Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

通院納め

さて、娘のお迎えまでには時間はあるが、今日しておかなければならないこと。
それは、掃除でも洗濯でも片付けでもない。通院納め。変なことだが、
まあ、要は年末年始お休みになるお医者様の所に出かけてメンテナンス。
(年の瀬の開業医にとってはまことに面倒な患者というわけで)
実は昨日も行ったのだが、余りの待ち時間にギブアップ、翌日回し。
本日は午前中のみなので、比較的空いていたというわけ。


11月に痛めた左の人差し指は調子がよくなりかけると悪くなる、
指の捻挫だと言われ、骨に異常はないというものの、固定もなし、
しかしグーの形に握れず、第一関節から先は別人の指。
ひどい時には指先のみ痺れや感覚異常。
実家近医の整形外科ではなく、家人宅近所のお勧め整形外科へ。
実は昨日第九を聞きながらも指が痛く、音楽を聴きながら指を握ったら、
「ポキッ」と音がして、カクンと指が・・・?
バイクのハンドルを回すように右手で握って手前に左指を回すと、
ああら不思議、握れなかったグーに握れるように。


もしかして、脱臼? 亜脱臼? いや、そんなはずはない。
だったらもっと激痛で、腫れてもおかしくない。
でも、これが不思議、握れるようになったのは何故?
理屈がわからずそうなるのが不思議。
でも、これが一晩経つと、また痛みがぶり返す。握れない。
いったん正常位置に戻った筋が突っ張って、ねじれ、
そっくり返っていくような、そんな感じ。


親子3人で切り盛りする駅前の医院、老院長先生は見るからに上品な、
医学博士を絵に描いたようなロマンスグレーの先生で、
おばあちゃん達から年の瀬の挨拶を受けながら診察をこなす。
確かに、プロとして言葉掛け一流。
痛ければまた来なさいだけで、放り出されるのとはちょいと違う。
当たり前の決まり文句を言葉にしているのかもしれないけれど、
その言葉の掛け方は、近所の整形外科医とはかなり違う。
診察室が混み合うのもわかるような気がする。


レントゲン、近医とは全く違う撮り方をした。
怪我した指1本だけを3方向から取るのではなく、
両手とも真上からと、真横からを撮影。
診察室で拡大・縮小、画面で共に見ながら図を描いて説明してくれた。
剥離骨折を疑ったようだが、そのような所見は見当たらず、
やはり映らない筋や腱が痛んで指のひどい捻挫だろうということ。


しかし、器具の固定は指のリハビリを遅らせるから、このままで、
夜のみ疲れて痛んでいる指に痛みは無くても湿布を巻いて固定し、
休ませるようにとの指示を受けた。更にあり難かった言葉は・・・。

痛み治療の人間学 (朝日選書)

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痛みの概念が変わった―新キーワード100+α

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「年末年始、やら無ければならない事はあるだろうけれど、
ここは無理せずに、掃除や片づけで重い物を持つのを避けて、
安静を図りなさい。ほんの1本の指といっても、無駄な指は無いのだから、
どの指も大切なのだから、無理をしないこと。
足でも指でも捻挫は下手をすると半年1年近く痛みが続くから、
硬くゴリッとした部分も最終的には吸収されていくと思うので、
違和感があるだろうけれど、気長に養生しなさい」と言われたこと。


年末年始の家事をサボる、いや休むお墨付きを貰っただけではなく、
痛くても辛抱でもなく、痛むだろうけれど気長に養生するように、
時間は掛かるけれど、次第に良くなるだろうからと、
固定は出来ない旨、固定具を実際に見せてくれた上で、
リハビリでどの方向に指を曲げて動かすか、入浴中暖めてマッサージするか、
指示してくれたことだった。


時間を惜しまない、丁寧な診察だった。
その間、中断して仮問診の結果を問い合わせに来る看護師に応対、
なかなか忙しい様子ではあったが、終始穏やかな診察で、
少なくともベルトコンベアーに乗せられるような忙しさは感じなかった。
指の外側を通る筋、内側の構造、簡単に説明して、
今は無理に曲げたり伸ばしたりして、無理をしないようということだった。
もう1ヶ月以上も経っているので、正直良くならない焦りはあるのだが、
先生にそう諭されると、「仕方が無いか」という気持ちにもなろうというもの。


科学的に説明される事も大切だけれど、情緒的に「年末に無理せず労れ」と
言って貰えたのは、怪我をしている人間としてはありがたい。
心のつかえ、重荷が軽くなるというもの。
肩身の狭さを感じずに済むというもの。
時計を見るともう13時前。急いで整骨院にも出向く。
「何をしたらこんな肩になるんですかねえ。」「両足の長さも違ってますね。」
自分で歩いていてもわかる、それは。
寒さ? 姿勢? 痛い所をかばって作業するから?


体の節々をメンテナンス、今日は娘が帰ってくる。
スキーキャンプから帰ってくる。
美味しいご飯を作ろう、温かい美味しいご飯を。
クリームチーズを溶かし込んだ野菜たっぷりトマト風味スープ。
真っ白の柔らかいパン。ブルゴーニュマスタードとミックスオリーブ、
蜜入りりんごとヨーグルト。


指が痛くても、ご飯を作る右手は元気。(切る物を押さえる左手はめげてるが)
娘がスキーから帰ってくる。
気は心でメンテナンスをして、私たち夫婦のとびっきりの気付け薬、
魔法の薬、娘の笑顔を待つ、それが今日の締めくくり。
人は何で癒されたいか。それは人それぞれだろうけれど、
誰だって、美味しい食事、温かい言葉、愛する人の笑顔。

言葉で治療する

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