Festina Lente2

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娘とのお喋りで

さて、何で昨日はあんなに機嫌が悪くなったのか、私。
食堂かたつむり』のイメージ、自分とのずれ、
それだけであんなにもご機嫌斜め? 自分でも不思議。
職場で同僚と話。いつも沈着冷静すぎるほどの彼女、
さらりと「まあ、最近は食堂もんの話が流行りやからねえ。
かもめ食堂とか話題になったし、食べ物の話は分かり易いし、
柴咲コウでないと若い子は呼ばれへんし、
無名の新人では映画は儲からんからねえ。」とのたもうた。
確かに、私も分かっているけれど。

シネマ食堂

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かもめ食堂 [DVD]

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豚のエルメスを食べる云々のくだりで、
「余りにもひどい・かわいそう論」にうんざりしていたのと、と、
「豚の背中に乗って世界旅行が泣ける」という意見が多かったので、
その感覚・感性・感想へのずれに落ち込んで、気分が悪くなったのだろう。
映画の中で良かったと思った場面を探してみて・・・


主人公のエスニック調の衣装。
かたつむりの刺繍を施していた所。
壁のタイル、モザイクのかたつむり、ステンドガラスの窓、
手作りのビラに色を塗るシーン。祈る場面。
少年のような初々しさを残している三浦友和
和服の似合う女性、江波杏子
厨房に入る柔らかい光。泡立つミルクボウル。
ふくろうの時計を見つける場面。
エルメスの料理説明場面と料理で世界旅行。
まだあったと思うけれど、思い出せない。


おっぱいの形に描かれた醜いCGの山、「あの子は誰」の音楽。
豚を乗せて走り回る母、ルリ子。喋る豚シーン。。
虫を入れた張本人が結婚式に参列している不気味さ。
豚を食べるシーンが無くて、豚に乗っかっていたのは駄目。
空になった皿を並べるだけでは、納得できない。
娘はシネコンが嫌と言っていたけれど、白馬を用意した所は○。


ちなみに娘のお気に入り場面。ふくろう爺のエピソード。
夜の仕事に出るルリ子が、ふくろうの時計を隠していたこと。
これは娘を一人きりにして寝かせている自分に返ってきて、心苦しい。
娘の中では豚に乗っかるハネムーンシーンが、
ルリ子と倫子の二人乗りに変化している、
そのことに泣けたらしい。
これも我が家の毎日の暮らしを思うと、複雑な心境。

つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

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かもめ食堂 (幻冬舎文庫)

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深夜食堂 (1) (ビッグコミックススペシャル)

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水泳教室の娘をピックアップして図書館へ。
相変わらず、軽いノベルばかりを借りている娘。
学校の勉強が面白くないのいつもの話題になる。
手応えや面白さを、小学校の日々の授業に求めるのは、ねえ。
捕まえられそうで掴めなかった吊革に手が届く、
爪先立ちでやっと手が届いた時の嬉しさ。
そういう楽しさ、スリル、わくわく感、
はまるツボ、人それぞれ異なるものの、娘には乏しい小学校。


うん、なかなか解けそうで解けない算数の問題が解けたときが嬉しい。
お、そう来たか・・・。
すぐに分かる、十分分かる、当たり前に分かる、易し過ぎる、
それは面白くない。何かに挑戦している時、それが楽しい。
そういう感覚がもっともっと身に付いてくれれば、かーちゃんは嬉しい。
娘とお喋りをしながら、解けなかった問題が解けた中学生の頃、
まだ数学が嫌いじゃなかった頃を思い出す。


ずっと引っかかっている。
何故、食べ物の話題に敏感になったのか。
学生時代は何を食べるか、どんな風に食べるか、
それは自分の身近な話題ではなかったのに・・・。
愛情と食べ物が、食べ物と感情が絡まった問題に、
引っかかるようになったのは何時からなのか。

ヨーロッパ食堂旅行

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おもひで食堂 (汁、ごはん、めん、常備菜)

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手が届きそうで届かない問題。
ああ、それは、私が料理を作っても、
母の手の込んだ料理を食べるなどということは、
トンとご無沙汰の毎日だから?
「自分を満たす料理=母の味」が恋しいから?
私の作る料理は娘にとっては母の味、
私の家族の味。しかし、私が求めている味は、
もっと違うものなのかもしれない。


家人と娘は私に、引退したら小料理屋を開けばと言う。
そんな冗談。家族の為だからあれこれ作れる。
料理を作るが、料理人ではないし、調理師でもない。
お客の為に料理を作ることは出来ない。
家に招いた人の為ならば、別だけれど。
お金の為に料理は出来ない。
それを仕事にしている人は別だが・・・。

おかず食堂-すぐにおいしい朝・晩ご飯150 (池田書店の料理新書シリーズ)

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おもひで食堂 (おつまみ・鍋・軽食・おやつ編)

おもひで食堂 (おつまみ・鍋・軽食・おやつ編)


そうか、お金か。
何で昨日嫌気がさしたか。
商業ベースにのっとった料理本の出版、
人気女優、話題の新人、ベテランの脇役、斬新な演出、
でも、物語性以前に酔狂な仕上がりのバックに動くお金。
それが見え隠れして、嫌だったのか?
ロハスだのスローフードだの流行の言葉が、
商業ベース商業ベースと言うおまじないを呟く。
その言葉が見え隠れていて嫌だったのか。嫌悪したのか。


10日前、似たような話を聞いた。仕事の話。
仕事で、利潤を追求してはいけないとは言わない。
でも、人の心を取り扱うデリケートな問題に関して、
決して表に出さないように、商業ベース商業ベースという、
隠れたカリキュラムのようなお題目が聞こえてきて、
物凄く疲れる。特化して換金作業のように言い含められる、
そのペースに巻き込まれる事を良しとしない世界に生きていると。


娘とお喋りしていると、何も話題を振らないのに、
食堂かたつむり』って、『豚のいた教室』を思い出すねと言う。
私がもう少し聞き上手であれば、どんな風に二つの作品を感じているか、
その差異をどのようにイメージしているか聞きだせるのだろうが、
娘の意識は休憩で遊ぶDSに飛んでいるようだった。
娘が友達と一緒に映画を見に行くようになるのは何時の日か。
たった一人で映画を見に行くようになるのは何時の日か。
それこそかたつむりではないけれど、ゆっくいいそげ。


日々の生活を露骨な商業ベースに載せられないように、
それなりに載せられつつも、自分の感じ方を大切にしていこうね、
娘よ。時には荒れて、時には落ち込み、のほほんとしつつ。

人生食堂100軒

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津軽百年食堂

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