Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

今日の会議の虚しさ

今日の仕事の内容を赤裸々に書く事はできないので、例え話で。
出張に出かける。昼食を食べる時間が無い。
正規の移動手段では無理。電車の時間と本数に限りがある。
仕方なしに車でダッシュ。その甲斐あって15分ほど時間に余裕。
コンビニでパンと飲み物を買って車内で。それから到着。
会議室に通されるまで資料に目を通す。


現場の見学。予想と余り違わない。さもありなんと思いながらも、
当事者にとってそれがどんなに大変で、労力が傾けられているかわかるから、
理解の中に労りの気持ちを持ってみてしまう自分を感じる。
批評批判分析以前に、逆の立場であれば自分は・・・? と
控えめに甘く見てしまう(見てもらいたいのは実は自分)、
現場を斜めに構えて見ている己自身を見出してしまう。


機器や器具、プロセス、その他こまごましたものを手に取り質問。
そんな時間はほんの僅か。研究討議と称される時間に場所移動。
お上やお偉いさん、指導的立場にあるとされる人間、研究機関、
会場責任者、企画責任者、発表者、見学者、司会者、
ささやかな討議の場が持たれる訳だが・・・。
これが、実を結ぶかどうかというと、甚だ疑問なわけで。
例えば、どんな感じの展開になるかというと、
全く別の話題に置き換えて、例示すればこんな感じ。

市民の政治学―討議デモクラシーとは何か (岩波新書)

市民の政治学―討議デモクラシーとは何か (岩波新書)



「・・・の救助活動のために、○・△・◇を行い、かくかくしかじかでした。
 不足資材は◎と×と★です。この点を配慮して、予算の確保及び、
 これからの支援・救助活動の方向性を模索、より良い方法を検討して頂きたい。」


――各々様々な感想・意見を述べて、発表者の意図に沿った現場での活用、
  業務従事者のモチベーション関連、その影響力、可能性について述べる。
  そして、根本的にはソフト面よりもハード面の予算不足が
  苦しい展開を強いられていることに、その結果ソフト面である人的資源が
  枯渇することに意見が集中。


しかし、この後指導的立場にある人間からざっくりとこういう感じで
用意された結論に向かって、研究討議は固まっていく。


M1:この企画に基づく救助活動は最初から予算1年と決まっており、
   内外から色んな批判も浴びているので、今更検討しても、
   新たな展開を得られる可能性は無いのではないですか。
   予算は確かもう付かない方向で決まっていましたよね。


M2:大体この国の住民を助けても、わが国には何のメリットも無いですよね。
   予算を食う企画に、高価で新しい機材を開発投入の余裕はありません。
   今ある機材を使いこなしてできることをやろうとするのも、無意味です。
   いい加減この国に関わることを辞める勇気を持ちましょう。
   それよりも、国力の無い国は放っておいて、メリットが大きい所に
   別の物資提供、もしくは人的知的交流を行うのが先決で、
   手間隙掛かる手工業的な職人技に労力と時間を費やすよりも、
   助けなくても自力でやっていける部分に、楽して投資しましょう。


M3:予算は無いので、今後個人的好意に基づいて研究が進むことを祈ります。
   業界には個性的な人が多いので、影響を受ける人は受けるでしょうし、
   奇特なボランティアによって、多少の恩恵も得ることができるでしょう。
   1年限りの経過観察で、大した成果も得られませんでしたが、
   とりあえず国からの依頼はこなしたということで、報告できます。
   協力提供、ご苦労様でした。


こんな感じ。
現場にポンと課題が振られて、何人もの人間が労力を費やして動いても、
その上の人間が1年分の経過をわずかA4レポート1枚にまとめ、
当たり障りのないことを書いて、予算削減に貢献し、人的能力でカバーできず、
底辺への福祉は無意味で、自助努力で自分の生活を守れない人間は、
自然淘汰で消えていくから、消滅因子を敢えて加えず放っておいて、
予算が取れそうな企画を次の1年探しましょう。そんな感じ。


これが、結果を重視する政策に基づいた現場のある日の午後の風景。
勿論全て置き換えて表現していますが。
とにかく、疲れる。大々的に鳴り物入りで行い、研究討議の場を設け、
ほんの少し集まった人間、それから更にほんの一握りの人間の意見交換、
そして、結論の決まっているご託宣を述べて終わる。
これを討議というのか、何なのか。


この年まで仕事をしてきて、上のほうを覗いてみれば、
結局は国の仕分け作業に右に倣え、最初から隠し持たれた結論、
方向性をこじつける為に召集される会議、研究会、時間の無駄、
労力の浪費、現場を踏みにじるだけの通達。
事実は小説の世界より奇なりの現実を思い知らされるだけ。


まるで1度手術をして、失敗だった手術は2度としないでおきましょうの世界。
どうすれば成功するのかの研究会を開いておいて、
原因究明も改善策模索も無視して予算が取れませんから、
今後はこの手術は無しってことでの世界。
それじゃ助かるはずの治る患者も治らないって・・・。
喩えて言うならば、そんな感じ。


いやはや、週末ドンと来ました。
予想はしていたけれど、最初から切り捨てる為のトカゲの尻尾を
拾いに行って付けて来いと言われるような仕事、会議、
神経が磨り減ります。心が萎えます。
目玉親父になって茶碗の湯船でゆっくりしたい。


っていうか、研究討議って何なのよ。形だけの場の設定で、
現場を貶め、辱め、コマはコマでいろ、予算まで口を出すな、
どうせ、お前達は金魚鉢の中の金魚、
それ以上の事は考えるなって何なのよ。
二口女の気分。働いても飯を食わない嫁さんが欲しいといった、
あの、お馬鹿な主人公が貰った嫁さんが、
どんな化けもんだったか。
飯を食わずに働けと、お上はいつまで言い続けるのか。
頭数を揃える為だけに、研究討議。
それが討議? 内輪の雑談にもなりゃしない。

地域切り捨て―生きていけない現実

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