Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

出張先の神社(中島惣社)

初めて降りた駅、出張先にて。
午前と午後の間の休憩、全く人気の無い寿司屋の定食。
焼け付くような日差しにアスファルトも焦げそう。
時間潰しに涼む場所とて無い。
歩きながらあれ? あんなところに神社がある。
でっかい灯篭が不自然に並び、
どうやらこれは参道らしいが・・・。

  


本来あったはずの参道、並木道のスペースは、
全て住宅街となり、それでも壊したり移動できなかった分、
住宅の中庭にぽんとどでかい灯篭が置かれたまま、
神社までの一本道、辿っていくと見慣れない言葉。
惣社惣社って何? あまり見たことがない。
ここは古代日本、どんな場所だったのだろう。
中島惣社


ずいぶん神様が沢山いらっしゃるところだこと。
それなりに由緒のある土地柄、歴史的な場所らしい。
知っている神様の名前もあるけれど、
総社という言葉自体が初めてなので、何だか落ち着かない。
孝徳天皇ゆかりの地。晩年失意落剥のスメラミコトの地か。
ちょっとうらぶれた自分の気持ちがやはり呼ばれたのかな?


古事記日本書紀に見る古い神々とともに、
何故か人間である菅原道真や楠正成まで祭られている。
それなりにきちんと整理、整備され落ち着いた雰囲気。
この真夏の暑い暑い昼下がり、詣でる人など誰もいない。
私は随分変わった珍客、観光客でもなく、通りすがりの参拝客。

  


落ち込んできる気持ちがこういう静かな場所に招くのか。
単に神社仏閣好きな気持ちが連れて来るのか、
こういう場所にいると何となく心が和む。
家庭内の落ち込みも、仕事の苛立ちも、うんざりする出張も、
誰とも口を利かずに独りでいるこの時間。
寂しくても心穏やかに過ごせる時間。

  


炎立つほどの暑さの昼下がり、
カメラを構えて、神馬の像のある馴染みの無い神社の境内。
お参りしながらぐるりと一周。
毒を隠し持つとは思えないほど可憐に咲く、
上品なピンクの夾竹桃がひっそりと咲いている。


私は祈る。心の平安。
そして痛む足も、折れた針が刺さったままの歯も、
家族の病気も、自分の落ち込みも、何もかもが
何もかもが滞りなく許され癒されることを。
今日から三日間、出張で寂しい思いをさせる娘が、
元気に過ごせるようにと。
老いた両親がつつがなく孫といますようにと。