Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

万博・思い出・ターボダッシュ

涼しい午前中、夏期講習の宿題を何とか終えた娘。
両親は娘と共に郷愁に浸りながら、パビリオン跡地を探して回る。
記念碑の説明プレートに比べて、地面の石碑に嵌め込まれたスクラッチ
昨日に引き続いて、この家族は夏の暑いさなか、巨大公園をうろついてます。
とにかく地図とにらめっこで見つけてはスクラッチ
麻薬のような快感、いやそれはオーバーだが途中でやめたら元も子もない。
せっかくここまで来たからには完走、全部スクラッチして達成感を味わいたい。


まずはウォーミングアップ。大阪府立児童文学館周辺の三つ。
植え込みの中に隠れていて探しにくいのなんのって。
とうとうわからず図書館の人に尋ねる羽目に。
経済協力開発機構OECD)、国際連合アジア開発銀行
こういうパビリオンがあったわけね。


さて、あの記念すべき万博、エキスポ70のシンボルマークに匹敵する形、
五弁の桜花をかたどった日本館跡。いや、もう、これは行って驚いた。
とにかくどれだけの広さを有して国力を示すパビリオンを作ったのか。
昔の記事、マニアエキスポを探してみましたが、日本館の写真が見つからない。
http://d.hatena.ne.jp/neimu/20071007/1191754271
「むかし・いま・あす」という言い方でテーマを決めて展示していたらしい。
残念なことに記憶に残っていない。もしかしたら観なかったのかしら。
たった3回では子供の足で見る事が出来たのは知れていただろうし。

  


その日本館跡地。こんな感じです。ご覧下さい。
向こうに見えるのはサッカーと野球をやってもまだ余る位、広大な芝生。
懐かしいシンボルマークの残るマンホール。
桜並木が連なる公園東口に陣取っていた日本館のプレートをスクラッチする娘。
これが結構難しい。場所的にもスクラッチしやすいし、
恐らく当時も今も記念にこすっていく人が多いのか、プレートが磨り減っていて。

 
 


そしてこの周辺には外国のパビリオンばかりではなく、様々な企業団体のものも。
例えば、電気通信館・地方自治体館・虹の塔(日本専売公社)など。
下の写真の並木道の奥にちらりと写っているのが鉄鋼館。
現在は改修工事中。当時は音楽堂だった。
http://hp1.cyberstation.ne.jp/shokudousha/EXPO/TEKKOUKAN/TE_index.html

  

  


専売公社なんて名前、久しぶりに聞いた。そう、そういうものがあった。
塩と煙草と、えーと何だっけ。樟脳。今時の若い人に、樟脳なんて通じない。
大阪と兵庫を代表する樹木、楠の薫り高い葉の成分が虫除けの樟脳として、
日本の民族衣装、着物をたんすの中で守っていた防虫剤、なんてね。
専売公社や国鉄、おまけに郵政事業まで解体されて日本な良くなったか。
全然・・・。特に、郵政解体後の国策のまずさは目立とう精神の強かった、
上からの改革の失敗の最たるもの。


昔を懐かしむではないけれど、希望があった時代に思春期を過ごし、
リストラや減給に喘ぎながら中高年の人生を過ごすと、
過去を振り返らざるを得ない。
専売公社のパビリオン、虹の塔。プレートは薄汚れ、哀しげ。
テーマに至ってはもっと虚しい。だって、「心の調和」だもの。
色んな意味で国策に振り回され、政治など信用できない今、
解体された専売公社のテーマは胸に痛みをもって響く。
気を取り直して、次のエリアに進もう。

  



中央口の太陽の塔を眺める。ピーカンともいうべき青空。
20世紀少年」ならぬ、少女だった自分を思い出す一瞬。
花園や庭園に生まれ変わった広大な万博公園の中を彷徨う炎天下。
中華民国大韓民国・フランス・ドイツ・オーストラリア。
この辺は森林浴ができる、緑陰濃き万博公園の散歩道。
本当にパビリオンは実験的建築群ともいうべき姿で、
当時の小学生にはSFの世界に出てくる未来都市を連想させた。


白いフランス館のテーマは「生命の樹−よりよい生活の設計」。
黒いドイツ館のテーマは「音楽の花園」。上は音楽堂、地下が展示会場。
オーストラリアは南半球ということを強く意識させてくれた。
ユニークなパビリオンの形が気に入って記念メダルを買い、
ずっと飾っていた思い出が蘇る。


そして、2時間待ちの「月の石」の展示が人気だったアメリカ館。
宇宙を身近に感じた瞬間。その何十年か先に、母校から宇宙飛行士が。
ロサンゼルス市・アラスカ州シンガポール象牙海岸
今のコートジボワールだね。英国・チェコスロバキア・香港。
曰くありげな国々が続く。チェコスロバキアは別々の国になったし、
香港は英国から中国に返還された。
エキスポ70からは40年。確かに歴史は動いている。


ジャンク船をかたどった香港館のテーマは、「共に楽しみ、ともに築こう」
私が香港・中国を訪れたのは、この時から約15年後だった。
イタリア・タンザニアガボン中央アフリカザンビアウガンダ
だんだん終わりに近づいてきたかな。
シエラレオネ・ナイジェリア・メキシコ・キューバ
とうとう、やったついに。ああ・・・。疲れた。


キューバのスクラッチが終わった途端、バタンキュー。
本当によくこんな炎天下、回ったものだわ。
冷えた缶ジュースで乾杯。あと少しで閉館時間、17時。
さあ、帰ろうと駐車場まで来てみれば?
お財布を入れたポーチが無い。どこで?
記憶を辿れば最後に見たのは・・・キューバ館跡地。
あの時側のベンチに倒れこんで寝たっけ。


財布も免許証も身分証も全てその中。頭の中は真っ白。
それは世間でいう火事場の馬鹿力という奴でしょう。
普段へーこら愚痴ばかり言って体の重いかーちゃん、
娘と家人を振り切って、脱兎の如く走って現場へ。
メタボならぬターボダッシュ
ターボエンジン全開のようなダッシュは、一体どこから?
体力使い果たしてスクラッチし終わったはずではなかった?


ありました! 草むらの陰、白いベンチの上。
こんな辺鄙な場所、公園の中でもわざわざ人が通るとは思えない、
それくらい草地の端っこ、奥まった藪の側の白いベンチの上。
人が通る道筋でなかったのが幸いしたのか、
そのままポーチは何事も無かったような涼しげな顔で転がっていた。
安心の余り、脱力・・・。
ぜーはーぜーはーぜーはーぜーはー。


岐路は家族にお詫び方々、夕食を奢った。(回転寿司だけれど)
こうして、思い出に満ちた親子万博公園クラッチの午後は終了。
お後がよろしいようで。

公式記録映画 日本万国博 DVD-BOX

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