Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

懐かしさよりも

仕事関係の集まり。四半世紀、25年ぶりに会う面々。
あれほど若かったみんなも、人の親になり、白髪になり、
今は同じか全く別か、転職か、それぞれの仕事、それぞれの生活、
懐かしいというか、しみじみするというか、嬉しさ半分寂しさ半分?


その後、特に色々教えて頂いた先輩とお茶。
侘しいことに、耳に入れておきたくない人の近況も自然と入ってくるのが、
何とも言えぬ。懐かしい顔ぶれかの集いは、思いがけない話題に膨らみ、
漏れ聞く人の話にいつの間にか過ぎた歳月の無残さ、
耳を傾けたくなくとも勝手に押し寄せてくる、重たいもの。


離れていた年月を凝縮させて、心に刺さっていた棘の痛みを増幅させる。
傷は癒えない。覆い尽くされたように見えて、実は隠れているだけ。
傷跡は消えない。薄くなることはあっても消えない。
同じように、心の中にあるパンドラの箱。一たびあければ災厄の元、
かの神話のように「希望」が隠れているかどうかも定かでなく。

人の世を確固として生きる

人の世を確固として生きる

『論語』でまともな親になる 世渡りよりも人の道 (光文社新書)

『論語』でまともな親になる 世渡りよりも人の道 (光文社新書)


なぜ人の世は、哀しい出来事で満ち溢れているのだろうか。
「事実は小説より奇なり」を証明して貰おうなどと、
こちらは露ほどに思っていないというのに。
そして、いくら時間がたったとしても許すことは難しく、
時を遡る事など叶うはずも無く、
後悔しても戻らない時間を惜しむ暇など。


昨夜友人が、残された時間を嘆いて生きるよりも、
笑って過ごす時間を多くしたいのよと言っていたばかりなのに、
今日耳に入って来るのは、振り払っても振り払っても切れないもの、
過去からの亡霊のような出来事の続き、噂話。
昨日の今日で、どうして180度世界が変わってしまうのか、
表立って静かな分、深く沈静して不気味。


けれども、何も知らず気付かない振りをして、
痛くても痛くない振り、苦しくてもどうということなく、
理不尽に「折れた」方が、大人だとみなされる、
そんな生活、想像したくも無い。
受け入れられない。
人生万事塞翁が馬、人を呪わば穴二つ。
他者から予期予測なしに持ち込まれたニュース、
心に波風を立てる、嵐を呼び込むようなたぐい、
後々の揉め事を引き起こす火種。


利害を間接的にもたらすものを、避ける手段が無い。
濡れたら濡れたまま、ずぶ濡れ?
梅雨の晴れ間を手にすることができず、
いつまでも濡れそぼるような思い。
そのげんなりした思いに囚われたままでなく、
距離を置くことができるかどうか。


神様はいつも試されるようだ。
いいことや楽しいことがあった後で、
後ろに隠していた片方の手を開く。
両の手を取ることを当たり前としながら。
清濁併せ飲むことを突きつけてくる。
清らかな流れに遊んだ後で、
泥水だけを飲めといわんばかりに。


日々を過ごすことは、歳月を重ねることは、
それが当たり前だとわかっている年齢になっても、
辛く哀しい。
疲れ、いや増す日曜の午後。
日々はねじれひび割れ行くメビウスの輪

徒労に賭ける

徒労に賭ける

福田恆存評論集〈第12巻〉問ひ質したき事ども―言論の空しさ

福田恆存評論集〈第12巻〉問ひ質したき事ども―言論の空しさ