Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

延暦寺根本中堂ライトアップ

キャンプから帰ってきた娘のおねだりは、夜景を見るドライブ。
それも延暦寺に行きたいという。何を根拠に比叡山延暦寺
うーん、高野山ならともかく、でも下界よりは涼しいかなあ?
折しもお盆、そういえば・・・。ガサゴソガサコソ。
先日京都へ行った際に漁って来た観光パンフレット。
今はあちらこちらでライトアップ華やかなりし時期。
お望みを叶える為に、一路比叡山へ。
ただし涼しくなった夕方から活動開始。


家人が病に倒れた5年前、大学時代の友人が比叡山延暦寺に詣で
お札を貰って来てくれた。そのお礼詣でにもなるだろう。
お盆だからご先祖様に両手を合わせてくることも。
宗派は異なれど祈る心の前にして、些細なことに神仏はこだわるまい。
ふと気づけば夏至から2ヶ月ほど経つ。思いの外日暮れが早い。
山道、ワインディングロード、登り道はすれ違う車も殆ど無し。
本当に聖地兼観光地兼ライトアップポイントに向かっているのか、
甚だ心もとないと思っていた矢先、どうやら延暦寺に到着?

土産物屋とバスの停留所のあるロータリー。
警備員のおじさんが誘導してくれる駐車場、
良かった、沢山人が居るよう。ちょっと心配だったかーちゃん。
無事に東塔地区といわれる場所に到着。

足元が暗いから気をつけてね。ロマンチックだけれど、
やはり少し・・・涼しい。というか、肌寒い。
上着を持って来ればよかったか。
娘と家人は意に介せずどんどん歩いていく。

  

朱色のお堂も周囲の人も何故か静かで穏やか。
昼間は今少し騒がしいのだろうか、それともやはり静か?
四半世紀以上も前に、それも冬の雪の中訪れた記憶が途切れ途切れ。
まずは大講堂に参拝。聖人の絵姿も沢山。
しばらく中を拝観して、本来の目的地へGO。
ライトアップされている根本中堂はどちら?
鐘を撞くのは後回しにして、会場のお堂に急ごう。

  

  


足元を照らす光に導かれて、坂を下っていくと
国宝、比叡山延暦寺根本中堂が見えてきた。
美大生が組んだというヨシズが、卵、繭、蛹、花、などと名づけられ
光を放つレトロで不思議な造詣として輝いている。

  

  


根本中堂の内部は、というか、その奥は・・・
写真撮影禁止なのでお見せできませんが、それはそれは美しく
ライトアップされていて、人影が少なければさぞかし幽玄の境地に。
戦乱の時期を経て、現代まで絶えることの無き祈りを伝える、
1200年燃え続けてきた不滅の宝灯。


しんみりする中で、汗を流して熱弁を振るうお坊様。
いいお話をして下さっているんだけれど・・・。
娘はご利益のあるという太い柱をナデナデ。
ご先祖様のために、一つ明かりを捧げてお祈りをば。

 



実は入場の際、この期間の特別な御弁当があると聞き、
夕食にしようと思って比叡山会館に出向いたのだが、全部売り切れ。
閉館間際、ティールームもお茶だけということで諦めた。
空腹の余り、御土産コーナーで八橋購入。
宿坊というには余りにも豪華で御高いホテル仕様の宿舎。
全山修験道と言ってもいい比叡山延暦寺境内に、こんなお洒落な建物が。


だんだん人通りも少なくなってきた。もと来た道を戻れば、
そうそう、鐘を撞いて帰るつもりだったっけとしばし並んで、
家族全員除夜の鐘鳴らぬお盆の鐘を撞く。
どうやら鐘の撞き方を知らぬ人も多く、闇雲に力任せで撞く人も。
少々呆れたので、一応娘には二度撞きにならぬよう注意。

  


さて、自家用車ばかりが残る駐車場。もうバスは無い。
あと少しで頂上なので、せっかくだから行くことにする。
もはや20時半過ぎ。ゆっくり回りすぎたか、
もっと早く出発すべきだったか。
残念ながらイルミネーション美しいことで有名な庭園、
ガーデンミュージアム・比叡を隙間から眺めた。


実は根本中堂を出て頂上に近づくにつれて、視界がぼんやりと霞んできた。
境内とどれほどの高低差があったというのか、あっという間に霧が。
運転する家人はヒヤヒヤ、迫力満点の頂上展望台までのプチ・ドライブ。
何も見えない。肝心のビューポイントまで来た意味も無く・・・、
娘はがっかりしていると思いきや、霧深い景色が殊の外お気に召したようで、
(確かに滅多に見ないことだし)ご機嫌でその辺を散策している。

 


霧をスクリーンに見立て影絵の犬を作って楽しむ娘。
舞台の上に立ってライトを浴びるが如く、ちょっとポーズをとってお澄まし。
全く向こうが見えない道をひたすら散歩する3人家族。
人生だね、運命だよ。一寸先は何だろうね。
どんどん歩いていけば、これが最後の街灯付近、ロープウェイ乗り場だった。
車で来たから使わなかったけれど、今度はこれに乗って比叡山に来るのもいいね。

 


おまけに電灯の光のお陰でちょっとしたブロッケン現象が楽しめる。
蜘蛛の巣でさえも梅雨を帯びて光っていた。
(写真は失敗して載せられないのが残念)
そう、霧は予想以上にしけっていて、服がじっとり重くなってくる。
ただでさえ少々肌寒かったのに、余計に何だか妙な気分に・・・。
お陰で「トワイライトゾーン」「あなたの知らない不思議な世界」ばりの、
よく言えばモネの世界のような、悪く言えばピントの定まらない、
本当にもやもやした写真が沢山撮れた。

 


いかが? 歩いている姿が別世界に去っていくような、
幽玄とは程遠いですが、シルエットの私と娘をお楽しみ下さい。(笑)

 


下界から見れば私たちは雲の中。でも、まあ夜だから雲も霧も同じか。
帰り道、比叡山をどんどん下るとあっという間に霧は晴れて見通しが良くなった。
先ほどまでの家族で過ごしたちょっと怖いけれどファンタジックな世界。
一瞬の夢のように跡形も無く消えて、再びワインディング・ロード。
中腹で暗い琵琶湖と瞬くビル郡、美しい夜景をしばし堪能。
そして下界の現実。気が付けば空腹を抱えたまま、
大津市内を迷子になっていた私たち。
帰り道はどっち?


大阪、家人宅付近まで帰って真夜中のファミレスで夕食。
夜行性の家族3人、涼しい山から喧騒の蒸し暑い下界。
明日はみんなで朝寝坊(に違いない)
とーちゃん、運転御疲れ様でした。

比叡山 (別冊太陽)

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エコ旅ニッポン 比叡山を歩く旅

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