Festina Lente2

Festina Lente(ゆっくりいそげ)から移行しました

空飛ぶ人を見上げて

仕事ですから、遊んでばかりいられません。
景色を眺めるのもほんの少し。好きな場所にも行けません。
胡桃の木が沢山あるという川べりも、栗拾いも、記念館や道の駅も、
ちっとも寄ることができずにさよならです。
話題の美味しい牛肉を食べてみたかったなあ。
ダムや物産館や、色んな場所に出向いてみたかったけれど、
プライベートな個人旅行じゃないから仕方ない。


どんどん進んで、八幡平とか地図でしか見たことのない所を
どうやら目指しているそう。何となく、高原っぽくなって来た。
・・・こんな感じかな? 秋の高原。
ガラ空きの高原。まだ紅葉には早すぎる高原。
というか、はっきり言ってスキー客がいないこの地域、
思いっきり寂れているというか、物哀しい雰囲気。
夏の名残どころか、うら寂しいというのに日差しはやけに明るい。


仕事がてら珍しくというか、仕事で外に出ている。
おまけにみちのく岩手県に初めて来ている。滅多に無い出来事。
というわけで、今いる所はリゾート地らしいが、よくわからない。
今まで耳にしただけで、どんなところか知らない場所、
安比」(あっぴ)という所に来ています。思ったとおりアイヌ語
「安住の地、平安の地」というような意味があるそう。


宮城県人二世だから、東北の血をルーツに持つ私。
かねがね祖先を辿れば、蝦夷の血が入っているに違いないと思う。
きっとアイヌの血も。だから、遠い遠い遥かに遠いご先祖様が、
同じ山を眺めていたのかもしれないと、そんな風に考えたりする。
今朝まで泊まっていた水沢の地も、アテルイの伝説が残る。
質実剛健の雰囲気と共に思い出されるのは、
ジブリ映画の『もののけ姫』の冒頭。


大和の朝廷から隠れるようにひっそりと存在する里。
勇猛果敢な戦士。
たたらを踏む製鉄の技。この東北の血にも製鉄の技術はある。
水沢にも鉄器の伝統があった。盛岡にもある。南部鉄器は有名だ。
生活用品、ひいては武器の製造が必須だった背景にある鉄器。
そんなことを考えているうちに、白樺の林を抜けていかにもリゾート地のホテルへ。


東北の秋、というものをイメージしていたが、今年は異常気象。
暑いです。天気良すぎ? 林や森の木々は暑さのため葉が焼けて、
今年の紅葉は色が悪いだろうとのこと。残念。
本当、もう少し季節が進んでいれば北国の紅葉を・・・と
ちょっぴり期待していたのですけれどね。
でも、晴れ女の空は綺麗でした。

空気が澄んでいるからか、やたら世界が明るい。
ちょっとサングラスでも欲しいくらいでは?
私のカメラの採光状態がおかしいのか?
何だか季節感がよくわからない眩しさ、やはり空気のせい?
世界が眩しい、不思議な感じ。


ああ、ここで冬にスキーがしてみたいなあ。
昔人間の私は、昔できたことばかり懐かしんでしまうが、
現在安比で人気なのはこれ!
そう、パラグライダー。スキー場のゴンドラを利用して、
山頂から一気に飛ぶその姿、まさに空中散歩で気持ちよさそう。
しかし、初心者の現実は・・・ひたすら器具をしょって斜面を走る。
無風状態では余りに酷な足腰のトレーニング。


どんな人が、パラグライダーで飛んでいるのか。
デジカメの望遠で必死で追いかけた。
「もしも私が鳥ならば」そんな文章を昔習ったな。
仮定法だっけ。夢は夢のまま、叶わぬ夢。
しかし、装具を付けて飛ぶ人もいるのね。
今日は風が無いというのに。
あ、ここはスキー場だからリフトの上、山頂から飛ぶわけね。
なるほど。
・・・いいなあ、気持ちよさそうだなあ。


誰かに支えて貰って飛べるのならば、飛んでみたい。
あの高さから地上を見たら、どんな感じ?
子供の頃は空を飛ぶ夢を良く見たような気がするのに、
いつからかとっくの昔から「飛ぶ夢を見ない」生活。
そして、うつらうつらしている時に、すとんと落ちていくあの感じ、
あの感触も味わうことが少なくなった。
たまに金縛りには遭うというのに。


空を飛ぶのは翼ではなくて、パラシュート?
草の上ではだらしなく脱ぎ捨てられた衣服のように、広がる。
それはそれで、変に艶めかしかったりするのだけれど。
空飛ぶ夢叶わずなのか、飛び疲れ果ててなのか、
そこには翼を休める地上の世界があった。

刻々と姿を変える山の上の雲。まるでラピュタの雲のよう。
そして、地面から眺めるだけの私の足元には高山植物
えーと、何て言うんだっけ? 聞いたけれど忘れてしまった。
写真ブログのお友達の真似をして、接写っぽく頑張ってみた。


心和む景色。でも、言われなければ気付かなかった。
草むらに生えている小さな花。野の花。
草の花。・・・思わず昔読んだ小説を思い出す。
少しばかりセンチメンタルな気分。
宿に戻れば、早忍び寄る夕闇。


紅葉にはまだまだ早いけれど、気持ちだけちょっと。
窓ガラス越しに撮って見た景色。
そして、山のシルエット。
明日は旅の最終日。今夜は眠れまい。

パラグライダー最新テクニックブック 改訂版

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