適塾へ
土曜日も出張が入っているのでますますアップが遅れますが、
家族全員元気です。シロも頑張っています。(1日でも長生きして!)
現在の愛読書は『与謝野晶子』と『レオナル・ド・ダビンチの食卓』
繰り返して行きつ戻りつ。娘は友達と喧嘩しつつも、学校に行き、
大人は仕事に追われ・・・。クリスマスや年越しの準備どころか、
あたふたあたふた。
でも、出張ついでにシアトル美術館所蔵、日本・東洋美術名品展
『美しきアジアの玉手箱』神戸で見てきますね!
行ってきます! 12/5
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神農祭の賑わいを後ろに、堺筋から御堂筋へ来たものの、
官庁街ビジネス街の祝祭日はお休みの店が多い。
さて、どこで腹ごしらえをしたものか、思案顔の家人。
どっこい、私のグルメ魂(単なる食い意地ともいう)が燃える。
出張や検診であちこち地図を持って出かけるメリット、
いつか入りたいと通り過ぎるだけだった場所、そこへ。
やはり、文化財指定の由緒ある建築。1階は菓子屋、眼鏡店。
地下は夜はレストランバーになるベトナム料理店。
そこのランチタイムに滑り込みセーフ。
狙い違わず雰囲気の良いお店。家族連れでは一寸もったいない風情。
ほの暗い明かりの中でゆっくりランチ。味も抜群。
体も温まり人心地付いて、ビルのレトロな照明をしばし眺める。
こんな風に光を眺めていると、先ほど眺めた神社は日本で、
今立っているのは異国、居留地のような錯覚に陥る。
適塾は歩いてすぐ近所だ。ビルの谷間に、これまたレトロな平屋が続く。
何でも市立の幼稚園だというが、まるで映画のセットのように時代がかっている。
緒方洪庵が開いた蘭学所は、かの手塚治虫の祖父も学んだという。
阪大の医学部はここから始まった。今ではこの建物は阪大が管理している。
実は昨日も家人と娘は北浜界隈を歩いたそうだが、
16時閉館だったため見ること叶わなかったのだそう。
ここで日本を動かした才能が、日々はぐくまれた。
この梁の下の大部屋で畳一畳に寝起きし、切磋琢磨。
日本を支え、世界に雄飛する日を夢見た才能が育った。
小さな坪庭、ムクドリが遊んでいる。
大鳥圭介の額、緒方洪庵の家系図、オランダ語の辞書、
展示物を覗き込んでいる家人と娘。
学ぶ厳しさも楽しさも今と比べようも無く、
転がり落ちるような急な傾斜の階段を上り下りして、
大勢の人間が、どんなに密度の高い学びの場に暮らしていたのか、
今の時代からは想像しがたい、適塾の頃。
幕末から明治維新を支えた人々を輩出した、伝説の学び舎。
これから沢山学んでいく娘は、何を感じたのだろうか。
昨年の大河ドラマ『篤姫』のファンだった娘の心に、
何が響いただろうか。
祝日のことゆえ、別ビルの種痘所記念館を見ることはできなかった。
いつかまた、機会があれば訪れたい。
情熱を持って学ぶことに縁遠くなってきた今、
必要に駆られて泥縄で学んでいるような今、
少し寂しく、哀しく見上げるビルの谷間の木造の適塾、
端座する洪庵坐像に別れを告げて、帰路に着く秋の夕暮れ。
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