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『新三銃士』人形劇を見よう

連休3日目。やれやれ、今日は娘が帰ってくる日。
あっという間の休みだったなあ。丸二日を研修・勉強会に費やしたので、
頭の中がふわふわする感じだ。一気に詰め込んだ、そんな感じ。
頭の中の空き容量が少ない分、何かを捨てるか忘れるかしないと、
もう詰め込むには過剰な刺激をもってしても、しまっておけない。
そんな感じがする。情けないことに。


朝からTVはNHKの新しい人形劇のことでかまびすしい。
14年ぶりになるというNHKの人形劇。
私の記憶の中には『ひょっこりひょうたん島』『新八犬伝』。
残念ながらやっていたのは知っているが、たまにしか見ていないので、
それほど覚えてはいない『プリンプリン物語』『三国志』。
語りが入り、台詞が飛び交い、そこに人形たちの動きが加わる。
何ともいえない臨場感と、ストーリー展開にわくわくしたあの頃。


私は『ひょっこりひょうたん島』はもちろん、『新八犬伝』世代。
井上ひさしのナンセンスギャグと、どたばた喜劇。
辻村ジュサブローの怪しげな人形の魅力を堪能。
冒険活劇の楽しさを創作もの、原作あるなしに関わらず楽しんだ世代。
家人は『プリンプリン物語』がお気に入り。


まあ、大変なてこ入れの仕方。そこまで大騒ぎするか、そんな感じ。
今回は三谷幸喜が脚本とあって、随分力を入れて取り上げ、
NHKお気に入りの爆笑問題の片割れがナレーターを勤める。
アニメの看板『おじゃる丸』『忍玉乱太郎』をお休みさせ、
前宣伝を今朝からがんがんにかけて、20分番組を繰り広げる。
ちょい役でしか出てこないダルタニャンの父親役のアテレコに
大御所西田敏行を起用する万全の体制。

ひょっこりひょうたん島 ヒット・ソング・コレクション(オリジナル版)

ひょっこりひょうたん島 ヒット・ソング・コレクション(オリジナル版)

現代語訳 南総里見八犬伝 上 (河出文庫)

現代語訳 南総里見八犬伝 上 (河出文庫)


今度は三谷幸喜脚本、脚本化水から宣伝、ナレーターも。
どうしてそこまでてこ入れして人形劇?
おまけに舞台はフランス。私たちの世代は世界の名作文学を読んだ、
最後の世代だといわれている。
共通一次マークシート世代は、読み込むという姿勢を毛嫌い?
全集ものや古典に類する文学作品を読まない世代なんだそう。
それはともかく、この21世紀で外国文学作品を下敷きにした意図は?


家人もアレクサンドル・デュマの名作『三銃士』を知らないという。
全くがっくり来る。この冒険活劇を知らなければ、『鉄仮面』や、
映画『仮面の男』の面白さもわからないじゃないかと突っ込みたい。
私は幸い小学館の世界の名作文学50の恩恵を受けて、
原作を全て知っていなくて、古典的な著明度を保つ世界名作文学はわかる。
ある意味、どんな人形劇になるのだと危ぶまざるを得ない。

仮面の男 (角川文庫クラシックス)

仮面の男 (角川文庫クラシックス)


海外でも有名なはず、アレクサンドル・デュマの名作『三銃士』、
血湧き肉踊る大活劇、日本でいうならばチャンバラ、
剣士達の活躍、政治の黒幕との戦い、飛び交う銃弾、
暗殺や毒薬、女スパイに悲恋と話題に事欠かない。
娘にはこれを機会に子供用のダイジェストでもいいから、
原作を読んで欲しいと思うカーチャン。


何も知らない世代の為にこそ前宣伝が必要。
かえって知らなくて、新鮮だからいいのか。
若い世代には、先入観がないからいいというわけか。
では、この過剰な宣伝振りは何だろう。
世界各国の人形劇まで紹介して、煽る煽る。
人形劇ってまだまだメジャーな娯楽なんだよって感じで。


確かいつだったか、人形を操れる人が高齢化してしまい、
せっかくの技術が廃れてしまうと継承者問題があったっけ。
アニメに押されて人形劇が振り向いてもらえないと。
パソコン・DS・Wiiの世代にアピールするためには、
私を含めた中年熟年世代の郷愁を呼び起こすだけでは足りない、
そんなところなんだろうか。

三銃士 上 (角川文庫)

三銃士 上 (角川文庫)

三銃士 中 (角川文庫)

三銃士 中 (角川文庫)

三銃士 下 (角川文庫)

三銃士 下 (角川文庫)


というわけで、鳴り物入りで始まる『新三銃士』。
主人公のダルタニャンはどんな感じだろう。
そして、挫折したおっちゃん達の再生とも言える、
銃士隊の再結成と三銃士の結束は? 陰謀とどう戦う。
フランスとイギリスの小競り合い、権力争い。
太陽王と称されたルイ14世も即位するまでは内乱に悩まされ、
各地を転々とし、そのせいで絶対王政に執着するが、
それよいも以前のルイ13世の時代。どんな風に描き出す?


冒険活劇。その魅力を人形劇でどう伝える?
メインテーマは「ひとりはみんなのために みんなはひとりのために」
うーん、どうして今年買った私のTシャツの文言と同じ言葉が?
娘の運動会の6年生の組み立て体操と同じ言葉が?
One for All, All for One.
これが訴えたいメッセージなわけね。

三銃士〈上〉 (岩波文庫)

三銃士〈上〉 (岩波文庫)

三銃士〈下〉 (岩波文庫)

三銃士〈下〉 (岩波文庫)


アトス・ポルトス・アラミス、この先輩から若きダルタニャン、
何を学び何を得るか。父親を失った若者が、父性・男性性を獲得する過程、
そのイニシエーションの過程に冒険活劇あり・・・と。
こんなふうに公式化しちゃうと面白くないかも。
大衆演劇・活劇は善人悪人はっきりさせて役割分担明らか、
わかりやすさと手に汗握る冒険が命。危険あり、友情あり、
チャンチャンばらばら、ラブロマンスにすれ違い、誤解、喧嘩、仲直り。
一人の青年の成長譚と見るか、職場内教育、集団・組織論的に捉えるか、
あの手この手の政治の駆け引き、裏舞台と見るか。

宰相リシュリュー

宰相リシュリュー


まあ、色んな見方があっていいんだけれど、子どもも大人も楽しめる、
そんな人形劇であってくれたら、文句は言わない。
私は根本的に、沢山の人形劇を見て育ってきているし、
小学校でさえも芸術鑑賞といえば、人形劇だったぐらいだから。
(今も忘れられない人形劇団「くらるて」の公演)
アニメではなくて、額に汗したたらせて人形を演じる人間がいる、
人間が演じる人形の描き出す人間世界。


娘よ、早く帰っておいで。一緒に見たいね、第一回の今日。
一緒に楽しめる、広がる話題が欲しい。
自分の分は後回し。家族の衣替えしながら、
人形劇を一緒に見る夕べを心待ち。
連休が終われば、10月は駆け足で11月に近づく。

NHK連続人形活劇新・三銃士完全ガイドブック (教養・文化シリーズ)

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ダルタニャンの生涯―史実の『三銃士』 (岩波新書)

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