Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

なにわ淀川花火大会

娘がキャンプに旅立って3日目。相変わらず気分は萎れ気味。
食事の用意もちょっとしたことも、何だか張り合いが無い。
居れば居たで、べたべたと甘えてくる娘に[暑苦しいよー」と言っているが、
暑苦しく寄って来る娘の存在がないと、何もする気にならない。


お持ち帰り仕事やレポートなど山積していても、期日が迫っていないと、
勢いやっつけ仕事でしてしまえばいいさと、放り出したままだ。
自分がこんなにアバウトな人間だとは思っていなかったが、
予想外の2重3重人格だったのかも知れぬ。
ああ、自分を買いかぶり過ぎていた。
そんなグータラした私を一人残して、家人は通院日。
私は空ろなまま潰れている。


仕事先出張先研修先でうろうろする古本屋。
手にとってみるのは、自分好みの本よりも娘が喜びそうな本。
何しろ娘曰く「かーちゃんは引退したら、とーちゃんのいう小料理屋の女将?
それよりも、面白そうなコミックを見つけてくる仕事をすれば?」
褒められているのかけなされているのか、微妙な言い草のもと、
活字の本は昔のようなスピードでは読めず斜め読みなので、
しっかり読み込んだ感覚が薄れて来ていること、甚だしい。


そんな私を家人が外に連れ出す計画。
それは、大阪に居ながら一度も観た事がなかった淀川の花火大会。
何しろ50万人の人出と言われる大花火大会。
そんな人ごみに娘を連れて行ったらもみくちゃにされてしまう。
公園で空を見上げながら寝っころがての草加の花火、
のんびりとスポンサー・花火の種類を読み上げる阿南の花火、
升席で座って見る事のできた岡崎の花火とは違う。
それに、娘の居ない時に二人で花火ねえ・・・。


「でも、もうチケットかってあるんだよ」何? チケットって?
「花火大会の席を買ってあるんだよ?」 淀川の花火大会に席?
升席みたいなものがあるのか? 知らなんだ。
ええ!? 一人7000円! 娘が居ない時にそんな無駄遣いして。
家人に感謝するよりも、ひたすら驚愕する私。
おまけに十三も塚本も降りた事も無い駅から歩いて・・・淀川沿い。
ま、しかし、何事も経験。重い体をよっこらしょと引き起こし、
普段着のまま夕方の電車に乗ってみれば・・・。


浴衣の天来会場か? 駅からずっと物凄い人出。
若者のファッションがここまで着物好きだったとは。
それにしてもひどい着付け、柄、着こなし。
阿波踊りの本場、徳島はさすがに皆さん着物姿が綺麗だった。
着付け飾り付けの流行りもあろうが、芸者のように抜いた襟元、
ピアスの耳を強調する襟足を見せる髪型、ペディキュアの下駄。
それが若さとはいえ、何だか見ているだけで疲れるおばさんの私。

  

  


ところが雰囲気一転、会場の奥も奥、所定の席に着てみれば、
白いテーブルクロスに椅子が置かれて、早い者勝ち好きな席へ。
和やかな家族連れ、年配の方々、しっとりしたカップル、
有料の席のせい? 無料席の土手や芝生の喧騒とは異なる風情。
お弁当とお茶も付いていて、手持ちのアルコールやつまみなどで、
ゆったり花火が始まるまでの2時間弱を過ごす面々。
川面を太鼓を演奏しながら走る船。観覧船も緩やかに漕ぎ出している。

  


その雰囲気に気持ちも和らぎ、贅沢な夕食に舌鼓、
夕暮れ夕映えを楽しみながら、日没を眺め花火を待った。
そして19:40過ぎ・・・。

  



それではとくと、21回なにわ淀川花火大会をお楽しみ下さい。
  

  

  

  


そう、この花火大会は地方と異なり、花火の説明も何も無い。
普通ならばスポンサー名と花火の種類が延々と説明されて、
花火大会は2時間余り掛かるのが普通。その間、首が痛くなるので、
草加等は公園の芝生に寝転んで空を見上げていたものだ。
鳴門や小松島・徳島・藍住・阿南では首が痛くなった。
花火を見るのにも体力が要るものだと痛感したものだ。
それでも、まだ幼かった娘が花火の爆音にもむずからず驚かず、
一緒に過ごしてくれた時間が嬉しくて、
まだ元気だった母が手縫いで誂てくれた浴衣を着せて、
夏の花火を追い求めて過ごしたものだ。

  

  


今まで見たどの花火大会よりも派手に感じるのは、余計な説明なしで、
どんどん映像が切り替わるように花火が打ちあがるせい?
それにしても、コンピューター制御で花火が上がるためか、
アップテンポで余情が無いというか、矢継ぎ早に上がって、
勿体無いというか、何というか。
もう少しゆっくりめのテンポで、空に花を咲かせても。

  

  


娘が居ない二人だけで見る花火。この美しい花火を見せてやりたい。
大阪に一緒に暮らす初めての年、よもや3人で花火をと思った日。
あの万博公園エキスポランドの花火は二度と見られない。
園が閉鎖され、遊園地のささやかなアトラクションの花火は2度と。
何もかも失くしたかと思った後の、春夏秋冬。
娘は小学生になり、1人でキャンプに出かけ、
あっという間に私たちは取り残されて。
こんな風に月日は流れていくのだろうか。
ヴィのような花火。一瞬の生。

  

  


何も知らなかったあの頃。花火は家族で過ごす幸せの象徴。
駆け抜けていく時間を惜しみ、共に過ごせる時間を惜しみ、
転勤先と行ったり来たりの逢瀬の中で、
病を得て病とあって、日々の生活ができる喜びの中、
当たり前の生活の恵みを意識させる花火。
一瞬の中に垣間見る、人生。

  


小1時時間で終わってしまった。待つのが長い分、短い花火。
ミュージカル花火を聞いていたけれど、あれ?
水面低く上がる花火は迫力。乱発気味のスターマイン、
空襲かと思えるほど間近に聞こえる花火の音。
頭のすぐ上ではじけるように見える火の粉の山。
その迫力に満ちた映像は、あっという間に終わり、
私たちは難民キャンプの大移動のように駅に向かって歩いた。


お盆が始まる。暑い夏が。遅い梅雨明けと立秋
先祖が帰って来るお盆が始まる。

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