Festina Lente2

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予行演習

土曜日なれど「予行演習」だと小学校へ出かけた娘。
でも、天気は雨。明日の運動会、大丈夫かなあ。
まあ、「照る照る坊主」が欲しいなんて言わなくなったあたり、
年相応に成長しているのか、醒めているのか。
絶対運動会晴れて欲しいよう! とも言わず、
淡々と出かけていった。


かーちゃんの方が明日の運動会を前に緊張。
何しろ学年の広報、カメラ担当です。
ちゃんと写真撮れるかなあ。
ああいうのは、シャッターチャンスもさることながら、
腕章を付けたら強引なまでに対象物に迫る根性が物を言う。
でも、たかだかPTA新聞の白黒写真に血道をあげても・・・。
理性ではそんな風に思っていても、お役目全うしなくてはと、
前日から心配性なかーちゃん。


家の中を片付けながら、病院帰りのとーちゃんを待ち、
明日のお弁当の為に買出し。何を作ろうかなあ。
昔、4年生の運動会の時は母が栗ご飯を入れてくれたっけ。
我が家の栗ご飯は栗の渋皮を残して、うっすらご飯に色をつける。
まっ黄色の栗の実だけを入れる売り物のおこわとは、ちょいと違う。
そこにぱらりと黒ごまを振り掛けて・・・。


今から思えばその頃の母は、今の私よりも15年ほど若かったわけだ。
かしわの唐揚げ、ウサギに皮をむいたりんご。
後は何が入っていただろう、我が家のお弁当。行楽弁当。
行事の日の特別なお弁当・・・。
心の中で、娘の好きなもの、お助け冷凍食品、その他諸々、
シュミレーションしながら、3人分のお弁当を考える。


家人はあれこれ悩む私を横に、あっさりと切り捨てる。
「コンビにかどこかでお握りでも買っていけばいいんじゃないの」
こういう時、妻は夫に限りない幻滅にも似た殺意を覚える。
ったくもう! 作って貰ったり、貰われたりした感謝の蓄積、
舌で覚える親の味、思い出と一体になった御馳走の記憶、
そういう物を培う努力と親心(母心か)を、踏み付けにする。
手間隙を掛けて何かを創り上げる過程という物を考えず、
お金さえ出せばそれで終わりというのかね、本当に呆れる。

ドーンと元気弁当―食べざかり、伸びざかりに

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女の子の大好きなお弁当―母もらくちん娘も作れる簡単レシピ

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実は家人は娘に呆れ果てられている。
1週間前10歳の誕生日の娘に「父親からのプレゼント」も無く、
特別に掛ける「言葉」も何も無く、かーちゃんと娘から、
大ブーイングを買った挙句に「物を贈るのが誕生日じゃないだろう」
「もう色々沢山貰っているだろう」と言い放った。
10歳の誕生日だよ。
記念になるようなイベントにしないでどうする。


世間では、「少なく生んで沢山いじろう」という、
少子化時代の子育てを揶揄した言葉も聞かないではない。
されど、自分の娘に何かしら思いを託す事は無いのか?
節目節目に伝えたい事は無いのか?
運動会のお弁当だって同じ、いつまでこうやって家族全員、
行事のたびに寄り集まれると思っている?
中学や高校になったら、観に行くこととてあるまいに。


娘が10代になってしまったという事は、思春期の入り口に立ったという事は、
良くも悪くも、家族ばらばらで過ごすのが当たり前。
娘は同世代の人間と集うのが当たり前。
成長という名の小花レオや離れが始まる前に、
その予行演習も兼ねて、数少ない行事の時の、
密接に凝縮された「演出」とも受け取られかねないお約束、
運動会の昼休み、家族で囲むお弁当の時間。
気合を入れているかーちゃんがお馬鹿とでも?


嘘でもいいから、「○○が食べたいなあ」とか、
「△△を作ってくれ」とかリクエストしてくれたら、
面倒くさいなあと思いながらも嬉しくて張り切る母心、
かーちゃんの心境を思いやってくれんか?
別に男女同権の世の中だからとて、とーちゃんに作れとは言わん。
期待もしていない。
ただ、1年に1度の行事の前に、準備段階から盛り上がることさえ
「予行演習」が必要なのだと、わかってくれてもいいのに・・・。


もっともこんな風に気合を入れすぎるかーちゃんだからこそ、
気抜けするようなとーちゃんを配してくれたのかも知れません、
天知る地知る人知るの世界。
明日の天気は晴れだそう。昨日今日までのぐずついた天気が、
スカッと晴れ上がる秋空を夢見て、
かーちゃんの心の中は、娘の応援団、お弁当係、広報担当カメラマン、
様々に思い乱れているのです。


シミュレーションといえば格好がいいけれど、
あれこれと思い乱れて、心の中で予行演習。
バター味はあかん。冷めても美味しい味付け。
日焼け止めがいる。埃が立つし、インフルエンザは流行っているし、
マスクは絶対して行こう。お茶は何本ぐらい凍らせておこう。
どんなお茶がいいかな。(麦茶以外、パウチやポカリの類も)
カメラの電池の充電を確認。それから・・・。


お月見だ! 満月だから月見団子を用意せねば!
関西風のこし餡の巻きついたものと
関東風の白い団子を重ねたものと両方!
本日のデザートはこれこれ・・・と。
え? 誰ですか? 食べ物へのその執着を、
仕事に回せとか言っているのは・・・。


・・・そう、忙しい時、何かの前に準備する段階、
予行演習が本番を盛り上げる踏み板のように、
かーちゃんの心の中も、娘の誕生日、運動会と、
ホップステップジャンプで日常生活に弾みをつけて、
神無月を滑り出そうとしているのです。
そこんとこ、よろしく。

作っておくと、便利なおかず スピード・作りおきおかず (忙しい人の便利シリーズ)

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