Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

鳴門で息抜き

昨夜、実家に懇意の動物病院からシロに献花あり。
出張から帰宅後、娘を伴い週末の家人宅へ。
夜道をリュックを背負った娘と、あれこれ雑談しながらミニ旅。
短時間の出張の割に精神的なダメージ大。胃腸の調子がおかしい。
家人がせっかくデパートの駅弁祭りで買い求め品々にも食欲が湧かず。


今朝、上げ膳据え膳で用意されたイカ飯も豊川稲荷弁当も鯖寿司も、
鳴門金時の薩摩汁も口に美味しいが胃の腑には重く、心わびしい。
先週の徳島物産展で里心が付いたの如く、前々赴任地への思いに火がつき、
親子3人で鳴門までドライブと相成った。二つ橋を超えれば、四国だ。

  


まずは明石大橋を過ぎると、久しぶりの淡路島PA。
大観覧車が、寒くからりと晴れ渡った空にそびえ立つ。
昼前の混雑、ハーレーのバイクの一団、休憩する人、食べる人、
目に付くのは沢山のペットを散歩させる人。
そう、動物も家族だから一緒に旅行、休憩時に御散歩は大切。

  


ぴかぴかに磨き上げられたバイクを見ていると、昔大好きだった漫画、
ワイルド7』を思い出す。あの漫画のお陰で、でっかいバイクのにーちゃんは、
心優しき正義の人みたいなイメージが植え付けられている、おめでたい頭の私。
娘に「おかーさん、こういうものに興味があったの?」と訊かれる始末。
乗るんじゃないの、観てるだけ。私のような根性無しには手入れもできやせん。


見ればいつの間にかスタバができている。しばらく来ないうちに、
パーキングエリアも様変わりするものだ。
コーヒーよりも、ラベンダーアールグレイラテに心引かれる。
別にここで飲まなくても街中でも飲めるのに、ついつい・・・。
3人で熱いお茶を片手に、風に吹かれながら明石大橋を眺めた。

  


一路の田舎高速道をひた走る。淡路島をあっという間に通り抜け、鳴門大橋は目の前。
懐かしい海を挟んで懐かしい景色。鳴門北を降りると、懐かしいリゾートホテル、
懐かしい道、懐かしい学び舎。予約していた店で牡蠣の陶板焼きを平らげる。
店の人の言葉通り、今年は少し小ぶりで味が薄い。
「養殖先も代替わりしてしまってねえ。数も減ったんよ」そうなのか。
昨年は相生牡蠣祭りを堪能したが、あの喧騒も結構疲れるので、
今年は畳の上でのんびり料理されたものを食した。
全く貸し切り状態。『龍馬伝』「とめはね特集」をTVで見ながら。

  


空の色も空気も違う、ここは大阪とは異なる世界。風が胸の奥まで入る。
私の人生の1/25をここで過ごした。忘れられない日々。
一人暮らしと勉強と研究、思い出の渦巻く小さな島の上。
娘もよく連れて行った児童図書館へ。何年ぶりだろう。
ここに始めて顔を出したのは、10年以上前。
懐かしい司書の方とお喋り。明日がイベント日だったそう。残念。

  


小難しい本に疲れた時、児童書に埋もれ過ごした。
結婚後、子ども時代を再体験するように海辺の町で育児が始まり、
阿南・那珂川の図書館で絵本を山のように借り、船で東京へ。
草加で過ごした長期休暇の日々、八潮市の八條図書館に日参。
図書館は常に心の避難所、子育ての味方。
その中でもこの大学の児童図書館は別格だった。

 


あの頃大好きだったペンション、レストラン、喫茶店も今は無い。
10年の月日の中で、あっという間に淘汰されて行ってしまった。
そして、学問も研究も何もかも捨てた私には、家族が、娘だけが残っている。
これをどのように受け止めればいいのか。
何もかも手に入れたいほど、欲張りではなかったという事にすればいいか、
何もかも手に入れようと、貪欲に頑張れなかったと言うべきか。


 


当時からログハウスの喫茶店で有名だった「マザーズ」は今も健在と聞き、
お茶をしに行くことに。本日2度目のお茶。
小鳴門大橋を渡って海を眺めながら、昔懐かしい道を走ると、
鳴門市立図書館の前が「マザーズ」。
娘はグラタンにセイロンティー、家人はルワンダコーヒー。
私はラプサンスーチョン。三人三様。
静かに、10年以上前に訪れた頃の思い出に浸る。

   


さて、これからどうしようか。家人の望みは蕎麦か朴葉焼き。
結局、鳴池線沿いの「奥祖谷」で一服。
正月飾りなのか、鳴門鯛に人形のかしらの付いた御飾りが美しい。
鳴門駅前の「舌鼓」の朴葉焼きは、今度まで取っておこう。
蕎麦湯、もっと欲しかった。味、こんなにあっさりしていたかな。
やっぱり蕎麦は冷たくて歯ごたえのある方がいい。
お互いの蕎麦を食べ比べながら、19時。
徳島の道路は本当に暗い。


あっという間に高速に登ると、小鳴門橋を渡って、鳴門大橋を渡って、
最後の目的地。家人が見つけていた温泉。20時。
明石大橋を眺めながら露天風呂が評判。
松帆の郷で一服してから帰宅の予定。
ちゃんと家からタオルも持って来た。(ここはレンタル無し)
風は寒いけれど、絶景絶景。明石大橋のライトが美しい。
お客さんもそこそこ、のんびり浸かることができた。
くじにも当たり、お茶を1本頂いた。


情緒に欠けるとーちゃんかーちゃんとは異なり、
百人一首大好きの娘は松帆の浦が歌枕の景勝地と心得て、
「こぬ人をまつほの浦の夕凪に 
   焼くや藻塩の身もこがれつつ」 藤原定家だよねと
一人ごちている。あら、いつの間にそんな文学少女に?
「景色のよい所でお風呂」が念頭の親と、何という違い。


仕事を忘れる旅。世俗の垢を少しばかり落として。
橋を渡って阪神間に戻って来ると、何故街はこれほどまでに明るいのか、
かさ高い建物が多いのか、不思議なくらいだ。
静かに広がる夜の闇が恋しくてならない。
上げ膳据え膳の一日。ご飯とお茶を楽しんだ一日。
大きなお風呂に浸かった一日。
おやすみなさい。

るるぶ淡路島 鳴門’10 (るるぶ情報版 近畿 15)

るるぶ淡路島 鳴門’10 (るるぶ情報版 近畿 15)