前も名乗っても
向こうは高校時代のことは愚か、視線も合わせず遙か彼方の世界、
忘れても罪でも何でもないけれど、クラスも担任の先生も、
何もかも忘れている(か、その振りをしている)んだね。
そういうものなのかなあ、・・・そういうもんなんだろうなあ。


研修は慣れた内容だったけれど、もう少し突っ込んでも良かったか、
どうだったか、主催者側? ファシリテーター? 司会? 少々消極的だったかも。
まあ、予想された内容、異なるメンバーとのワークショップは、
それなりに毎回得るものがあって楽しい。
ただ、神様はよくしたもので、上も下も一気に見せてくれるものなんだな。


金曜日の、懐かしさがじんわり蘇ってくるような出会い。
あの時は私が声を掛けられて、あれ? という感じだった。
今回は全く逆。それにしても、簡単に忘れられるような存在だったんだ、私。
クラスメイトではあったけれど、アウト・オブ・眼中って感じだったんだ。
私が後輩の事を名前を聞いてすぐに思い出したのとは違って、
記憶を辿っても蘇ってこない、そういう部分に私はいた。
世間一般の全くの何の縁もユカリもない人と、同じ待遇境遇。
でもねえ、あれから何年何十年だよ。
がっかりする方がおかしいのかも。何か期待していた?
捨てる神あれば拾う神あり、拾う神あれば捨てる神あり、そんな感じ。


旧交を温めるまでには至らない、職業上の階層、立場、履歴の壁のようなものが、
幾重にも重なっていて、相容れない関係になっていたのかも。
慇懃無礼に挨拶を交わすつもりであれば、がっかりすることも無かったのに、
金曜日の出来事が、私を少々ハイに、無防備にしていたのかも。
甘いなあ、幾つになっても。お仕事、ビジネスなんだから、
もっとドライに、もっと冷静に行動していなくては・・・。
例え顔見知りがいようが居まいが、今日の研修には関係ないこと。


・・・そんなふうに割り切ってしまいたくなかったけれど、現実はそうなんだね。
一夜飾りにはしたくないから、飾り物は作らない。
鋏も色紙もペンも持たない。誰かがどこかで祭りをする、
それに便乗することも出来ない。
誰かがどこかで見ているかもしれないけれど、大人はみんな見て見ぬ振りが当たり前。
今更声を掛け合って何になる、偶然会った、そのことに何の意味がある?
いちいち関係付けて一喜一憂するもんじゃない。
生活者として地に足を付けて、もう少し分別を持って暮らせないの?


どこかで誰かの声が響く。本当に鬱陶しいったらありゃしない。
あちこちから自分の声、人の声。脳内でざわざわ。
金曜日は研修に来て思いがけない収穫があったなと思い、
今日は逆に、残念、がっかりって、何を期待していた?
プチ同窓会のような気分に盛り上がる事を?
そういうわけではないけれど、やっぱり・・・。
もう少しお互い懐かしんでも良かったんじゃないかと思ってしまうのは、
ええ歳したオバサンのひがみ・やっかみ・欝ですかね。


人生ってこんなふうに、プラマイゼロで出来ている。
現金掛け値なし。あれ?薄利多売でもなく、えーとえーと。
袖触れ合うも他生の縁。違うなあ。情けは人のためならず?
あれ? 何だかしっくり来ないなあ。
そんな感じ。歯がゆい思い出その場を離れる。
いちいち知った人、顔見知り、久しぶりの人間に感情というエネルギーを使ったら、
疲れ倍増って感じの彼の前から、草々に立ち去ってしまわないと、
こちらもエネルギーを吸い取られてしまいそう。


お門違い、住んでいる世界が違う。何がぴったりくるのだろう。
この感覚、この違和感。あの『剣岳 点の記』を見た時と似通った、
見てはならないものにばかり目が行ってしまい、
本来見るべきだったものを見逃したような、
そんな感じがする、この感覚。すれ違い感、一抹の寂しさ。
雑然とした、生身の人間でない人と話したような、
木で鼻をくくった、(くくられてしまった)
ああ、金曜日の後輩が私がびっくりするほど親近感に溢れていたのに反して、
月曜日の元同級生は、他人以上によそよそしいリアクション。
お陰で・・・ちょっと脳が混乱したのね。それだけのこと。


それだけのこと。ちょっと対照的な出来事が続いただけのこと。

勘違いことばの辞典

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ケースで学ぶ異文化コミュニケーション―誤解・失敗・すれ違い (有斐閣選書)

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