Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

第61回正倉院展

 


大きな期待を持ち続け、今日という日を楽しみにしてきた。
ともすれば、父の退院日になったはずの今日。
従来の予定通り、自分の為の遠出に使おうと思っていた今日。
その今日という月曜日・・・。休日出勤の代休日。
・・・少しばかり朝寝坊をした。もはや、8時半。


「ウェルかめ」も見逃してしまったが、
ま、ま、とりあえず、気を取り直して。
ここでくじけたら、その絢爛豪華なお宝が拝めない。
家族誰もが行かないけれど、どうしても行きたい。
天皇陛下在位20年記念の年の正倉院展
先日、11月3日に色んなTV番組で特集されていた正倉院


近鉄奈良駅からバスの走る大通りを歩かずに、
商店街の路地から真っ直ぐ坂道を上がっていくと、
お馴染みの鹿がゆったりゆったり歩いている。
例のアレ、煎餅が欲しいのか? それとも別物?
いきなり群れが近づいて来た。
え、私は何も持っていないんだけれど、
何か気になることでも?

  


鹿の角切る行事も終わり、少々「おつむり」寂しい牡鹿。
白い斑模様もかわいい小鹿。
幼い頃から鹿を見ると奈良、奈良というと鹿と大仏。
そんな風にインプットされてきた私の目の前に、
去年家族で訪れた興福寺が見えてくる。
ああ、去年と逆コースで歩いているからね。


紅葉はまだまだらしい。それでも、ふと気づくと・・・。
それに花も・・・。赤く色づいた木々と白い花。
思わず、写したくなってパチリ。

  


今年は阿修羅を含め一堂に会した仏像達が人気。
予想通りの長蛇の列。去年のうちに拝観しておいて良かった。
土産物売り場も半端じゃない。この鹿模様の丸い缶は飴?
何の御利益があるのか、様々な限定興福寺グッズ。
そういう物をちらりと横目で眺めながら・・・?
え?阿修羅の写真付USB、スティックメモリ。
みやげ物も様変わりしましたねえ。


いささかぽかぽか陽気、歩いているうちに汗ばんでくる。
興福寺を過ぎるともうすぐ目的地。
国立博物館が見えてくるはず。
チケットは用意してあるから、そのまま並べばいいはず。

  


老若男女、奈良を楽しみに来た人達が、
同じようにここにきているもう一つの目的。
正倉院展。御即位20年記念、第61回正倉院展
マンガの世界でもドラマでも、むろん小説でも人気のある、
天平の御世、臣下から皇后が立ち、藤原貴族の基礎が築かれた時代、
女帝・仏教・政変・内乱、歴史は依然血生臭く、
それでいてシルクロードの文化の香りが満ち溢れた時代。


その時代の息吹を、躍動感を、洗練された美意識を、
肉筆を、爪弾いた楽器を、魔除けにもなった鏡を、
絢爛豪華であった東大寺大仏開眼会の儀式の名残を、
律令の現状を記した古文書を、垣間見る為に集う。
目の前にある様々な品々をタイムトラベルのきっかけにして、
心をかの時代に向け・・・。



されど、同じような思いに駆られる人は数多く、連日大盛況大混雑。
古都奈良をゆっくりゆったり楽しむというには余りにも・・・。
そいうわけで、家人と娘は「もうあの混雑はいい」とパス。
本日代休の私だけが、博物館美術館関係者はお休みのはずの月曜、
会期中は無休の正倉院展が狙い目と出かけたというのに・・・。
何なんだ、この人出は。45分待ちはまだいい方だと言い聞かせつつも、
並んで待っていることに、うんざり。


その私の横を、地元の人なのか「さすがに今日は空いているねえ」と
言いながら散策している人も。観光地奈はこの時期掻き入れ時、
混雑を避けていては何も出来ないと、気を取り直さざるを得ない。
たった一人で奈良を歩くのは本当に久しぶりだが、
こういう虚しい待ち時間も含めて一人になりたかったわけではない。


家族のいない分、せめてゆっくり見ようと音声ガイドを借り、
古代の琵琶の音色を聞き、螺鈿の鏡の美しさに見惚れ、
貴族の盤上の戦い如何にと想像し、大きな鏡、様々の釣り飾りの玉、
紙代わりの木片を削った小刀、ガラスビーズをつけた玉箒、
巨大な銀盤、ユーモラスな面、精巧で精密な細工・織物に見入った。

  


さてお土産は・・・と。この、琵琶と花食鳥のデザインが、
地下のミュージアムショップの入り口に。
正倉院展のポスターは今年、琵琶。
楽器としては渋過ぎて魅力的な音色とは思えないものの、
デザインとしては目を喜ばせる逸品。
その他、様々な国宝・学術書、関連本、雑貨、
何だか目移りしてしまうわー。


クリスマスプレゼントにしたい小物や、趣味の小物、
本やその他ちょっとしたものを色々買い揃えると、
結構な重さになり、何だかヨロヨロ・・・。
あれ? どうしたんだろう。
ずっしりと重い。何をそんなに? 変だなあ・・・。
若い頃のように美術館をハシゴしたわけでもないのに。
とうとう400円で10キロまで利用可能という宅配便を利用。
今までこんなことなかったのに、それほどプレゼントにする物を、
あれやこれやと買い込んだはずはなかったのに、何故?


体力気力の衰えか、家族がいないからパワーが出ないのか、
このところの疲れが溜まっていたのか、
奈良まで来ただけでこんなに疲れるとは。
正倉院展の見るまでに時間が掛かったせいもあるけれど・・・。
片道2時間余りで往復するだけじゃなく、並んでいたのが応えた?
少々自分の疲れ具合にビックリ。


日暮れ近い会場外では、お弁当やお茶、甘いもの、休憩所が。
そこで見かけたせんと君弁当。売り切れだったけれど、写真だけ。

Y新聞の宣伝コーナーでも一服。


改めて、体重、いや体力の無さに思い知らされた日。
でも、貧乏性の私は代休日を寝て過ごすなんて出来ないし。
今から娘の音楽教室のお迎えに行かなくては。
さて、荷物が軽くなったとはいえ奈良駅まで戻って、
更に電車を乗り継いで帰らなくてはならない。

レトロな奈良交通のバスを横目に・・・せっせと歩き、
いつものように駅前に着き、せんとくん行基の写真を。
ふう。一日はあっという間、感激もあっという間。
非日常は日常に侵食されているから。
当たり前とはいえ・・・。

 

大人の旅物語 奈良 (ぴあMOOK)

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サライの奈良 (サライムック)

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