Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

貝の哀しみ

朝から豪華な食事だ。何しろ昨日道の駅鏡の里で仕入れてきた
新鮮な野菜を使っての朝食。黄色い細長いイタリアン、
まあるい真っ赤なプチトマト、柔らかな香りのスィートバジル、
サラダにもチーズにも合うきりっとしたバジル。
黄色いズッキーニで野菜スープ、ヨーグルトにはブルベリー。
本当に贅沢な朝ごはん。


野菜ではないが、湖水にぷかぷか浮いているというか、
流れまとわり付いてくる水草も少し持って帰って来た。



こうやって観るとかわいいが、これが大量に浮いていると、
プールとの違いに本当に戸惑う。
少々金魚になった気分のカナダモ、オオカナダモ
トゲトゲで手に取ると痛いイバラモ。



昨日アップした鏡神社の鳥居の注連飾りに似たもの、
海草に似た形の見慣れた水草
ちなみに写真撮影するために食器に浮かせたら、
汚いと家人の怒ること怒ること・・・。


宮ヶ浜水浴場の湖底から持ち帰った貝はどうやら外来種
台湾蜆とカワニナの一種のよう。
本来の日本の固有種の蜆は黒い色をしているらしい。
薄黄色いので明らかに台湾蜆。一晩で結構少々砂を吐いた。
カワニナの方は何故かみんな水槽のへりに登って来ている。
塩素の匂いのする水か嫌だからか、水温が高いからか。
この可笑しな貝たちの様子をご覧ください。



大きい水槽に移し換えた時も、カワニナは一斉に競争するかの勢い、
あっという間にヘリまで移動、貝がこんなに素早いとは。
みんな揃って新鮮な空気が吸いたいとでもいうように、
顔を出してまんじりともしない様子。
生まれ育った湖底から連れて来られて落ち着かないのか、
砂の中ではどんな風になっていたのか、
ここでは全くの垂直姿勢。

 

 
 


ちなみに蜆たちは早々にダウンしているのか、動きが鈍い。
どうやら砂を入れていないので動き辛いよう。
いつも隠れているから照明が明るすぎる? 
とにかく、限られた環境から逃れようとしているカワニナ
あっという間に、・・・この通り。

  

 

物言わぬ貝は苦しさを伝えることができずに、
こんな形でSOSを送っているのか。
興味本位で連れて来た私たちを、楽しませながら責めているのか。

貝と水の生物 (野外観察図鑑)

貝と水の生物 (野外観察図鑑)

風と貝がら

風と貝がら



どういうわけか、地デジ導入ぎりぎりまで使おうと思っていた
家人宅のビデオがいうことをきかない。接続の関係で、
TVも見られない。ゆえに、娘は素直に? 勉強に専念、
私は家事にと穏やかに過ごす日曜日と思いきや、・・・
掃除をしてみれば、家人の不穏な隠し物を発見。


体内環境を一定に整えるために、服薬は必須の慢性病管理。
こっそり服薬を勝手にコントロールしてるのでは、お話にならない。
体調がいいからと、何を根拠にこの未使用未服薬の山・・・。
真面目に掃除をしてみれば、何報われることあらん?
ここほれワンワンで見つかった家人の不穏な隠し物。
怒りを通り越して、不信の念が募る。


一病息災の形で乗り切ってきた家人。
小さな故障がつづれ織りのようになっている私。
重篤さは見た目からはわからぬ家人。
医学の発達のありがたさと哀しさを、忘れたのか。
順調に見える生活の隙間に落っことして来たのか。


折しも昨日拾った貝を水に入れれば、黙ったまま砂を吐く。
じっとしているようで、しんねりと動いている。
台湾シジミと思しき二枚貝は、琵琶湖固有種を蹴散らして繁殖、
薄汚れたカワニナと思しき巻貝は、カタツムリのように角を出し、
水面に顔を出してもぞもぞ動く。


家人の許せぬ行動と隠し事が、
物言わぬ貝の脅威、何を考えているかわからぬ本能、
健全であるべきはずの琵琶湖を脅かす、
許されざる外来生物の存在を重なってくる。


いつの間にか住み着いた不信は、一方ならず大きく広がり、
心を暗く覆う。妥協を許さぬ世界での裏切り、背信行為。
命のやり取りを忘れて、喉もと過ぎ得れば熱さ忘れる行いに、
怒り心頭。


夏はいつも絶望を連れてくる。
楽しく過ごした後、心和やかに過ごした後、
いつも悪いニュースがやってくる。
もしかすると、これから起こる悪いことの前触れに、
昨日のように、いいことがあるのか。
何かを隠す為に、何か楽しいことでチャラにしようとしているのか、
そんな風に疑ってかかってしまう人生の日々、
毎日の積み重ねにしたくはないのに。


水草もユラユラと揺れているばかりではなく、
琵琶湖に繁殖する邪魔者、水が綺麗になったように見えて、
その実、あるべき固有種の水草はいずこへ。
繁殖力の強い外来種がのさばる世界。植物の世界も弱肉強食。
そして、のさばるのは動植物だけではなく、
心の中に投じられた一点のどす黒い染み。


情けなく悲しい。長期の入院から離れて、5年目。
服薬で抑制、コントロールする体内環境を甘く見る家人が哀しい。
体調が悪く、健康神話に足元をすくわれている更年期の私よりも、
一病息災で頑張ってくれていると思っていただけに、
背信行為にも似た服薬状態を知って心穏やかならず。


琵琶湖にはびこる貝のように、水草の様に、
あってはならぬ存在のものに、囲まれて今日、
鬱々と日曜日が暮れる。
せっかく新鮮で豪華な野菜を用いた朝食や昼食の喜びも、
一瞬にして消え去る日曜の夜。
不穏な気持ちのまま更けていく夜。

韓非子―不信と打算の現実主義 (中公新書)

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汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集 (集英社文庫)

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