Festina Lente2

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ランチと財布と名探偵モンク

巷では今日は1学期の終業式。
誰か、私にも盛大に夏休みをプレゼントしてくれないかな。
もう休みたくない、仕事がしたいと、飽き飽きするぐらいの長い休みを。
外国の小説や映画でに出てくるような、長い長い休暇。
海外に出向き、観光にいそしむどころか、食っちゃ寝、
又は、普段から地元に住んでいるように、普通に生活。
本物のバカンス、余りにも贅沢で気が遠くなるような。


もっとも、毎日が日曜日の生活が始まれば、
曜日の感覚もおぼろげになり、呆けていくのは困る。
日々の予定があり、出かける場所があり、会う人がいるのは
誠にありがたいと思うようになるのかもしれない。
が、今は、やらねばならない仕事を先延ばしにし、
姑息な休憩を搾り出して、ささやかに油を売ったりするのが関の山。


というわけで、ランチタイムは貴重な息抜き。
仕事を忘れ、しばし寛ぐ。といっても、竜宮城に出向くわけじゃない、
ありふれた喫茶店、いつも出歩かない場所。
誰にも遭わないでボーっと出来る、そんな店こそありがたい。
職業人でもなく、母でも妻でも娘でもなく、普通に一人の人間、
単にランチを黙々と食べる、そんな風に振舞っていたい。


食べながらお行儀が悪いものの、新聞に目を通したり、
エヴァンゲリオン』や『サイコメトラー』のシリーズを斜め読みし、
ふと辺りを見回せば、1時間遅れで休憩に入った私の周りには誰もいない。
静かな空間、のんびりとした時間。
ほっとコーヒーを飲み干せば、おっと大変、
資料打ち合わせの時間が迫っているので、戻らなくては。
・・・? あれ? 鞄の中に・・・お財布が無い。


何で? どうして? えーと、免許証、お財布みんな無い。
どうして? 何が起こったのかわからず、しばしパニック。


時たまランチに訪れる私を顔見知りと思ってくれてか、
店のご主人は「次でいいから」と言ってくれる。
とてもありがたい、しかし、本当に財布はいずこ?
ちょっとばかり本当にパニック。
カードも免許証もその他諸々、いったいどこにやったのか?
滅多に普通の人がやらかさないミスをしている私、
まるで今日終わるTV番組の名探偵、MONKさんのよう。
軽いパニックよ・・・。

名探偵モンク モンク、消防署に行く (ソフトバンク文庫NV)

名探偵モンク モンク、消防署に行く (ソフトバンク文庫NV)


幸い家に忘れていたのがわかってほっとしたけれど、
何も持たずに仕事に出かけてランチに出向いたかと思うと、
我ながら愕然。
だんだん物忘れや勘違いが増えてきて、嫌だなあと思っている矢先、
TVの中のMONKのパニックに時には笑い、時には心配し、
あれこれ感情移入しながら、一歩間違えばこの潔癖症も、
トラウマではなくてある種の障害、ノイローゼ、
誰にでも起こりうることのほんの氷山の一角と危ぶみ・・・。


娘も好きな名探偵MONK、とうとう終わっちゃった。
(夜もおそおそに、娘を夜更かしさせている情け無い母親の私)
モンクさーん、と呼ぶ声。ナタリーの声を聞くのも今日が最後か。
(もっともそれはアテレコの声だけれど)
MONKという音の響きに禁欲的な僧侶を連想し、
娘は何も言わないが、ぶつぶつ言いながら事件を解決する彼に、
『モンク=文句』という構図を持っていたに違いないと、
かーちゃんは密かに推理しているのだが。


そんなモンクさんを観ながら、今日財布を忘れてパニクった自分を思い出す。
なだらかな階段状の上の誰もが持っている欠点短所、時には障害、
世界中の人が並んでいるなだらかな坂の上にいる自分、
普通の人と少し変わっている人の間を行ったり来たり。
失敗や恐れや哀しみ怒り、全てどこかで繋がっている万人の喜怒哀楽。
自分の中のMONKさんを、ちょっと今日は意識した。
ランチタイムの財布迷子事件とあっけない解決と、
名探偵MONKの最終回と。

MONK

MONK

名探偵モンク モンクと警官ストライキ (ソフトバンク文庫NV)

名探偵モンク モンクと警官ストライキ (ソフトバンク文庫NV)